CDショップ『Pioggia d'aprile』｜リアクション

CDショップ『Pioggia d'aprile』

●まだ知らない音楽を求めて

　結城日和はシーサイドタウンにあるCDショップ『Pioggia d'aprile』へやってきた。今日も『四月の雨』の名を冠するショップは街中にひっそりと溶け込んでいる。

（ここのCDショップの店主さんには以前とてもお世話になったし。お店も素敵だからよく通ってるんだけど……。今日も何かいい音楽が見つけられたらいいなぁ♪）

　店内には大量のCDが並び、一部は希少なレコードなども陳列されている。邦楽や洋楽の別無く、実に様々なジャンルの楽曲が並んでいる。その光景は何度も通っている日和でも飽きることはない。

（寝子島に来てからはたくさんCDを買ったな～）

　大量に並ぶCDの列を眺めながら日和は少しだけ昔のことを思い出す。寝子島に来るまで、いろいろ音楽は聴いていたが『CD』を買って聴いていたのはクラシックくらいだった。理由は日和の父がクラシック以外を好まなかったから。
　だからだろうか。
　親元を離れて星ヶ丘寮に入ったときには箍が外れたというか、とにかくいろんなCDを買って、いろんな音楽を聴いた。そうして触れた数々の音楽は彼女に衝撃や感動を与えた。

（今好きなアーティストもそのときに出会ったものが多いなぁ）

　棚に並ぶアーティストたちの名前に懐かしさを覚える。落ち込んでいるときに出会ったものや、視聴した瞬間に購入を決めたものなど。１つ１つにそれぞれの思い出が残っている。
　新しい音楽に触れることに熱心だったので、CDショップの店員にはおすすめの音楽をよく尋ねたし、それらをまとめて買って驚かれたこともあった。

（ここの店主さんにもいろいろおすすめしてもらったけど、どれも素敵だったなぁ）

　今はだいぶ落ち着いたけれど、まだまだ音楽は聴き足りない。日和はそれを改めて確認すると、今日もいろいろなCDを視聴して、さまざまな音楽に触れた。そのなかで出会った素敵なCDを購入すると、帰路に着いた。

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