ペンギン大王襲来！　流氷三番勝負！｜リアクション

ペンギン大王襲来！　流氷三番勝負！

●アザラシカーリング

　流氷の上には縦長に区切られたカーリングのコート。参加者は１つのチームとして参加するため、朝衣と美野梨の２人チームでの参戦となった。
　今回のルールはこうだ。朝衣と美野梨はそれぞれ２回ずつ、ペンギン大王は４回、アザラシの子どもをハウスと呼ばれる二重の輪の中心を目指して滑らせる。先攻後攻で交互に投げて８回分投げ終わるのを１セットとして、これを３セット行う。その合計得点で勝敗を決める。
　カーリングはコートの状態も重要なので、その確認のために短いながらも練習時間が設けられた。美野梨は氷の滑りやすさやアザラシの跳ね返り方を観察する。一方朝衣は可愛らしい声で鳴く子どものアザラシの姿に思わず声をあげる。

「やー、かわいい」

　その体を撫でていると猫をあやしているような気分になってくる。

（カーリング自体は初体験だけど、冬季オリンピックの時に試合の中継見て応援していたからわかるけど、これは結構燃えるよね）

　美野梨は寒さ対策にカイロを持参し、防寒服で身を包む。それからチームになった朝衣と作戦を考える。

「王といってもアザラシとは異種族。アザラシの子供はそう簡単にペンギン大王の言うことを聞いてくれないと思うんですよ」

　またアザラシの子どもたちは敵味方なく友達同士ではないかという予想も伝える。うまくいけば大王のチームのアザラシたちにも言うことを聞いてもらえるかもしれない。美野梨のろっこん『友との語らい』は猫と鳥なら念話できるが、アザラシはできない。
　とはいえ、できるだけおとなしくしてもらおうと優しく話しかける。そうこうしているうちに、いよいよ試合開始のときがきた。

「夏は絶対終わらせないんだから！」

　朝衣はそう気合を入れると先攻の第１投を行う。赤のリストバンドをつけたアザラシがまっすぐハウスに向かっていく。中心を少し過ぎたが、悪くない位置で止まった。アザラシはパタパタと手を動かしているが、位置自体はさほど変わっていない。もしかしたら美野梨のお願いが届いたのかもしれない。
　続けて大王が後攻の第１投。黄色のリストバンドをつけたアザラシは先にいたアザラシに当たり、ゆっくりとその位置を変える。２匹は遊んでいる気分なのか、外側の円で楽しそうにしている。
　手番が変わって、今度は美野梨がアザラシを滑らせる。朝衣はその少し前に位置取るとブラシでゴシゴシと磨く。もっとも、石と違ってアザラシはどうしたって気まぐれに動いたりするものなので、そのあたりはそういうものだと思うことにした。勢いがやや足りなかったが、磨いた効果で少し距離が伸びてどうにか内側の円に触れた。
　こんな様子でチームで交互に投げ続け、１セット目が終了した。結果は２－０で大王の勝利。だが、まだ２セット残っているし美野梨はペンギン大王のプレイを十分観察した。そこで得た情報を朝衣と共有し、これからの作戦を見直す。大王の投げやすいコースを妨害するようにアザラシを置いたり、アザラシ同士がぶつかったときの反応を読むように投げる。これによって２セット目は０－２で美野梨・朝衣ペアが勝利した。
　そして迎えた３セット目。朝衣たちはこれまでの２戦で得た情報と経験を精一杯出し尽くす。大王も負けじと点数を取りにくる。アザラシたちがハウスの近くでぶつかりあい、弾きあう。そして最後の１投を終え、中央に残ったのは朝衣たちのアザラシだった。
　３セット目は０－１で朝衣たちが勝利し、合計では３－４という結果に。『アザラシカーリング』は美野梨たちが勝利を収めた。
　三番勝負は参加者側の２勝１敗で幕を下ろした。

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