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つくもがみの夜
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「おおおお化け! お化け出た! いやいやいや無理、無理だって!」
レオンはそんな事を大声で叫びながらもしっかりと逃げていた。ホラー映画で起るように途中で足がもつれたりもしないし、何かに躓いたりもしない。寧ろ、とてもしっかりとした足取りだ。
だけど、そんなしっかりとした逃げ足であるにも関わらず子猫のぷーにゃんを引き離せない。
いや、そもそもおかしいのだ。あれはぼろぼろで、血に塗れていたが紛れもないぬいぐるみの筈。なのに、何故まるで人間が歩くかのような足音が聞こえてくるのか。
更に言えば、まるで地獄から響くかのような猫の鳴き声がレオンの耳に届いて来ている。再度言うが、あれはぬいぐるみだ。鳴き声なんて上げる筈がない。
だけど、今正に経験しているレオンには解った。これは――恨みだ。憎しみだ。呪いだ。
住職の話では、惨劇を起こした犯人は既にこの世にはいない。ぬいぐるみが殺しているのだ。だけど、それでぬいぐるみが持つ暗闇は晴れなかった。このぬいぐるみはその暗闇が晴れるまで、人の命を狙い続けるのだろう。
「くっそぉぉおおおお! 聞いてた通り、結構動き早いし! ていうか、絶対弄ばれてる! く、来んなー!」
逃げているというのに大声を上げるのはどうなのだろうか。いや、この場合、何かしらの手段でレオンの場所を特定している可能性が高いので、大声を上げなくても同じなのかもしれないが。
だが、今回に限れば、この大声こそがレオンを救う事となる。
「ぷーにゃんちゃん、その人は……大切な人を襲った奴じゃない!」
最初にレオンの元へと駆けつけたのは夏朝だった。レオンを庇うように子猫のぷーにゃんの前へと手を広げて立つ。
すると、邪魔者が現れたとでも思ったのか、子猫のぷーにゃんはその足取りを止める。心なしか猫の鳴き声をも少し弱くなったような気さえする。
「ぷーにゃんちゃん……。もう、止めよう?」
夏朝が子猫のぷーにゃんへと話しかける。それは止まって欲しいという一心による言葉。
だけど、憎しみや恨みが晴れない子猫のぷーにゃんには、届かない言葉なのだろうか。邪魔をするなというようにその瞳の紅の輝きが強くなる。
「これは……。どうやら囮になる必要はない、みたいだな……」
「シュー君」
だが、そこに更なる状況の変化が訪れる。二組の足音と共に修と美咲紀もレオンの声を聞きつけてやって来たのだ。
主を殺した人間と同じような見た目をした人間。子猫のぷーにゃんからすれば修はそのように見えた。
沢山の猫の鳴き声にエコーでもかけたかのような声。それが周囲に響き渡る。同時に子猫のぷーにゃんから暗闇よりも昏い何かが噴き出る。
あぁ、それこそが憎しみ、恨みが顕現したもの。そう、呪いなのだろうとその場にいた全員が直感で感じた。それだけ、それは生物としての本能に忌避感を与えるものだったのだ。
子猫のぷーにゃんが持つ包丁が月の光を反射する。それはまるで今からそれで切り裂くと言っているかのようだった。
「まずいっ! 美咲紀、離れろ!」
修がそう叫ぶのとどちらが早かっただろうか? 修へと子猫のぷーにゃんが飛びかかり、包丁を一閃。
容赦もなく、喉笛を狙っていたと思われるそれは修が身体を動かす事で辛うじて避ける事に成功する。僅かながらに二の腕辺りを切り裂いてはいたが。
「シュー君!」
「八神君!」
美咲紀と夏朝が同時に叫ぶ。
子猫をモチーフとしたぬいぐるみだからだろうか、その動きは猫のように軽い。
修を切り付けた後、少し離れたところに着地した子猫のぷーにゃんを見て、これはかなり厄介だなと修は感じていた。
「うおおおおおお、ちょ、まっ、何で俺ばっかり!?」
ズガンと転がるレオンの直ぐ近くに包丁が突き刺さる。
どうやら子猫のぷーにゃんが狙うのは男性のみであるようで、切り裂こうとするのは修かレオンのみであった。
そして、修はどうやら回避が上手いと判断したのか、あまり狙わないようになり結果的にレオンが狙われる回数が増えているのだ。
しかし、皆もそれをただ見ているわけではない。夏朝や修はどうにか説得できないかと試しているのだが、どうやら今の子猫のぷーにゃんに言葉が届かないようでそれらは失敗していた。
