この素晴らしいステッラ・デッラ・コリーナで週末を！｜リアクション

この素晴らしいステッラ・デッラ・コリーナで週末を！

◆午後：プール

　なぜ、御剣は性欲を持て余していたのか？
　それは日中、彼がプールに行ったことが原因している。
「ご飯を食べる前に運動をしておけば美味しいご飯が更に美味しく食べられる！」
　そう豪語する彼は、ランニングマシーンで最速を目指したり、ウェイトトレーニングで汗を流していた。
「よし、クールダウンついでにプールでサッパリしてこよう」
　持久力向上も兼ねて、御剣はコースを何往復も泳いでゆく。
「クロール、背泳ぎはＯＫだ。次は平泳ぎで全身の筋肉を意識して……ん？」
　その時、水面に何かが浮かんでいるのを見付けた御剣。
「なんだあれ？　肌色の２つの丸い物体が浮かんでる……？」
　というか、溺れてる？？
　御剣は即座に飛び込み、浮かぶ丸い物体目掛けてクロール！
「おい、大丈夫か！？　しっかりしろ！」
　御剣、生死確認の為、丸い物体に手を添えようと……！
「えっ！　ま、待ってください！！」
　浮かんでいた本人、北条冬華が２つの丸い物体もとい育ち過ぎた己の両胸を腕でガードした。
「というか、刀さん！？　さすがは超寝子高級のムッツリスケベの異名通りですね！？」
「あれ北条の胸か！？　俺は溺れているかと思って！　というかその異名は何処で聞いた！？」
「あら、私は水中ヨガをして『浮かんでいた』だけですけど。確かに、胸が大きすぎて余計な浮力があるので、傍目から見たら溺れているように見えたのでしょうけど……。異名に関しては、身から出た錆では？」
　照れ笑いする北条に対し、御剣はガックリ。
　ただし御剣アイは北条のおっぱいをロックオン中だ。
「それにしても、ここでお会いするなんて偶然ですね、刀さん？」
「ああ、今日は三人四脚駅伝の優勝賞品でここに……」
　いかんいかん、と御剣は北条（の胸）から目を逸らす。
「と、とにかく！　あまり紛らわしいことはするなよ！　じゃあな！」
　顔を真っ赤にして御剣がそそくさとプールから上がってゆく。
　その際、ひとりの大人びた少女とぶつかり、頭を下げて詫びながら逃げるように行ってしまった。
「……刀さん、どうしたのでしょうか？　でも溺れているように見えていたなんて」
　確かに、勘違いされて他の男性が慌てて飛び込んで来られても困る。
　北条はやむなくプールサイドへ移動することにした。
「……水着、今年も新調しないと駄目ですね。胸元が特にきつくて……」
　高校生とは思えないプロポーションを誇る北条は、歩くたびにぷるんぷるんと色々と揺れる。
　当然、その場にいる男性の目を引く。
　そこに、先程、御剣と激突した少女、朝鳥さゆるが不機嫌そうな顔で声かける。
「あなた、水着のサイズ、合ってないんじゃない？」
「え、えっと、そうかもしれません……」
　はぁ、と呆れかえった朝鳥は、プールに入る前に一言だけ告げた。
「ここの商業施設に新しい水着が入荷しているわ。デザインもなかなか。行ってみたら？」
　すると、他の事に興味をなくしたかの如く、朝鳥は物憂げな人魚姫めいて泳ぎ始めた。

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