子どもたちのあつい！一日｜リアクション

子どもたちのあつい！一日

☆桃井さんと一緒

「うぅ、こんな酷い暑さはさすがに初めてっす……これも修行、といいたいっすが、かなり厳しいっす……！」
　直情剣道少年、剣崎一心は暑さに参る中、プールの噂を聞いた。
「今日は午後から自由にプールに入れるらしいっす！　やったっす！」　
　喜びつつ修行のことを思う。
「本当ならプールで修行したいっすが、この暑さで無茶したらやばいっす」
（ニュースでも暑さで大変な目にあってる人もいたみたいっすから）
　５年生ともなるとちゃんとニュースも理解している。
「今日は普通にプールで涼みながら楽しむっすよ！」
　ふと桃井かんなのことが頭に浮かんだ。
「そうだ、せっかくだから桃井さんを誘うっす。きっと桃井さんも辛い思いをしてるはずっす。だったらプールで涼んだ方がいいはずっすよ！」
　というわけでかんなを誘いに行った一心だが。
「何？」
　自分の席で暑そうにしているかんなの、口調にも目つきにも好意は見られない。
　明らかに不機嫌オーラを発していた。
　額から綺麗な汗が流れている。
（なんだか不機嫌そうっすが、きっとそれも暑さのせいっす！）
　一瞬危険を感じてたじろいだ一心は、思い切って踏み込んでみた。
「桃井さん、自分と一緒にプールに行くっすよ！　教室で過ごすよりずっと涼しいはずっすよ！」
「プール？　授業じゃないのに……子どもっぽい」
　つれない返事が返ってきたが、一心は諦めなかった。
「こんな辛い時に我慢する事なんてないっす。そんな事してたら熱中症になって倒れてしまうっす！　自分、桃井さんにそんな事になってほしくないっす。だから一緒に行きましょう！」
　熱心に説得する一心の顔が赤いのは、暑さのせいだけなのか。
　暑さが一心を大胆にしていたのかもしれない。
「わかったわよ……暑苦しいわね」　
　しぶしぶという感じだが、かんなは一心の誘いに応じた。
　

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