ならばと、美咲紀が「なんて可愛いにゃんこちゃん!」と話しかけたり、ねこじゃらしで気を引けないか試していたりもするのだが、それもどうやら効果的ではないようだった。
「うおっ、いったっ!」
子猫のぷーにゃんの包丁の刃が浅くレオンの手の甲を切り裂く。それ自体は問題はない。美咲紀がろっこんによって癒す事が出来るからだ。
問題なのは体力の方である。段々とその刃が傷つける回数が増えている。このままでは深い傷を負う可能性も十分に出てくる。
だが、隙を見て女性陣がお札を貼ろうとしてもその俊敏性故に貼れないでいる。もっと、決定的な隙を作る必要がある。
「皆さん!」
「厄介な事になってるみたいね……」
焦りを募らせる面々の間に、新たな人物の声が届く。莉鳥とリリエルである。
新たな人物の登場により、一瞬、全ての人物の動きが止まる。そして、その隙を子猫のぷーにゃんは見逃さない。
「あ、あぶない! えーっと、何か気をひきつけれるもの。と、とにかくなんでもいいからあたってくださーい!」
「効果があるかどうか解らないけど。喰らいなさい!」
隙をついて修を狙おうと動く子猫のぷーにゃん。しかし、その動きは思わぬ妨害に合う事となった。リリエルによるそこら辺にある物をとりあえず投げつけ攻撃と莉鳥のろっこんによる攻撃だ。
紅く輝く瞳に、血で染まったぬいぐるみという姿に怖がっている為、全く狙いは付けれていないものの運良くその中の一発がクリーンヒットする。
そして、莉鳥の指先から迸る闇夜を切り裂く電流。それはまるで闇を浄化せんとする光の槍の如く子猫のぷーにゃんへと突き立つ。
リリエルの投擲でバランスを崩していた子猫のぷーにゃんが少し離れた場所へと弾かれる。
「おっと、助かった!」
「あ、はい!」
「気を付けてね」
それにより子猫のぷーにゃんの襲撃を回避する事が出来た修はリリエルと莉鳥にサムズアップをする。
「ふむ。どうやら呪いのぬいぐるみだから、お化けとは違って物理的な攻撃が通じるのね。それに、もしかして男しか狙わない?」
「はい、そのようなのです。だから、私達女の子はある程度自由に動けるのですが……。動きが速いのです」
「確かに俊敏性を持つという話ではあったわね。それにぬいぐるみだから、的そのものが小さいのも厄介、か」
まだ現場についてからそう経っていないが、莉鳥はそう分析した。子猫のぷーにゃんの行動とリリエルと自らによる行動阻害の結果を見ての考えだ。それを正しいと頷く美咲紀。
問題は、どうやってその動きを止めるのかと言う一点に尽きる。
莉鳥と美咲紀のやり取りを聞いて、夏朝は決意をする。自らの身で子猫のぷーにゃんを止めるという事を。
物理的な方法で通じるというのであれば、例えば抱き締めたりすれば行動を妨害する事も可能な筈だ。だけど、そこまですれば幾ら相手が女の子でも手に持つ包丁を振るう可能性はある。だけど、夏朝はこれ以上見ていられなかった。元々自身が傷付いても止める決意をしているのだ。
「……ん? ぬいぐるみ? そうか、あんなナリでも、ぬいぐるみなんだよな?」
夏朝と同じように莉鳥と美咲紀のやり取りを聞いていたレオンがとある事に思い至る。そう、この暴れているぬいぐるみが自らのろっこんの対象なのではないかと。
名前は子猫のぷーにゃんだと判明している。もしかしたら、あのぬいぐるみの持ち主がつけているかもしれない名前でないとダメかもしれない可能性もあるが、試してみる価値はある。
「ぷーにゃん! 止まれ!」
再び修へと飛びかかろうとしていた子猫のぷーにゃん。しかし、その動きが止まる。レオンの宣言と同時に。
効いた! と、レオンが喜びかけるもどうも様子がおかしい。子猫のぷーにゃんが小刻みに震えているのだ。まるで、束縛から抜け出そうとでもしているかのように。
「げっ、まさか完全に効いてないっ!?」
レオンがそう叫ぶも、レオン以外の他の人間は何が起こったのか把握が出来ていない。
しかし、その中で二人、即座に行動を起こす人物がいた。――既に覚悟を決めていた夏朝と冷静に状況を分析していた莉鳥だ。
「ぷーにゃんちゃん!」
「皆、ぷーにゃんにお札を!」
夏朝と莉鳥の二人の声は奇しくも同時に上がる。
夏朝が優しく包み込むように抱き締め、そして、その背中にお札を貼る。
お札が貼られても尚、子猫のぷーにゃんはまだ恨みは晴れていない、憎しみは存在していると言わんばかりに動き出そうとしていた。暴れる手足。包丁が抱き締めている夏朝を傷付ける。
