守ろう、スイーツランド！｜リアクション

守ろう、スイーツランド！

　ビスケットの木々の森、流れる小川はチョコレート。遠くに望むストロベリータルトの山……そして、今降り立ったはアップルパイの平原。
　東条あんずは、見渡す限りのお菓子の山に目を輝かせた。
「うおー！　お菓子の山だー！！」
「すごい、お菓子ばっかり」
　傍らで楠木ゆきのも感嘆のため息を漏らす。足もとで、小さなリスがぴょこんと跳ねた。
「ようこそ！　スイーツランドへ！　ここにあるお菓子はみーんなのお菓子だから、もちろん君たちも食べていーんだよ～！」
　あんずは大きく万歳をして飛び跳ねる。
「これ全部食べて良いのか！？　やったー！　ゆきのは何食べる？」
「……全部、食べていいのね？」
　ゆきのの問いに、チョコレート色のうさぎが頷いた。
「うん！　何食べる？」
「じゃあ、まずは……アップルパイ」
　自分の眼下に広がるアップルパイの平原、どこまでもどこまでも続いている。
「じゃーうちもアップルパイ食べる！」
　あんずは手近にあったアップルパイを、一口サイズ抉り取って口へ運んだ。
「ん〜！　おいひー！！」
「ゆきのちゃんも、どうぞ！」
　うさぎが、小さな手でアップルパイを差し出してくれる。それを受け取り、
「……おいしい」
　自然と、笑顔が零れた。
「いちごタルトもマカロンもおいしそーだぞ！」
「うん……」
　二人は動物たちが勧めてくれたマカロンを頬張る。桃色、水色、クリーム色……パステルカラーが愛らしいマカロンは、どれを食べても甘くて美味しい。
「あ、ゆきのそれ一口ちょーだい！」
　あーん、と大きく口をあけたあんずに、ゆきのは自分が食べていたマロンマカロンをひとつ分けてやる。
「おいしー！　ほっぺた落ちちゃいそうだぞ！」
「……チョコレートも、マカロンも……」
　口数こそ少ないが、ゆきのは満足げにお菓子を次々口へと運んでいく。
「あ、モンブランもある！　あっちにはマフィンが！」
　ふらふらと物色しているあんずの腕を、くい、とゆきのが引っ張った。
「……全然お腹いっぱいにならない……不思議……だね」
「うん！　まだまだ食べれるぞー！」
「ねぇ、あんず……食べすぎ……ずっとここにいるつもり？」
　その意は、『もっとあっちの方にも行ってみよう！』だ。すぐに察したあんずは、にっこりと笑って立ち上がった。
「……ん？　ゆきのあっちに行きたいのか？　良いぞー！」
　二人は、駆け出していく。更なるお菓子を求めて――！

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