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6月の魔法
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「言嗣。聞いてるか、言嗣」
「何かね、久雨。私が可愛い妻の言葉を聞き逃すはずがないじゃないか」
「言葉は聞き逃さなくても時間は逃げている。ほら、時計を見ろ。少しゆったりし過ぎではないのか」
そう言って
浮舟 久雨
……失礼、もう数ヶ月前から彼女は畑生久雨である……は、壁に掛かる時計を指さす。その先を追った彼女の夫
畑生 言嗣
の眉がほんの少しだけ上がった。
「おや……もうこんな時間か。時というやつはせっかちだね」
言嗣はふうと肩を落とし溜息をつく。本当にやれやれだ。朝は妻と共にいられる貴重な時間だというのに。どうせせっかちなら昼間にして欲しい。それなら私はすぐに帰宅し妻に会える。
……まあ言嗣の時の流れは久雨と過ごす時は早く、それ以外は遅く感じられるので、時の方も迷惑な言いがかりだろう。しかし久雨は彼と時の流れを議論するつもりはなかった。
「まったく……。そろそろ行く時間だぞ」
ぷんと腰に手を当て、軽く言嗣を睨んでみる。専業で家事を担う彼女としては、夫を遅刻させる訳にはいかないのだが……そんな可愛い仕草は返って言嗣を喜ばすだけだった。実際彼は立ち上がりもせずににこにこしながら久雨を愛でていた。
「こんなに可愛らしい君を家に一人にはできないな。うむ、今日はやはり」
「遅れるぞ、言嗣」
久雨は冷静に言嗣の言葉尻を取って奪う。しっかり者の奥様を前に、マイペースの夫はにこりと笑った。
「あぁ、行くとするよ」
「忘れ物はないな?」
弁当は持たせた、身なりも大丈夫。玄関でのチェックを奥様は欠かせない。何せ「鏡を見るより君の顔を見ていたい」と真顔で言う夫なのだ。
「よし、じゃあ気を付けて」
満足そうにうむうむと頷く久雨を前に、言嗣は微笑んだ。
「待ちたまえ。忘れているよ」
「む? 何を忘れたんだ? すぐに取ってこよう」
家の中に戻りかけた久雨の手をすかさず握り、言嗣はふわりとその体を抱きしめた。
「行ってきますのキスを忘れている」
―――ボン!
彼の腕の中で久雨はゆでだこになった。
「そ、そういうのは後だ! 言嗣が遅れてしまうではないか。だから、その……」
じたじたと暴れていた久雨が大人しくなり、そっと彼の胸に手を乗せて小さく呟いた。
「その……早く帰って来てくれ。できるだけで、良い」
久雨はもう耳まで真っ赤になっている。言嗣はそんな彼女を愛おしそうにぎゅうと抱きしめた。
「そう言われてしまっては何もできないな。なるべく早く帰るとしよう。仕事など、どうとでもなるからね」
きっとこの男は本当にどうとでもしてしまうのだろう。何でもこなしてしまうくせに、彼の順位はいつでも妻が1番なのだから。
「気を付けて、いってらっしゃい」
まだ頬を染めたままの妻の見送りに思い切り後ろ髪を引かれながらも、言嗣は「あぁ、行ってきます」とようやく家を出た。
「さて、片付けようか」
自分1人になった家で、久雨はきゅっとエプロンの腰紐を結んだ。やはりこうすると気が引き締まる。言嗣が帰ってくるまでに気持ちのいい家にしておかないとな。
食器を洗う前に洗濯機を回してしまおうか。そう思い窓の外を見た久雨の眉が上がった。
(あれ?)
何やら空を見て感じるところがあった久雨は、新聞を見る。その表情が険しくなった。
(これは……いかん。届けに行かなくては!)