だが、夏朝はけして離さない。その腕の力をけして緩めない。
その間に莉鳥、リリエル、修、美咲紀、レオンが夏朝の元へと集い、子猫のぷーにゃんにお札を貼っていく。
すると、貼られるお札の数が増える毎に子猫のぷーにゃんの身体から噴き出していた黒い何かが治まっていき、暴れていた手足も静かになっていく。
「ぷーにゃんちゃん……つらかった、ね」
ぬいぐるみを抱き続けたまま夏朝は労わるようにそう語りかける。
夏朝は知っている。辛さ、憎しみ、後悔というものは簡単には消えないという事を。彼女自身も未だに許せない相手がいるから。
子猫のぷーにゃんが果たしてどのような想いで包丁を振るっていたのかは解らない。だけど、憎しみを纏ってどうやっても修やレオンを斬りつけようとしていたその姿からはただ、憎しみを晴らしているだけではないのではないかと思っていた。
もしかしたら、主であった少女を護ろうとしているのではないかと。
「ごめん……ぷーにゃんちゃん、ごめんね」
惨劇が起ったのは過去。夏朝にはどうしようもない事だ。
それでも、子猫のぷーにゃんが包丁を振るう姿を見た夏朝は謝り続ける。
「ご主人を殺めた奴が許せなかったんだな……」
修もまた動いていた姿から何かを感じ取っていた。
恐らくは子猫のぷーにゃんは全てを許せなかったのではないかと。そう、ぬいぐるみ故に主を護れなかった自分を含めて。
だけど、こうして理不尽な目にあった主の恨みを晴らすぬいぐるみを見て、きっとその少女は優しい少女だったのだろうと思うのだ。
だから、もう止めて欲しいと願う。そんな少女ならば子猫のぷーにゃんが誰かを傷つけるなんて望む筈はない。
「おやすみ、ぷーにゃん」
光射す明るい方へ行くと良い。ご主人の居る天国はその先だよと修は祈る。
「ぬいぐるみさんは愛されているのが一番イイと思うのです」
修が祈る横で美咲紀はそう呟く。
そう。それこそがぬいぐるみの本来の姿と言える。本当であれば、この子猫のぷーにゃんも今もそうであった筈なのだ。
だけど、惨劇の中で可愛がられる筈のぬいぐるみはその本質が変わってしまった。
どれだけの時が必要となるか解らない。けど、在るべき姿に戻って欲しいと美咲紀は願う。
「怖がってごめんな……綺麗にしてやるから」
レオンはそう言って裁縫セットを取り出した。どうやら彼は破けている箇所の補修をするつもりでいるらしい。
確かにボロボロの状態でいるというのももしかしたら、恨みが晴れない原因の一つかもしれない。
ただ、レオンにすれば打算というものはなく、ただボロボロのままにしておくのは何となく嫌だというそれだけなのだが。
「滝原さん、ぬいぐるみさんを直してあげるのです?」
「うん、このままにしておくのはね」
裁縫セットを見た美咲紀の問いかけにレオンは頷く。
成仏してほしい。言葉は違えどその想いに違いはない。
「大丈夫?」
「あ、椎井さん。は、はい、大丈夫です」
「あまり大丈夫そうには見えないけどね」
莉鳥の言う通り、リリエルはすっかりへたり込んでいた。どうやら安心した瞬間に腰が抜けてしまったらしい。
「全く……。そんな様子じゃちゃんと歩けそうにないわね。仕方ないから近くまで送って行ってあげるわ」
「えぇ!? いえ、そんな悪いですよ!」
「そんな状態で何を言ってるのよ」
少し離れたところで莉鳥とリリエルがそんなやり取りを交わしている。それを見て、他のメンバーが薄っすらと笑みを浮かべた。
それこそが事件の終わりを象徴するものであるかのように。
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ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
バトル
神話・伝説
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2018年06月12日
参加申し込みの期限
2018年06月19日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年06月19日 11時00分
参加キャラクター一覧
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