サマーバレンタイン♡カーニバル｜リアクション

サマーバレンタイン♡カーニバル

☆にゃんこのいる公園で

　寝子高２年の綾辻綾花は、早川珪先生とサマーバレンタインを過ごしたいと思いました。
　そして、大好きなにゃんこたちとも。
　
「早川先生！」
　学校の近くを歩いていると、珪先生とばったり出会いました。
「やあ、綾辻さん。散歩かな？」
「先生、今日はサマーバレンタインなんですって。一緒に公園めぐりに行きませんか？」
「ああ、少し歩きたいと思ってたところだよ」
「ありがとうございます。それじゃ行きましょう」　

　綾花は最寄のにゃんこが集まる公園に向かいました。
「ニャー」
　さっそくにゃんこ発見。
「チョコはダメなのでちょっと高級な煮干しです。はい、愛を込めて」
　綾花がしゃがんで差し出した高級煮干しに、猫はかぶりつきました。
　よほど美味しいのか、うにゃにゃと声を出しながら食べています。
　その様子に他のにゃんこたちも集まってきました。
　にゃんこをなでなでしながら、綾花はもう片方の手で珪先生に煮干しを渡します。
「珪先生もどうぞ」
　一瞬、えっ？　という表情になった珪先生。
「ああ、僕が食べるんじゃなく、一緒に配ればいいんだね？」
　今度は綾花がきょとんとする番でした。
「えっ、先生も煮干しお好きなんですか？」
「いや、そういうわけじゃないよ。猫にあげるほうが楽しそうだ」
　苦笑いしながら、珪先生もしゃがんでにゃんこたちに煮干をあげました。
「美味しそうだね。自由な上に餌ももらえるなんて、幸せな猫たちだな」
「いつも癒されてますから。大好きの気持ちを込めて」
　にゃんこたちに煮干しが行き渡るのを確認して、綾花は立ち上がりました。
「先生、それじゃ次の公園に行きましょう」

　歩いていくと、頭上からバラの花びらが降り注いできました。
「わあ、綺麗ですね」
　サンマさんやマンボウくんが乗っているトラックが近づいてきました。
　気が付けば周囲はカップルばかりで、綾花はちょっと意識してしまいます。
「パレードで撒いているんだね。……綺麗だ」
　花びらを追っていた珪先生の視線が、ふっと綾花に向いて止まりました。
（私のほうを見てそんなこと言われたら、私に言われたのかと思っちゃうじゃないですか。恥ずかしい）
　ちょっとドキドキする綾花です。
「嬢ちゃん、バラをどうぞだぜ～」
　サンマさんから一輪ブーケをもらいました。
「ありがとうございます。枯れないうちに栞かドライフラワーにしたいです」
　やっぱり薔薇をもらうと嬉しくて、自然と笑みがこぼれる綾花でした。

　それから二人は、何か所も公園を回ってにゃんこたちに煮干しを配りました。
「猫が集まる公園って、たくさんあるんだね」
　珪先生は驚いているようでした。
「ありがとうごいざいました。あの、先生、これを」
　綾花が先生に差し出したのは、今度は煮干しではなく３本の赤い可愛いバラでした。
　リボンで結んで花束にしてあります。
「僕に？」
「いつもお世話になってますし、珪先生には赤が似合います」
　なるべく自然に、堂々と振舞おうとしている綾花ですが、喜んでもらえるかちょっと心配です。
（沢山バラが撒かれてるから３本だけだと寂しいかな？　一番綺麗に咲いてるバラを選んでみたけど）　
「ありがとう、嬉しいよ」
　珪先生はにっこり微笑んで受け取ってくれました。

「今日は長い間つきあってくださってありがとうございました」
「いや、こちらこそ。楽しかったよ」　
「私も楽しかったです」
　幸せな気持ちで綾花は先生に手を振りました。
　
　寮に戻ると、鞄に赤いものを見つけました。
「さっき撒いていたバラの花びらですね」
　ふと鏡を見ると、綾花の髪にもバラの花びらがついていました。
（先生、この花びらを見ていたんでしょうか）
　珪先生の視線や優しい笑顔が、胸の中で蘇るのでした。

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