電池切れとの付き合い方｜リアクション

電池切れとの付き合い方

●タイミング

　寝子島高校。　
　昼休みになると、水守流は昼食をさっと食べ終えてスマホを取り出した。流はゲーム全般に触れていて、もちろんスマホゲームも例外ではない。意気揚々とゲームを起動してステージに突入する。軽快な指さばきで画面のなかをすいすい進んでいく。敵や障害物を難なく避けたり倒したり。

（順調順調、良い感じだ）

　ステージはまだ続くが、この調子なら問題なくクリアできるだろう。そう思ってさらに先へ進めようと画面を操作する流。そのとき、画面になにかが突然表示された。

『電池残量が残りわずかです』

「うえ？」

　流は思わず目を見張った。残量を確認すると、ほとんど残っていない。

「ゲームがいいとこだってのに！　よく見たら充電があと少しじゃねぇか！」

　昨日スマホは充電したはずだが、どうやらしっかり充電し終える前に持ってきてしまったようだ。

（まずいな、フル充電だと思って起動してステージ入ったのに……想定外だぜ……）
（かといって学校で充電するわけにもいかねーし、ここはステージクリアまで電池が持つことを祈って……）

　そう考えて、ふたたびゲームを開始する。

「なーに、何事もなけりゃ十分もつ……」

　その直後、通知音とともにメールが届いたことを知らせる文章が現れた。
　しかも流にとって割とどうでもいい内容だった。

「なんでこのタイミングで……」

　そんなことを思っていると今度は実家からニャインで着信が飛んできた。
　それに出ると向こうから他愛のない話題を振られる。

（どうしてこういう時に限ってメールや通話がきたりすんだよ！？）

　会話もそこそこに通話を切り上げる。電池残量を確認すると、ただでさえ少なかったのがさらに減っている。

「ああ！　電池が！　電池が！」

　しかしまだゼロになったわけではない。今からステージを進めてクリアさえすれば問題ない。
　流はすぐにステージ攻略に取り掛かる。だがその直後、スマホの画面が真っ暗になった。

　深いため息が流の口から漏れた。

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