守ろう、スイーツランド！｜リアクション

守ろう、スイーツランド！

　さて、ところ変わってこちらはキャンディの林。
「わー！　こっちはカラフルな食べ物がいっぱいだぞー！」
「見て、大きなキャンディ……金平糖とか、ゼリービーンズも……たくさん、転がってる……」
　木から落ちてきたのだろうか。星屑のような金平糖を拾い上げると、ゆきのはそれを口の中へ。檸檬の甘酸っぱい香りが、口の中にふぅわりと広がった。
　あんずははしゃぎまわって木に成っているキャンディーをぱくり。
「まずはこれからー！」
　ゼリービーンズを頬張ったゆきのの動きが、ぴたりと止まった。
「あれ、ゆきのどーした？」
「……？　なんか、動物がたくさん……集まって……なにか、あったみたい」
　キャンディの林に住む綿菓子のような白うさぎが駆け寄ってくる。
「そんなに慌ててどーしたんだー？」
「たいへんなの！　ムシーバが来るのぉ！！」
　ゆきのはその白うさぎの後方から迫る黒いモノをみつけ、問う。
「もしかして……あれ？」
「そうなの！　ムシーバに攻撃されたら、歯が痛くなっちゃうの！」
「ムシーバ？　よく分かんないけど、歯が痛くなるってことは悪いヤツなんだな！？」
「なのー！　おねがい、やっつけてえ！」
　うさぎに泣きつかれてあんずは立ち上がる。
「悪いヤツはうちらが許さないぞ！」
「……それで虫歯になるのは……困る。歯医者さんは……嫌」
　ゆきのは静かに闘志を燃やす。
「ゆきの！　一緒に倒すぞ！」
「うん」
　どどどど……と勢いよく迫ってくるムシーバの大軍。あんずは、それをちぎっては投げ……ちぎっては投げ。お得意の空手の身捌きで、ガンガンソルジャーを倒していく。
「ゆきのとあんずのおやつの邪魔……しないで」
　ゆきのは足もとに落ちていた大玉の飴をばしばし投げつける。
「ぴぎゃ！」
「ぷぎゅうう！」
　ムシーバは悲鳴を上げて散り散りに。
「……痛いよ？」
「いっ……！？」
　あんずの小さな悲鳴が響いた。
「あんず……？」
　アーチャームシーバの弓を受けたのだ。
「うぅっ、遠くからなんてヒキョーだぞ！」
　地団太をふむあんず。

「あや？　何騒いでるの？」
　そこへやってきたのは、侑。うさぎがムシーバの存在を説明する。
「わわ、変なのがいっぱい！」
「なの！　あいつらの攻撃は危険なの！」
　侑はパッキーをかじりながら目を見開く。
「攻撃されたら歯が痛くなっちゃうの？　それは大変だにー！」
　首がもげるほどうなずくうさぎに、侑はにこりと微笑んだ。
「それならやっつけなくっちゃ！」
　だん、と地を蹴る。
「んっ……！？」
　あんずは後方から現れた援軍に振り返る。
「おまたせ！　ウチも戦うにー！」
　あんずに肉迫したムシーバを、いきおいよく蹴り飛ばす。
「わわっ……！　助かったぞ！」
　侑は振り返ってぐっと親指を立てる。そして、再度地を蹴った。
（そういえばさっき星がついたペロペロキャンディ食べたからかな……なんだか身体が軽い気がするにー！）
　迫りくるムシーバの大軍の上を八艘跳びよろしく踏みつけながら渡っていく侑に、思わず拍手。

「攻撃されたら歯が痛くなるって、冗談じゃない！」
　遅れてここへ到着した遠海も、立ち上がる。その手にはチョコレート。ぱりん、と一口齧ると、なんということでしょう。途端にどう攻めれば勝てるかが読めてくる――！　キャンディを口に含めば、筋肉が唸る！　さっき食べたシュークリームのおかげか、足だっていつもより速い！
「これで華麗にムシーバ軍団を撃退してやるんだから」
　現れたナイトムシーバを、ばきぃっと殴りつければ遠くへぶっ飛んでいく。動物たちからワァッと歓声が上がった。

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