携帯戦記カプセルギア　ある日、公園でのカプギア風景｜リアクション

携帯戦記カプセルギア　ある日、公園でのカプギア風景

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チームバトルの方は、そろそろ佳境に入りつつあった。
「とつげきーっ！」
アマデトが、上空から角を突き出して一気に突撃する。
弱っていた赤チームのギアが1機、避けきれずに直撃。
けれど最後の反撃を受けてしまい、アマデトも着地と同時に体勢が崩れてしまう。
「間にあわなかったッス……でも！」
仲間の救援には届かず、ならば代わりに敵討ちとばかりにトルーパーが突撃する。マシンガンでアマデトめがけ撃ちまくりながら、ローラーから火花が飛び散るほどの速度で一気に肉薄。
行く手を阻もうと降り注ぐキャノン砲を、ジグザグ機動でかわしていく。
爆煙を受けて、一撃必殺のパイルバンカーが鈍くきらめいた。
けれど、その時。
「危なーい！」
ニャーサーが遊具を右から左へと跳んで、蹴って、割って入る。その手には、突撃槍。
トルーパーの機動力でも切り返せない、絶妙なタイミングのカバー。
かくなるうえは、打ち合うのみ。
パイルバンカーの圧縮エネルギーが、解き放たれた。
次の瞬間、ニャーサーの突撃槍と、トルーパーのパイルバンカーが激突。
衝撃で、土埃がもうもうとたちこめる。
にらみ合うことしばし、騎士と騎兵が動きを止めたのは同時だった。
その光景に思わず視線を奪われたアマデトを、ボナパルト2が今度こそ撃ち抜いた。
「あー！」
甘桃の悲鳴に反応したかのように、まだ残っていた青チームのギアが、ボナパルト2へと向かっていった。

◆
黒い弾丸をシールドで弾きながら、あるいはかわしながら蒼はDiablo Azulのキャノン砲を連射する。
向こうのギアが飛べることも加味して、今のDiablo Azulは公園の木々の中に陣取っている。枝葉が邪魔で、上空からの強襲は思うようにいかないはずだ。
かといって、こちらが一方的に攻撃できる状況でもないのだけれど。
キャノン砲はそろそろ弾切れが近い。相手もそこを衝くつもりだろうと踏んでいて、だからこそあえて撃ち合いに徹している。
その最中、一つの異変が起きた。
それまで確かに見えていた赤チームのギアが、忽然とかき消えたのだ。
目くらましの煙幕のたぐいもなく、Diablo Azuのレーダーにすら感知されることなく。
（――もしかして、ステルス？）
撃ち合いはむしろ、このための布石だったか。内心で舌を巻く。
けれど彼女もゲーマーだ、思考の切り替えは素早い。
その場で高速旋回。キャノン砲を周囲の地面に叩き込んで、爆煙で機体を包み込む。
見えなくても、消えてなくなったわけじゃない。
爆煙の中を動けば、位置はつかめる。
その時、センサーに反応。激烈なスピードで迫ってくるソイツに、
「――！」
キャノンをパージ。腰から抜き放ったレーザーソードで、煙の向こうにゆらめいた影を一閃する。
確かな手応え。
けれど光刃が斬り裂いたのは、今まで相対していた鳳凰を思わせるギアではなく。
迷彩じみた枝葉を機体にまとわりつけた、けれど野球選手を思わせる風貌のギア――拓磨のトリプルスリーだった。

刺殺覚悟の、身代わりダッシュ。
トリプルスリーの体力が尽きるのを確認しながらも、拓磨はしかしニッと笑う。
「……本盗、任せたぜ！」
その直後、爆煙の向こうから透明な翼が現れる。

ステルスを利用した、二段作戦。
囮を進んで引き受けてくれた拓磨へと、今は心の中で礼を言う。
Diablo Azulの背後に飛び出す、セイクビリット。ステルスが解けたのは、その瞬間だ。
「このまま行くぞ、リット」
『――ああ。決めよう、SHO』
Diablo Azulの反応は、素早かった。レーザーソードを投げ捨てビームライフルを抜いたかと思うと、照準もそこそこに、けれど驚くほど正確に連射する。
しかし、リットが真紅の竜巻を放つほうが速かった。
必殺の、『ラ・スパイラル』。
そいつが決まり手だった。

チームバトル勝者：赤チーム。

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