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*・゜゚・*:.。..。.:*・゜〇
――……
一瞬、熱を帯びた気がした。
神嶋 征一郎
は己の指先を無意識に熱に這わす。先日、彼女の手の甲へと触れた唇へと。
―― この高揚感が、あの日のものと似てるからか……。
今夜は野外演奏祭の帰り。終了した時間も遅かった為、着替えるのも億劫で衣装たる軍服のまま帰路を歩きながら。
そんなまだどこか昂る炎宿した瞳が、帰路途中の、星ヶ丘教会へ続く道の先に見知った人影を捉える。
一旦はそのまま通り過ぎようとした動きを見せた征一郎だったが、その人影が纏うモノを目にすれば溜息をついて、おもむろに自身の内ポケットへと手を伸ばしながら進路を変更した。
―― 別にこっちへ来る意図は何もなかったんよねえ……。
寝巻もかねている私服姿で、
霧谷 朧
はへらりと虚ろな笑みを浮かべていた。
寝つけなかった為、思い立って気の向くまま夜の散歩に繰り出したわけだったが。
しいて原因をあげるなら、『コレ』かねぇ……と朧は自身の顔を覆い隠す仮面をひと撫でする。
闇夜で自分の姿など見えにくいだろう、ならばいっそ堂々と散歩するのも良いのかもしれない、なんて気分で装着したつもりだったけれど。
自分の足はさてどこへ向かっているのか。
仮面は、伸びる影は、自分をどこへ誘っているのか。この先の教会か、それとも教会そばの……。
そこまで思考したところで、ゆっくりとした、けれど躊躇わずこちらへ近づく靴音がした。
と同時に、耳馴染んだ声色が届く。
「こんなところで何してやがる、ウィム」
「うわ、びっくり。パンタと会うとはね~」
言う程全く驚いた表情浮かべず、いっそ微笑んで振り返ってくる朧ことウィムへ、無表情のまま仮面を付けた征一郎ことパンタが射抜くように視線を送る。
この仮面を付けている時は、自分であって自分で無い存在だという事は暗黙で、互いに正体を明かしたことは無い。
けれどもうお互い薄々仮面の下を察している、そんな二人が月のベールの下で邂逅した。
どちらも、当たり障りなく言葉を投げて踵を返すつもりだったのかもしれない。
その仮面の下の瞳たちが、相手の足元にそれぞれ咲き誇った月色のバラを映すまでは。
バラ自体に意識を向けたつもりは無かった。
それでも、淡い光は視界から無意識の心に沁み込んで、普段であれば重い口たちを突き動かさせた。
「新歓の時も思ったが。てめぇが人と距離を置いてるのは気付いてた」
「そうかねぇ? それを言ったらパンタもだと思うんよ」
深海色の仮面が挑発すれば、笑う月の仮面は流すように返す。
共通の思い出が蘇る。
あんなに沢山の仲間たちが居た中、言葉交わしたかどうかもあやふやだった中で。
互いに相手の機敏に気付いたのは、ずっと今までも意識していたからだろう。どこか、似ているのだと。
「あんなに和気藹々とできる友人がいんのにさ、持ち腐れ具合がねぇ?」
「お前がそれでいいなら何も言うつもりはねぇが」
征一郎は見逃さなかった。
ウィムの口元が、羨ましいくらいだと紡がれようとして閉じられたのを。
「いいもなにも、俺は気まぐれなだけ。月のように変わってしまうんさ。
変わってしまうからわからなくなって皆離れていくんさ、だから気にしてないんよ」
朧は気付いてしまった。
パンタを覆う空気が、己の境界へと侵蝕しようとしていることに。
―― それ以上入ってくるな、その境界を破るな。
その足は動いていないのに、笑う月の仮面が距離を取ったように見えれば、征一郎は言うことを『やめるのをやめた』。
「自分には本当のお前に蓋をしてるように見えた。だから縋ってるんだろ、『それ』に」
バラからの月光に惑わされただけでは無かったのだろう。
征一郎がこれ程に、他人の心に踏み入ろうとするのは。
「……とうの昔に自分も経験済だ」
意外な言葉に、朧が微か繕っていた笑みを潜ませた。
言葉の意味に驚いたわけではない、征一郎が自身の事を語ったのが意外だったのだ。
過去、ヴァイオリンの才能が原因で周囲の心を乱し、乱され、一悶着あった征一郎。
過去、愛されるべき年の頃合いに愛してくれるはずの人たちから見放された朧。
『人が離れるのは慣れている』
仮面から覗く瞳同士がぶつかれば、同時に揺らいだ。
「自分も一人でいいと思ってた。だが……寝子島にはこんな性格の自分に構う”物好き”が大概多いようだ」
「確かにここは物好き、変わり者が多いさね、俺もその一人だけど」
朧はまだ笑う。ケラケラと。
―― それにお前も含まれているんだが。
とは伝えないのは、征一郎らしさだろうか。
隠した言の葉の代わりに、再び煽る声色を紡ぐ。
「お前にもいるだろ、ちゃんと見ろ」
「た……ただの気まぐれに違いないさ……」
―― やめろ、やめろ、それ以上俺に入ってこないで
「いつまでうじうじと閉じ籠ってるつもりだ」
「とじこもって……なんか……」
―― 逃げ たい …… 逃ゲレバ イイ
ウィムとしての声が張り付いた瞬間、朧の両手が持ち上がるのを見ればパンタたる反応か、咄嗟に征一郎の手が伸びる。
朧のろっこん、『ハイドサイト』が発動されたらば、透明となったウィムは夢の如く自分の前から姿を消す、そう本能的に悟ったように。
手首を掴まれ目を覆う事を阻止されるとは、まさか思っていなかった朧から完全に笑顔が消え驚愕の色が浮かんだ。
逃げる事を許してくれない深海色の瞳。
ずっと仮面や前髪という鎧で隠していたはずの心が、襟首でも掴んだように引き上げられてしまう。
「イヤだ、やめろ、見るな、お前は知らないから言えんだよ!」
決壊。
ウィムという仮面の口からは、今や朧本来の身の内の叫びが発せられていた。
「理由も分からずいなくなってくんだ! 触れられたと思ったら離れてくんだ皆!
