携帯戦記カプセルギア　ある日、公園でのカプギア風景｜リアクション

携帯戦記カプセルギア　ある日、公園でのカプギア風景

一方その頃、公園の一角。
バトルに明け暮れているのとは別の子どもたちが、集まってカプギアを自慢しあっている。
「名前はアマデトワール、略してアマデト」
百岳甘桃がお披露目したカプギアに、周囲から「かわいいー！」という声がいくつもあがる。
角と翼をもっていて、目にはハートの模様も入っている。曲線的なフォルムもあって、とてもファンシーなカプセルギア。
かわいいかわいいと皆に言われて、甘桃はごきげんだ。
ハートやリボンでこちらもかわいくデコられたピンク色の簡易端末を操作すると、アマデトがその場をくるくると走り回る。
身体よりも長いたてがみが、サラサラと風になびく。いななくように前足をあげれば、波打つたてがみがキラキラと輝いて見えた。その様子は、まるで妖精。
「わぁ、かわいいねぇ……たてがみもサラサラだねぇ」
曖浜瑠樹や、周囲の子たちがほわっと頬を緩ませれば、甘桃は胸を張る。
「だって毎日ブラッシングしてるもん！」
かわいさのためには、毎日のお手入れも大事なのだ。
甘桃＆アマデトに続いて、他のギアマスターたちも「カワイイ」ギアを持ち寄りだす。アマデトと同じように動物型だったり、人型でかわいく装飾がしてあったり。
ここまでは見る専だった瑠樹も、
「かわいさなら、ラズちゃんも負けないよぉ！」
とつぶらな瞳の白兎のカプセルギア、「ラズちゃん」をお披露目。
「すっごいふわふわなの……！」
ぬいぐるみ型のボディに桃色の洋服を着たその姿は、甘桃も思わず目を奪われるかわいさだ。
スマホに入れた【A.I.C.O.】さんに手伝ってもらって……というか操作して、瑠樹はラズちゃんを動かしてみせる。
うさみみレーダーを揺らしてふわふわくるくる、ぴょんぴょん跳び跳ねてかわいくポーズ。
「かわいいー！」と、本日何度目かの歓声があがる。

◆
「カプギアのお披露目会？　私も混ぜてもらってもいいかな？」
盛り上がっているお披露目会に、今度は八重崎五郎八が顔を出す。
五郎八が手にしているのは、グリフォン型のグリフィージス、人型ながらクジラを思わす重装甲のケートス、ニンジャを思わせるイヅナ……愛用の3体のギアだ。
三者三様、それぞれかっこいい彼らを、
「実はこれだけじゃないんだよねー。よーく見ててね」
五郎八はなんとバラしはじめた。
「えっ、くずしちゃうのぉ！？」
瑠樹たち小学生らがびっくりする声に、「まあまあ見てなって」と五郎八。その間にも、彼女の手は休まず動いていて。
そして気づけば、あら不思議。
鯨を思わせる厳つい頭部。
フェイスガードをカチッ、と上げれば現れるのはヒロイックな顔。
槍を持った右腕に、巨大な手甲を付けた左手。
ホバー装備のどっしりとした脚部は、スカートのよう。
槍と盾を構え、背に翼を持つ戦女神型ギアが出来あがっていた。
おおー、と周囲から歓声があがる。ギアの格好良さもさることながら、その場で新しいギアを素早く組み上げた五郎八の腕前もすごい。
「動かしてみてよ！」
興奮気味のギャラリーの声を聞きつつ、機体登録。
「名前は……うん、ジークルーネにしようかな」
かくして新たな愛機となった戦乙女――ジークルーネをテスト起動すれば、ウィングブースターを一気に展開。
公園の空へと、鮮やかに飛び立つのだった。

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