携帯戦記カプセルギア　おれがカプギア？！｜リアクション

携帯戦記カプセルギア　おれがカプギア？！

☆メドゥーサ　ＶＳ　ボナパルト２

　中学二年生の新田樹は、燃えていた。
「以前やられちゃったから、牧君にリベンジするよ」
　あと一歩のところで敗れた悔しさを忘れてはいない樹。
　あれから彼女も経験を積んでいる。
　対する小学五年生、牧雪人は表情を変えずに端末を取り出した。
「こないだのは悪くない戦いだったね。いいよ」
　いつもどおりクールに言う。
　樹のカプギアは髪と下半身が蛇になっている『メドゥーサ』、雪人のカプギアは戦列歩兵の指揮官を模した愛機『ボナパルト２』だ。
「今度こそ勝ってやる！　ギアバトル――ゴー！」
　樹がそう宣言し、バトルが始まったとき、変異は起こったのだった。
（あれ？）
　髪と脚に不思議な感覚を覚え、樹は自分の足を見た。
《蛇？！》
「イツキがアタイになってるのか？　よーし、やっちまえよ！」　
　頭上から降ってきた自分の声に見上げれば、大きくなった自分の姿があった。
《いや、こっちが小さくなってる？　私がカプセルギアに？　望むところよ》
　樹は三度の飯よりスリルが好きなお転婆少女。
　多少勝手は変わっても、直接戦えるのはかえって嬉しい。　
《僕がカプセルギアになってるのか？》
　ボナパルト２と入れ替わった雪人のほうもわずかに動揺を見せ、あたりを見回していた。
「MAKIYUKI、お前なら行ける。思い切り戦え」
　巨大な雪人――いや、入れ替わったボナパルト２が言い。　
　MAKIYUKIは口の端を少しだけ上げた。
　プシュー！
　樹は予定通り、遠距離から障害物に隠れて頭の蛇から毒液を放つ。
《毒液と石化か。ちょっと厄介かな》
　そう言いつつ、MAKIYUKIは軽快な足捌きでひらりとかわし、右腕のビームガンでメドゥーサを狙い撃つ。
《そう簡単には当たらないよね》　
　樹は蛇の頭を上に向け、毒液を上から放射状に放つ。
　MAKIYUKIも障害物に隠れ、毒液はあと一歩届かない。
　二人の息詰まる撃ち合いは暫く続き。
《えーい、まどろっこしい！》
　業を煮やした様子で、樹は障害物を飛び出しMAKIYUKIに接近した。
　だが冷静さを失ったかのようなポーズは、樹の演技であった。
《そっちから来たか。いいよ》
　MAKIYUKIは連射できないビームガンを、振りかぶって打撃武器として当てに来た！
《おっと》
　樹はあえてシールドを使わず回避。再び障害物に隠れながら移動する。
　プシャー！
　さらに毒液で牽制する。
　MAKIYUKIが避けたところを、再び接近してわざと避けやすい位置に毒液を発射。
　だが樹の狙いはその先にあった。　
　MAKIYUKIが飛び退く瞬間に石化光線！
《！》
　MAIKIYUKIはギリギリのところで避けたが、左手の一部に石化光線が当たった。
　すかさずMAKIYUKIの懐に飛び込むメドゥーサ樹。
《だめ元だったけど当たったわね。石化の味はどう？》
　嬉しそうに樹は笑い、太い尾がボナパルト２の身体を締め上げる。
《……！》
　無表情なMAKIYUKIの顔が、わずかにこわばる。
　樹は銃口が自分に向かないよう用心しながら、同時に毒液を発射！
「MAIKIYUKI！」
　たまりかねてボナパルト２が声を上げた。
　MAIKIYUKIはビームガンの台尻でマントを振り上げ、毒液を振り払う。
　そして石化していた左腕を樹のみぞおちに叩き込む！
《ぐっ！》
　力が弱まった隙に、MAIKIYUKIはマントを樹の頭にかぶせ。
　次の瞬間、樹はビームガンの銃撃を受けていた。
　
《そんな……今度こそ勝てると思ったのに……》
　わずかに油断があったのだろうか。
《カプギアの操作とは違うな。今回は危なかった》
　バトルを終えて無表情にMAIKIYUKIは言う。　
　次回こそはと歯噛みする樹であった。　
　

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