妄想おばさんがあらわれた！｜リアクション

妄想おばさんがあらわれた！

　あそこに長身スレンダーな女子高生が。
　メガネが似合ってるわね。さわやかクール美女って感じ。

　――寝子島散歩をしていたおばさんが、六人目に妄想をかきたられたのは、公園のベンチで本を読んでいる卵城秘月だった。

「ふふふ。やぁ君とは初めましてだったよね？　私は秘月、どうかよろしく」
　青空のようなブルーアイズ。いきなり声をかけられて、私は冷静ではいられない。
「どうしてこんなおばさんに話しかけてくるのよ」
　思わず聞けば、彼女はにこりと微笑み、こう言った。
「私は色々な人と話して、色んな視点の物事を知ることができるのが好きなんだ。だから私と色々話さないかい？」

「私、高校生が興味がありそうなことなんてわからないわ」
「いいんだよ、私が君と話したいと思ったんだから」
　変な子ね、こんなおばさんに興味があるなんて。私としては、若いエキスがもらえそうで、ドキドキしちゃうけれど。

「あなた、読書が好きなの？　文学少女なのね」
「そうでもないよ、バスケットボールも好きだからね」
「そうなの。かっこいいでしょうね、長身のあなたが、バスケをしている姿は」
「そうかな。私は君の方が、興味深いけどね」

　彼女はそう言って、私にぴったりと体を寄せてきた。
　なんで、そんな……。
　つい顔を見つめると、彼女がふふっと笑った。
「私の顔に、何か面白いことでもあるのかな」
　言いながら、私の手をきゅっと握ってくる。

「高校生って、友達同士で、こんなにくっつくの。私、おばさんだから、びっくりしちゃうわ」
「と言うわりに、若い体つきをしてるじゃないか……」
　彼女の手が、私の体をもみ始める。
「ふふふ、バスケをしてるから、他の人に肉付きにも少し興味がね。……ふむふむ君はどうやらかなり――」

「もう、触らないでって言ってるのに！　私もあなたに、触っちゃうわよ！」
　私は返事を待たず、高校生の、肩や腕や、太腿に手を這わせた。

「しっかり筋肉がついているのね。バスケで鍛えられているからかしら」
　あなたの体と比べたら、私なんてぜい肉がいっぱいだし、大したことはないわ。
　それでも、まだ触るの？
　聞くと彼女は、深くうなずいた。
　なら仕方ないわ。
　私は腕を大きく広げて、彼女を……。

　はっと現実にかえって、すぐ。私の視線の先には、彼女の藍色の髪があった。
　お日様の光を浴びて、きらきら綺麗。
　と、彼女と目が、合った。
　サファイアの瞳が、まっすぐに私を見ている。

　でもきっとあの子は私のことを、おばさんって思ったわ。
　妄想の中のようには、興味を持ってくれないはず……。

　思ったのに、彼女がベンチから立ち上がって、こっちに向かってくるじゃない！
　えっ、なんで来るの？
　走り去ってしまえばいいのに、私は足が動かない。
　ついに彼女が、声をかけてきた。

「えぇとそこの方ちょっといいですか？」

　ああ、だめよ、私のHPは、もうゼロよ！

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あとがき

担当マスター：瀬田一稀
ファンレターはマスターページから！

心の広い皆さま、ご参加くださりありがとうございました。
今妄想おばさんが、皆さんのよき妄想に、悶えております。興奮しきっております。
「寝子島……なんて素敵なところ！　妄想が許される天国！　愛すべき寝子島！」
と、今後はより妄想に磨きをかけていくことでしょう。

瀬田も楽しく書かせていただきました。
個人的なことですが、下書きを音声入力でしたため、若干羞恥プレイでした。
羞恥プレイのちのリアクション、皆さんも、楽しんでいただければ幸いです。

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