ペンギン大王襲来！　流氷三番勝負！｜リアクション

ペンギン大王襲来！　流氷三番勝負！

●ペンギンフィギュアスケート

　舞台は変わり、今度はスケートリンクで『ペンギンフィギュアスケート』対決である。成り行きで水樹とヒューはフィギュアスケートに参加することに。
　水樹はこれでも高校２年生まではバスケ部員だった。怪我で引退を余儀なくされたものの、その頃の身体感覚はまだ残っている。フィギュアスケートの経験はないが、スケートならばやったことがある。どうやらヒューも同じようで、スケートの経験ならあるという。つまり２人ともフィギュアスケートは初挑戦。

（……大丈夫か、この２人？）

　水樹の脳裏に不安がよぎる。とはいえ、逃げるわけにもいかない。なにしろ２人で過ごす初めての夏なのだから。衣装はペンギン大王側がこちらの分も用意していたので、２人で相談しながら似合うものを借りた。
　準備の間に２人はあれこれ考えを巡らせる。リフトやスロージャンプなど、ペアだからこそ出来る技もあるがかなり難易度が高い。そもそもフィギュアスケートをやったことがないのでどうしたものかと思案する。結局、技はできそうなら試す程度に留めて、ぶっつけ本番で挑むことにした。ヒューとしては下手に考えるよりも気が楽だった。
　２人が氷のリンクに立つ。音楽が流れると２人はゆっくりと滑り出した。滑る感覚さえ分かれば、さすがは恋人同士、息の合ったプレイを披露する。動きに派手さはないが、リンクを大きく使って存在感をアピールする。
　そして２人は目で合図をすると、ヒューが水樹の腰を掴んでその体を持ち上げた。失敗したら大怪我を負いかねないが、水樹はヒューのことを完全に信頼しているので躊躇うことなく体を預ける。
　ヒューはフォトグラファーという職業柄、１人で重い機材を運ぶこともしばしば。だから男性にしては華奢に見える外見の割に筋力がある。これが意外性を突いたのか、周りからどよめきと歓声があがる。
　その後は音楽が終わるまでヒューは水樹を美しく魅せようと滑り続け、水樹はヒューへの信頼を表現するように美しく演技をした。完全に音楽が止まると大きな拍手に包まれた。
　今度はペンギンのトップスケーターたちが氷のリンクに立つ。音楽が始まると、優雅に滑り出してペアならではの技を披露する。これといった失敗もなく、演技は音楽とともに終了した。
　判定は芸術点やジャンプの高さ、回転などで決まる。ペンギン大王は少し悩んだ後、ペンギンたちに勝利を伝えた。滑りを振り返ると、どうしても技術面では水樹たちの力量が及ばなかった。ただ大王は２人のほうを見ると、パートナーへの信頼を感じる良い演技だったと伝えた。
　『ペンギンフィギュアスケート』の結果は大王側の勝利となり、１勝１敗という状況で最後の勝負に突入する。

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