早くしないと手遅れになる。久雨は玄関にあったそれをバッと掴み、家を飛び出した。
「……嗣、言嗣!」
のんびりと歩いていた言嗣の耳に微かな声が飛び込んできた。こんな可愛らしい声は世界に2人といない。言嗣が確信を持って振り返ると、道の先に小さく久雨の姿があった。何やら片手を振りながらこちらに駆けてくる。
「どうしたのかね? やはり行ってきますのキスがしたくなったのかい?」
言嗣は久雨の方に戻りながら、優しく声をかけた。よっぽど全力で駆けてきたのだろう、愛しの妻は膝に手を置き肩でぜいぜい息をしている。
「ま、間に合った……良かっ……」
久雨は息を乱しながらも、ずいっと手に持っている物を言嗣の前に差し出した。久雨が家からずっと握りしめていた物。―――それは、折りたたみ傘だった。
「今日は……雨が降るかもしれんという予報だ。濡れて体を冷やしたら大変だろう」
乱れた髪で顔を上げ、言嗣ににこりと微笑む久雨。言嗣は危うくここで『行ってきますのキス』をしそうになったが、ぐっと我慢をした。公衆の面前だからなんて陳腐な理由ではない。そういう事を気にする久雨が嫌な思いをしてしまうから、我慢したのだ。言嗣は宝物のように傘を受け取った。
「それは有り難いね……だが、安心し給え。君の愛情で私の体は常にポカポカだよ」
ほら、今も。言嗣の頬に幸せな笑みが浮かぶ。私達の深い愛は、雨如きでは何ともならないさ。
傘を渡す事が出来た久雨は、ほっと胸を撫で下ろした。
(……少しは、役に立てた)
些細な事かもしれないけど。久雨の口元が少し綻ぶ。一安心した久雨はさあ帰ろうと体を起こした。そして周囲の視線に気が付いた。
(何でちらちら見られてるんだ?)
久雨は不思議に思いながら自分に視線を移す。そして仰天した。足元はつっかけサンダル、その身にはエプロンが着けっぱなし。この通勤の時間帯に、久雨はお財布を忘れる陽気な主婦状態だったのである。
(しまった、急いでいたから……!)
もう頭の中はル~ルルルルッル~♪ という音楽でいっぱいだ。久雨は恥ずかしそうに身を捩りながら言嗣に謝った。
「すまん、言嗣……私は何て格好で出てきてしまったんだ。貴様に恥をかかせるつもりではなかったのだが……」
役に立ったと思ったのに。自責の念に駆られながら久雨の目尻に涙が滲む。すぐこの場から立ち去るのがせめてもの償いと、くるりと駆け出そうとした時、がしりとその細い手首が掴まれた。
「……帰るのかい?」
不思議そうな顔で言嗣が覗き込んでくる。こんな情けない自分を見られたくないと思いながら、久雨はぎゅっと目を瞑った。
「だって、外にこんな格好で……」
すると。
「安心するといい。君は素敵な奥さんなのだから、何も恥ずべき事はない。堂々としていれば良い」
言嗣はそう言うと、久雨の頭を撫でながら少し乱れてしまっていた髪を丁寧に直した。
「夫の危機にこんなに急いで馳せ参じてくれる妻の、どこが恥ずかしいんだい? 君は美しいよ、世界一」
そうさ、本当に美しい。それなのにまだまだ世界は妻の美しさに気付けていない愚かな人々で溢れている……!
興が乗ってきた言嗣は自慢の妻を見せつけるべく、通りに向かいバッと両手を広げた。そしてさあ演説という時、その口は危険を察知した久雨にもごもごと塞がれてしまった。
「お、遅れるぞ言嗣!」
「いや、これから君の美しさについて道行く人々に説こうかと……」
「そんな事はしなくていい! 貴様が遅刻する方が心配だ。それに……」
久雨は斜め下を向きながら小さく言った。
「……それは、言嗣が分かってくれていればいいから」
瞬間、久雨はリミッターが外れた言嗣に抱きしめられてしまった。笑顔で頬ずりをする言嗣と、真っ赤な顔で抵抗する久雨。結局、目立ちまくりである。
本気で怒り始めた久雨に言嗣はしぶしぶと離れる。言嗣は右、久雨は左に歩を進める。数歩離れ、互いが振り向いた。久雨は少し驚いた顔をしたが、小さく小さく言嗣に手を振ると、またくるりと向きを変えつっかけサンダルで駆けていった。赤く緩んでしまった頬を押さえながら。
それを、言嗣はずっと見ていた。幸せそうに微笑みながら。
―――今日も、早く帰ろう。君の待つ我が家へ。
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担当ゲームマスター
KAN
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2018年05月29日
参加申し込みの期限
2018年06月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年06月05日 11時00分
参加キャラクター一覧
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