だったら、だったら! 最初から望まない方が幸せじゃんか!」
普段の彼からは恐らく想像もつかないその言葉たち。
けれど、征一郎は微動だにせず冷静なままだった。
むしろどこか、肯定するような空気すら纏っては、駄々っ子の如く喚く朧の全てを受け止める。
人と距離を置く理由、それが痛い程分かるから。
「目逸らすな」
これ程にあまりにも真っ直ぐ、向き合われたのは初めてだった。
若干パニックになっていたウィムの、朧の瞳が、鎧の中から顔をもたげ無意識に自ら征一郎へと視線を合わせる。
「仮面で隠そうと消えようと、それじゃお前自身は何も変わらねぇ。本当に離れたくないなら端から諦めるな」
それは征一郎が自身へと諭す言葉でもあった。
諭されるのだ。ここでの出会いたちに。
それらは諦めようとするたび、優しく、己が頑なであれば時に強引に、視野を広げさせるのだ。
「やらねぇで後悔するぐらいならやってから悔いろ、馬鹿め」
感じたまま全てを伝えきれば、どこか我に返ったように手首を掴んでいた手が離された。
朧の視界が、思考の波立った水面が、凪いでいく。
―― 怖い、怖いのに見てくる蒼はまっすぐで鎧もなしに俺に話しかけてくる。
こういう奴もいるんだ……。
ぽつりと、心の内でつま弾いた。
驚きが通り越されれば、次第に笑みに変わって。
「……こんなにおしゃべりだったとは思わなかったさ……」
「くそ……今言ったことは忘れろ」
当然といえば当然な台詞がウィムから放たれれば、思わずといったふうにパンタは口元を押さえた。
平常心を失ったつもりは無いのに、どうしてこれ程までに語り掛けてしまったのか分からずに、仮面の下の征一郎はふいっと横を向く。
そんなそれぞれの足元では、二人の語らいをまるで喜ぶようにずっと花びらを揺らしていたバラたちが、静かに静かにその身を染め上げていた。
征一郎の足元、朧の視界に無意識に入るバラは、深い霧や曇天を抜けた先に澄み渡る、御空(みそら)色に。
朧の足元、征一郎の視界に無意識に入るバラは、熱せられた蒼い炎の中に星屑の如き煌めきたちを宿したような、瑠璃色に。
喜ぶバラたちを他所にして、ふと朧は既視感を覚える。
―― いや、本来はこうだったんかね。
脳裏に浮かぶは、同じ仮面を付けた小さな男の子の姿。
ウィム、パンタと、同じように名乗っては子供になった互いが素のままに共に過ごした時の事。
ふは。
空虚にではなく、思い出し笑いな温度含んだ音をこぼしてウィムとして口を開いた。
「あん時も思ったけどやーっぱそっちの方がいいんじゃん? パンタ君♪」
「からかうな。あの時っていつの、」
また言ったら怒るかねと思いつつ紡げば、そっぽを向いたまま反射的に返してくるパンタを見やって。
朧はそれが自然な流れであるかのように、笑ったまま踵を返した。
が、
「……おい、どこへ行く」
「ちょ、せっかく人がはぐらかして逃げるシーンを台無しにせんでよ」
がしり、と襟首掴まれそれも阻まれる。
―― 行動が同じだなおい。
目を離すとすぐ消える幼馴染の存在を思い出しながら、襟首とっ捕まえたままパンタは鋭い視線でウィムを睨む。
真っ直ぐに射抜く蒼の瞳。
先程まで怖かったそれが、今はどこか温かくさえ感じられた。
まだ……変わっていけるのだろうか。
新学年になった時、義理の両親と電話で会話した時、確かに以前の自分よりはマシになったかと思ったのに、その度また影が覆う。
繰り返し繰り返し。だからこれ以上は諦めようとどこかで目を隠していた自分を、この蒼の目が見つけてしまうのだ。
月の仮面の微笑みが、どこかさっきまでと違う感覚を伴えば、征一郎は無言で見つめた後ぱっと手を離した。
何度目かの視線の交錯。
どちらからともなく、じゃあ、とも、また、とも紡がれること無く足が動き出した。
また逢う事を確信した足取りで、それぞれの帰路へと向かわれる。
残された二輪のバラたちが、月夜の下で暫くお互いの色を讃え合っているのだった ――
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3人まで
シナリオジャンル
日常
動物・自然
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2018年04月17日
参加申し込みの期限
2018年04月24日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年04月24日 11時00分
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