子どもたちのあつい！一日｜リアクション

子どもたちのあつい！一日

「ふひゃー♪生き返るッス」
　水から顔を出した桐子は幸せそうにつぶやく。
「泳がなくても水に浸かってるだけで気持ちいいッスねー」
　しばらく水遊びを楽しんだ後、桐子は思いつく。
「よーし、今日はどれだけ潜ってられるか挑戦してみるッスよ！　目指せギネス記録ッス！」
　張り切って息を吸い込み潜った桐子だが、一つミスをした。
「ひー……ぶほっ！　げふげふ……」
　すぐに浮かび上がり、むせている桐子に、
「だ、大丈夫？」
　近くでプールを満喫して泳いでいた瀬莉が、驚いて声をかけた。
「み、水の中で数えようとしたらダメッスね……」
「えーっ？　水の中で声に出して数えちゃったの？」
「今度は頭の中で数字数えておくッス……」
「待って。私が数えてあげる。後で私のも数えてくれる？」
「それは助かるッス、それじゃ競争ッスね」
「それじゃ準備はいい？」
「よーし、いくッスよ！　せーの！」
　桐子はジャンプして、水に潜った。
　懐中時計いじりが趣味で、将来は時計職人になりたい瀬莉。
「……１……２……３……」
　時計の秒針のリズムが身についているので、カウントはそのへんの大人よりよほど正確だ。
　この後めちゃくちゃ素潜りチャレンジした二人だった。

　着替えを終えた一心も、かんなと共にプールにやってきた。
「やっぱりみんなプールに来てるっすね……猫までいるっす」
　かんなが怪我をしては大変と、油断なくガードする一心。
「桃井さん、こっちがすいてるっす！」
「わかってるわよ」
　相変わらずつれないが、表情は明らかに和らいでいた。
（よかった、楽しんでくれてるみたいっす）
　しばらく泳いで、顔を上げた瞬間。かんなは笑顔だった。
（自分、桃井さんがたまに見せる笑顔が好きっすから……）
　一心はちょっと胸が熱くなった気がした。
「あれ？　涼しいのに、変っすね」
　つぶやきつつ、かんなの後を追うのだった。

　泳いだり、潜ったり。
　子どもたちは、暑くも楽しいプールを満喫した。
　エアコンが入ったら、この暑さも楽しい思い出になることだろう。

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