サマーバレンタイン♡カーニバル｜リアクション

サマーバレンタイン♡カーニバル

☆待ち合わせと合コン

　街中で偶然会うことを期待してあおいを探した彰尋ですが、結局見つけることができませんでした。
「駄目か……」
　彰尋は携帯を取り出しました。
　薔薇がしおれないうちに、渡したかったのです。

　しばらく待つと、あおいが現れました。
「こんにちは、彰尋くん。待った？」
「呼び出してごめん。……これ、受け取ってほしくて」
　彰尋は３本の薔薇の花束を差し出しました。
「わあ、ありがとう！　綺麗ね」
　にっこり笑って受け取ったあおいは、三本の薔薇の意味など気づいてはいないのでしょう。
（たとえ君に好きだという想いが伝わらなくても。受け取ってくれるだけで嬉しい）
　そう思って笑顔に見惚れる彰尋に、あおいが声をかけます。
「私も、彰尋くんに会いたかったの」
「えっ？」
　思いがけないあおいの言葉に驚いていると、あおいはバッグから包みを取り出しました。
「いつもお世話になってるから、これ」
　それは昼間あおいが買ったチョコレートでした。
「ありがとう……嬉しいよ」
（友達としてのチョコレートでも、とても嬉しい）
　彰尋の胸は高鳴るのでした。

　パレードから解放された朝衣は、しばらく街を歩いていました。
　美形な朝衣はあちこちで男性に声をかけられましたが、適当にナンパをやり過ごしながらぶらぶらしていました。
　シーサイドタウンのとある店の前にさしかかった時。
「そこの綺麗なお嬢さん！　女性無料の合コンに参加していってください！」
　店員に呼び止められられました。
「え……そんな気になれないから」
　断ろうとしたのですが、店員は強引でした。
「そんなこと言わないで。座るだけでいいですから！」
　あれよあれよと中へ入れられてしまいました。

（合コンかあ……最後に恋したのは２年前、初恋の相手だったわね）
　せっかくなので、何人かと適当に話をしてみましたが。
（うーん、どうも合わない。まあ、こんなものよね）
　と思いながら、たいして期待もせず食べたり飲んだりを楽しんでいました。
　しかし、６人目くらいでしょうか。
（あ……この人……あの人にどこか雰囲気が似てる……）
　あの人とは、中学三年の時出会った朝衣の初恋の人。
　波に乗る姿が美しかった先輩と、朝衣は高校で再会し恋に落ちたのでした。
　日焼けしたその人に、朝衣は思わず尋ねていました。
「もしかして、サーフィンやってますか？」
「えっ、わかりますか？」
　驚いたその人の表情に、朝衣はサーフィン部で再会したときの先輩の驚いた顔を重ねていたのでした。
「私もサーフィン好きなんです。高校ではサーフィン部でした」
「まさか同じ趣味の人と会えるとは思わなかったな」
　お互い趣味が合い、話が弾みました。
「あの、連絡先交換しませんか」
　そう言われて朝衣は、迷わずスマホを取り出していました。

「また会いましょう、連絡入れます」
　その言葉をを聞きながら、朝衣はどこか運命を感じていました。

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