携帯戦記カプセルギア　おれがカプギア？！｜リアクション

携帯戦記カプセルギア　おれがカプギア？！

☆Diablo Azul　ＶＳ　ネージュリェーツ

　中学三年生の仙藤蒼、ギアマスター名『AOI』は、『善場模型店』の店先で今まさにカプセルギアのバトルを始めたところだった。
　ところが、次の瞬間蒼のカプセルギア『Diablo Azul』が視界から消えていた。
　急に大きくなった相手のカプセルギアに戸惑い辺りを見回せば、後ろには戸惑った表情の大きな自分。
　頭の回転が非常に速い蒼は、事態をすぐに把握した。
《うそ……これってもしかしてDiablo Azulの視点？》
　それはそれで楽しめる気がする、とAOIは思う。
　肩に二門の240mm中距離用無反動キャノン砲を装備しているので重たいかな……と思ったが意外にそれほどでもない。
　やや取り回しにくいかな、という気がするが、慣れたらそれほど苦にはならないのかもしれない。
《そういうことなら、このままカプギアバトルをリアルで楽しみましょう》
　一方、Diablo Azulのほうも自分の手足を眺めて驚いていた。
「あら、マスターの身体に入れ替わったのね。ふうん、これが人間の身体……まあ悪くないんじゃない？」
　冷静に状況を判断すると、蒼とは違う大人の表情で微笑む。
「私はいまバトルの最中ね。どんな風に戦うか、しっかり見させてもらうわ」

「さぁ、バトル開始だよ！」
　そう言った次の瞬間、高校二年生の白真白は異変に気づいた。
《……ってなにこれ！？》
　脚が4本になっている。
　いや、そもそもこれは自分の足ではない。
《私、カプギアになっちゃってる！？　脚が4本ってなんかすごい違和感あるよ》
　それはまさしく自分のカプセルギア、ネージュリェーツの姿だった。
（うーん、また神魂かなぁ。そういえば私の体の方はどうなってるんだろう？）
　後ろを見れば、見覚えのある胸の大きな少女……自分がいた。
　バランスが悪いのかよたよたしている。
（ん？　もしかして私の体の中にはネージュが入ってる？　体が入れ替わっちゃったのかぁ）
　よたよたしている真白は、ついに尻餅をついてしまった。
（あっちもあっちで2本足に慣れてないのかな。……あー、立つのあきらめちゃってるや。まぁ、いつもの神魂ならそのうち戻るでしょ）

《っと、今はバトル中だったね。入れ替わっちゃったならしょうがない、楽しむぞー》
　ネージュリェーツになった真白も、四脚での動きに慣れ始めていた。
（違和感はあるけど自由に動けるみたいだし、やるぞー。四脚で動くのも結構面白いね）
　いつも通り、バレットシャワーで弾幕を張り、高い機動力を生かして走る。
（レーダーがあるから、弾幕はたいして効かないわよ）
　AOIは敵の位置を瞬時に把握し、銃口を向ける。
　だが真白はその一瞬の間に罠の設置を済ませ、障害物に身を隠している。
《そこね！》
　ズバアアン！
　AOIは障害物ごと吹き飛ばす勢いでキャノン砲を放った。
　だがネージュリェーツには届いていない。
（もっと右からならいける……でも）　
　角度がよく自分も障害物に隠れられる場所があった。
　だが話がうますぎる。
（……罠？）
　一瞬の逡巡の後、AOIはその場へ走り込む代わりにキャノン砲を撃った。
　ズバアアン！
　撃ちこまれた弾に、地面から絡まるように伸びた蔦が、次の瞬間吹き飛ばされた。
《やどりぎあーむ作戦、見破ったかあ》
　しかし真白の声には余裕があった。
　今度こそ心置きなく攻撃に向かおうとするAOIだが。
《えっ？！》　
　AOIの脚に、蔦が絡みついていた。　
《罠は一つじゃないよ。エネルギー充填開始！　アンカー射出、脚部固定！　目標、ロックオン！》
　真白の胸から、エネルギー砲が発射された！
（シールドはない、なら……）
　とっさにキャノン砲で反撃するAOI。　
　ビビビバアン！
　ぶつかり合って勢いは相殺されたが、エネルギー砲のほうがいくらか速かった。
　AOIは吹き飛ばされて尻餅をつく。
　その時、視界に再び異変が起こった。

「……戻ってる？」
「あ、二本足になってる」
　蒼と真白は、尻餅をついたまま目を見交わした。
「操作するんじゃなくて自分で動くのも楽しかったね」
　真白が微笑めば、
「今後の戦いで生かせるかもしれないわね。貴重な経験ができたわ」
　蒼も満足そうに言うのだった。　

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あとがき

担当マスター：天村花海
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ご参加ありがとうございました。
初めてのカプセルギアでわからないことばかりでしたが、楽しく書かせていただきました。
入れ替わりの戦い、少しでも楽しんでいただければ幸いです。

それでは、またのご参加をお待ちしております。

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