この素晴らしいステッラ・デッラ・コリーナで週末を！｜リアクション

この素晴らしいステッラ・デッラ・コリーナで週末を！

◆13時：客室

　朝鳥が目を覚ますと、一糸まとわぬ姿でシーツにくるまっている。
　……気怠い。体を起こす気力が湧かない。
　昨夜の相手は既にチェックアウトしたのか、姿はない。
　なるほど、ベッドを持て余すほどのスペースがあるのはこういう事か。
　とりあえず、彼女は気力を振り絞り、ベッドサイドのスマートフォンを手にして時間をチェック。
「13時過ぎ……。寝すぎた……」
　ランチタイムも間もなく終わる。
　別にいい。そんなに空腹ではないから。
　朝鳥はのろのろとベッドから這い出し、シャワールームで昨夜の『痕跡』を洗い流す。
　念入りに洗い流したところで、一晩経過しているのだから効果は定かではないけれど。
「……なんでここにいるんだっけ？」
　ぼーっとした頭で思い返す、昨晩の事を。
　最初は星ヶ丘の自宅に荷物を取りに戻ったはずだった。
　荷物をまとめて、また出かけようと歩いてた矢先、優しそうな男性に出会って……。
　結局、目的は今まで男と一緒だったけど。
「そういえば、このホテルに泊まるのは初めてだった」
　地元民は観光地と呼ばれる場所へは普段、足を運ばないものだ。
　シャワーを浴び終え、身体を拭き、服を身に着ける。
　これからどう時間をつぶそうか……？
　ぼんやりしながら室内にあるパンフレットなどを見ると、室内プールがあるのを知る。
「水着、売ってるかな？」
　幸い、男が残していった宿泊代＋αが手元にある。
　別に勝手に残していったんだ、好きに使ってもいいのだろう。

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