星ヶ丘ＵＦＯ墜落事件｜リアクション

星ヶ丘ＵＦＯ墜落事件

エロ・イーアールオーは、はっとした。気づけばそこは、靄のようなものに包まれる星ヶ丘ホースクラブだった。
「ここは……？」
　エロは一人、首を傾げた。
　なんとなく辺りを見回すと、
「！？　あれはなんなのです？」
　ホースクラブのド真ん中に、火の玉のように赤く光る球体があった。落下の衝撃で炎が出て、燃え上がっている。しかもその側にフラットウッズ・モンスターがうろついている。近づく者に敵意を持っているようだが、光る球体の側を離れようとはしない。
　ちなみにエロは消火器とスイーツが入った紙袋を手にしていた。
「えーと、どういう状況なのです？」
　考え込んでしまったエロ、少しの間固まっていたが、
「は！　わかったのです。宇宙人さんはきっと困っているのですー。宇宙人さんを助けるのですー！」
　そう結論を出すことにした。
　観察していると、フラットウッズ・モンスターは炎のせいで球体に近づけないようだ。明らかに困って困っている。
　まずは挨拶をすることにした。
「こんばんはなのですー・エロはエロなのですー」
　言葉が通じても通じなくてもとりあえず話しかけ、コミュニケーションを計ることにした。
　

「なんだあれ？」
　北里雅樹は夕方、学校から猫鳴館への帰る途中にジグザグに走る赤い光を見た。
　反射的にその光を目で追うと、星ヶ丘の方へ飛んで行く。そして星ヶ丘ホースクラブへと墜落したようだ。
「おいおい、マジか？」
　雅樹は思わず赤い光の墜落した地点へと駆け出していた。
「はぁ、はぁ」
　なんとかホースクラブへ着いたものの、すでに疲れ気味だ。実感する体力のなさ。雅樹は肩で息をしながら、顔を上げた。
「なんだよ、ありゃ」
　なんとも、現実離れした光景が広がっていた。
　ホースクラブのど真ん中に落ちた赤い球体、燃え盛る炎、そしてその周りをフラットウッズ・モンスターがのさばっている。かなり狂暴そうだ。
「うぐっ！？」
　辺りには強烈な悪臭が漂っていた。目に染みて涙が出てくる上に頭痛までしてきた。
「なんでこんなに臭いんだ？」
　と、そこで見覚えのある人物の姿が。
「あれは……？」

　気づけば椎井莉鳥は見慣れぬ場所に立っていた。
「え……？」
　直前まで学校にいたはずだった。部活を終え、シャワーを浴びて汗を流し、制服に着替えて校舎の外を出て、何気なく空を見上げると、赤い光が瞬きながら移動しているのが見えたのだ。
　そして、次の瞬間にはこの場所にいた。
　辺りを見回すと、どうやら星ヶ丘ホースクラブらしいことがわかった。
　それと同時にその場所に広がる非現実的な光景を目の当たりにする。
　ホースクラブのど真ん中に落下したらしい球体が炎に包まれ、その周りをフライトウッズ・モンスターが闊歩している。
　莉鳥に気づいたのか、こちらに敵意のこもった視線を送ってくる。モンスターからは強烈な悪臭が漂ってきて、思わす顔をそむけてしまう。
「っ！　……あれに近づく人間を問答無用で敵として認識してるみたいね」
　敵と判断すると攻撃してくるのだろう。
　理由はおそらく自分の身を護ること、そして宇宙船らしき球体を得体のしれない連中にいじられたくないのだとう。莉鳥はそう思い、説得を試みることにした。
　そこで聞き覚えのある声で名前を呼ばれた気がした。

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