寝子暦1370年6月某日、夕方。
赤い光が暮れかかった空を横切ったとき、オカルト好きな
花菱 真紀は、寝子高の屋上で空を見ていた。
ここ数日、誰でも投稿できる都市伝説収集サイト
F.O.A.F都市伝説研究室に、赤く光る飛行物体を見たという書き込みが連続であったためだ。
ある人の話によれば、九夜山の山頂付近を飛行機とは思えぬ動きで左右に蛇行する赤い光を見たという。
また、ある人の話によれば、急な盲腸で入院して手術後部屋で痛みに呻いていたら、急に窓の外から赤い光が差し込んで来て、ひゅっと飛び去っていったという。
そして、今しがた、真紀の視界を横切っていく赤い飛行物体。絶対に飛行機ではない。
「UFO……だよな?」
空飛ぶ円盤という名を一躍世界に知らしめた、とあるアメリカの実業家が謎の飛行物体を目撃した事件。墜落したUFOを米軍が回収したと騒ぎになったロズウェル事件。日本でも、小学生がUFOを目撃した甲府事件など、UFO目撃談は世界中に多数ある。
そう、この寝子島の上空を横切っていても、何も不思議はないのだ!
赤い未確認飛行物体――やはりUFOと呼ばざるを得まい――は、ギザギザと左右にぶれる軌道を描いていた。
そして次の瞬間、真紀の見ている前で、墜落した!
「え! あそこって
星ヶ丘ホースクラブじゃないか?」
星ヶ丘ホースクラブにUFOが落ちた!?
真紀は思わず走り出していた。
駆けつけてみると、ホースクラブのど真ん中に、火の玉のように赤く光る大きな球体があった。
真紀は目を見開いた。
目の前には、身長約3メートル、顔は赤く、スペード型の透明のヘルメットをかぶった金属の体を持つ、怪物の姿が!
「あれは! フラットウッズ事件の怪物……
フラットウッズ・モンスターだ!」
厩舎の馬が興奮していななく声が響いた。
こんにちは、高城ヒトです!
花菱 真紀さん、ガイドへのご登場ありがとうございます。
らっかみ!タイムも6月下旬と相成りまして、
6月24日UFOの日にちなんだ事件をお送りいたします。
状況
星ヶ丘ホースクラブに、赤く光る飛行物体が墜落したのが目撃されました。
そこに現れたのは、巨大な身体を持つ怪物、通称『フラットウッズ・モンスター』!
皆さんは、赤い光を目撃して駆けつけたり、たまたま近くを通りがかったり、
あるいは赤い光を見た瞬間気づいたらこの場にいたりして、事件に巻き込まれました。
ホースクラブ周辺には、球体の落下によってか、煙かもやのようなものが立ち込めており、
周囲からの視線を遮断しています。
今のところ、建物や厩舎、馬たちへの被害もありません。
ただこのまま放置しては、煙は晴れてモンスターや球体が人々の目に触れ、
フツウが壊れてしまうかもしれません。
のどかな空気や緑豊かで美しいホースクラブも、騒がしいUFOのメッカとなってしまうことでしょう。
フラットウッズ・モンスターは近づく者に敵意を持っているようですが、
光る球体の側を離れようとはしません。
ただ、球体は落下の衝撃で激しく炎を上げており、モンスター自身も近づくことができないようです。
フラッドウッズ・モンスターをやっつける?
宇宙船かもしれない光る球体の炎を消してみる?
それとも――?
みなさん、フツウを守ってください!!
<フラットウッズ事件とは>
1952年アメリカのウエストバージニア州にあるフラットウッズで起った宇宙人目撃事件。
学校のグラウンドにいた少年たちが赤く光る飛行物体を目撃し、
追いかけてみると、異臭を放つ奇妙な怪物に遭遇した。
<フラットウッズ・モンスターについて>
身長約3メートル。
顔は赤く、スペード型の透明のヘルメットをかぶっており、目は青みがかったオレンジに光る。
金属の体に修道女の衣装を思わせる緑色のスカート状の服を着ている。
細い枝のような腕にかぎ爪のような手。
宙に浮かんで移動し、ひどい悪臭を放つ。悪臭を吸い込むと気分が悪くなる。
自分や光る球体に近づく者を爪や悪臭で攻撃するが、光る球体から大きく離れようとはしない。
言葉を理解するかは謎。
<光る球体>
直径約3メートルの球体。
燃えるように赤く輝いているが金属のようだ。
一部がひしゃげていて、激しい炎を上げている。