迷子はこちら、親御はどちら？｜リアクション

迷子はこちら、親御はどちら？

「良かったなー、これからは気をつけるんだぞ！」

　夕日もそろそろ水平線に落ちようとする頃合。
　寝子ヶ浜海浜公園近くの浜辺で、ようやく再開できた親御さんと連れ立っていく少年に手をふり、龍目は「ふぅ」と一息ついた。
　まだ出会って半日も経っていないはずなのに、何日も探し続けたような疲労感を感じていて。

「まぁ、本部もいなきゃ海の家も対応してくれないしで、俺が探すしかなかったもんなぁ」
　結構、自分で思っていたよりも責任を感じてたのかもしれない。
　そう思って苦笑していた龍目だったが、不意に、服の裾を引っ張られた。

　見れば、泣きそうな子供が、一人。

「おいおいまたかよ」
　口ではそんなことを呟いたものの、やっぱりそこに浮かべるのは、幼子の緊張を解く笑顔。
「どうした？　迷子か？」

　けれど、龍目は気づかない。
　夕暮れ時の砂浜に――影は、一つしか伸びてはいないことに。
　自分が何人の迷子を相手し、親を探し、そして今がいつなのか。
　夕暮れの次は夜にならず。
　夏の次は、また夏で。

　龍目の夏の日は、まだしばらくの間、続くのかもしれない。

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あとがき

担当マスター：蒼李月
ファンレターはマスターページから！

　皆様、この度は夏の日の思い出にご参加いただき、ありがとうございました。

　一夏の体験、楽しんでいただけましでしょうか。
　今回はどんな怖い目にあうかもわからなければ、何が正解かもあまり定かではないところもあったであろう無茶ぶりに参加いただき、重ねて御礼申し上げます。
　個人的には若干の挑戦だったので、なんとかご満足いただける内容がお届けできていればと思う次第でございます。

　親しい人と楽しいやりとりを交わしたり、あるいは知っている人の新たな面を垣間見たり、また一つ思い出を重ねたり。
　なお、怖い思いをなされた皆様も、きっちりとフツウの世界へ戻ってこられたことと思いますのでご心配なく。

　――あ、約一名、気づかないままの方がいらっしゃいますが、遠からずフツウの世界に戻ってこられたであろうことを申し添えさせてくださいね。

　ダイジョウブダイジョウブ。マダマダアソンデイッテイイデスヨ。

　多忙につき中々ガイドのご提供等できない身の上ではございますが、
　またいずれの日にか、お会いできれば幸いです。

　マタアソビマショウネ

　……何か聞こえましたかね？

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