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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
月夜染め
*･゜ﾟ･*:.｡..｡.:*･゜〇
―― うん、寮のバラ園は手入れが行き届いてていつ見ても綺麗……。
『寮』と呼ぶにはとても広く、様々な設備がある中で結城 日和はお気に入りの一つたるこのバラ園へ、こうして時折顔を出す。
今夜は特に、満月と一緒に居る薔薇が見たくなって。こうして遅い時間に、足音立てないよう静かに訪れたわけである。
季節柄、おそらく一番見頃だと思われる咲き誇ったバラたちが、その鮮やかな色を月灯りで控えめにしている様子はとても優美で、日和は目を細め１輪１輪覗き込むように見て回った。
「あれ、このバラだけ他のと少し違う？」
そんな中、花びら撫でていた指先がつと止まる。
真っ白いコは確かに他にもいるけれど、このコはホタルみたいに光っているような……。
小首を傾げながら、角度を変え変え暫し眺めてから。
「うん、でもこのバラも可愛いバラだなぁ」
おおらかさが気にすることなく受け止めて、両膝をついてそのバラの傍へと寄り添った。
「ふふ、よかったら私のお話聞いてくれる？ なーんて……」
月の光にいざなわれてか、はたまた素か、さえずる声音で微笑みかけながら日和はそっとバラに触れて『好きな人が居て、ね』と紡ぎ出す。
「まだ私の片思いだから、私だけが一人であたふたしてる状態なんだよね」
当たり前かもだけど、と付け足してから、ついていた膝を今度は立ててバラの横へしっかりと座り直す。
手入れや掃除が成されたばかりだろうか、腰かけた花壇形成するレンガは意外とキレイだった。
日和の場合、たとえ汚れたとて洗えば平気と明るく流しそうではあるが。
腰据えて語り出した彼女へと、心なしか月色のバラも大輪の花びらをそちらへ微か傾けたように見えた。
「好きって言う気持ちが伝わらないから伝えないってのは違うし。
私は好きだから伝えたい。それが少しでも好きな人に届くといいなって」
だから伝えるの。
言葉で、表情で、全身で、会える度にその喜びと一緒に。
「彼、多分、嫌な人は側にも寄らせないと思うから……
まだ傍に居させてくれるってことは嫌われてないのかなーってちょっと自惚れてみたり」
そっとそっと、許してくれる距離を窺いながら近づく程に、見えてきた孤独の奥に隠された優しさ。
以前より、昨日より、その優しさを見せてくれることも少しずつ増えた気がするのは、気のせいじゃないと思いたい。
―― 勘違い、だったらどうしよう。
切なさに胸がぎゅぅっと締め付けられそうになったのを、ぶんぶんと首を振って追い払う。
不安が無いと言えばウソになるけれど。
でも考えても分からない哀しい想像よりも、今まで目の前で見て来た彼との思い出こそが事実で、確かにそこに在るモノ。
その手が自然と、耳たぶの先で揺れる雫石に触れた。
海の精の宝物が浜辺に打ち上げられたものだと所以のある、アクアマリン。
海の底、光も届かぬ程の奥深い色を纏った彼から、そっと零れた優しさの欠片のような。
イヤリングの石に触れたまま、日和は蜂蜜色の瞳にバラを映したまま思い浮かべる。
「この前の……ねこじまキャンプでも彼の演奏を聴くことができて幸せだったなぁ。
いつもと違う感じだったけれどそれはそれで素敵だった……あとサプライズキス当たっちゃったんだよね……」
当たったらいいなぁ、とは思ったけれどまさか本当に当たるとは思わなくて。
彼の性格からして絶対不本意にやる羽目になったのだろうと想像も出来ていた為、正直、目前に立った彼が嫌な顔一つせず自分の希望すら問いかけてくれるとは、夢にも思わなかった。
――……手の甲にキス……
つと、色白な手を持ち上げれば淡い夜空の光に照らされる。
そっとそのまま、可憐な唇へと触れさせた。
すぐに離したその手の甲を、暫し見つめる事数秒………… ぶわっ！
イヤリング揺れる耳たぶまで、一気に赤く色づいた。
はうぁ、恥ずかしすぎる……っ。
日和にとってはとても大胆な行動だったようだ。思わず立てた両膝に顔をうずめさせた。
「うー頭冷やさなきゃ。とりあえず部屋に帰ろう……」
熱帯びた自身の頬をぴたぴたと触りながら、ゆっくりと腰を上げる。
踏み出す前に、一度クルリと振り返ってから『聞いてくれてありがとう』と小さくバラへと囁いて。
改めて自室へと戻って行った。
華奢な背中が小さくなっていくのと同時に、花びらの月色は次第に色を纏っていく。
それは育み中の恋心色。これから、もっと濃くなるであろう可能性を秘めたような、薄桜色。
温かな色をもらった花びらが、他のバラたちに自慢するかのようにしばらく揺れ動いていたとか。
―― うん、寮のバラ園は手入れが行き届いてていつ見ても綺麗……。
『寮』と呼ぶにはとても広く、様々な設備がある中で結城 日和はお気に入りの一つたるこのバラ園へ、こうして時折顔を出す。
今夜は特に、満月と一緒に居る薔薇が見たくなって。こうして遅い時間に、足音立てないよう静かに訪れたわけである。
季節柄、おそらく一番見頃だと思われる咲き誇ったバラたちが、その鮮やかな色を月灯りで控えめにしている様子はとても優美で、日和は目を細め１輪１輪覗き込むように見て回った。
「あれ、このバラだけ他のと少し違う？」
そんな中、花びら撫でていた指先がつと止まる。
真っ白いコは確かに他にもいるけれど、このコはホタルみたいに光っているような……。
小首を傾げながら、角度を変え変え暫し眺めてから。
おおらかさが気にすることなく受け止めて、両膝をついてそのバラの傍へと寄り添った。
「ふふ、よかったら私のお話聞いてくれる？ なーんて……」
月の光にいざなわれてか、はたまた素か、さえずる声音で微笑みかけながら日和はそっとバラに触れて『好きな人が居て、ね』と紡ぎ出す。
「まだ私の片思いだから、私だけが一人であたふたしてる状態なんだよね」
当たり前かもだけど、と付け足してから、ついていた膝を今度は立ててバラの横へしっかりと座り直す。
手入れや掃除が成されたばかりだろうか、腰かけた花壇形成するレンガは意外とキレイだった。
日和の場合、たとえ汚れたとて洗えば平気と明るく流しそうではあるが。
腰据えて語り出した彼女へと、心なしか月色のバラも大輪の花びらをそちらへ微か傾けたように見えた。
「好きって言う気持ちが伝わらないから伝えないってのは違うし。
私は好きだから伝えたい。それが少しでも好きな人に届くといいなって」
だから伝えるの。
言葉で、表情で、全身で、会える度にその喜びと一緒に。
「彼、多分、嫌な人は側にも寄らせないと思うから……
まだ傍に居させてくれるってことは嫌われてないのかなーってちょっと自惚れてみたり」
そっとそっと、許してくれる距離を窺いながら近づく程に、見えてきた孤独の奥に隠された優しさ。
以前より、昨日より、その優しさを見せてくれることも少しずつ増えた気がするのは、気のせいじゃないと思いたい。
―― 勘違い、だったらどうしよう。
切なさに胸がぎゅぅっと締め付けられそうになったのを、ぶんぶんと首を振って追い払う。
不安が無いと言えばウソになるけれど。
でも考えても分からない哀しい想像よりも、今まで目の前で見て来た彼との思い出こそが事実で、確かにそこに在るモノ。
その手が自然と、耳たぶの先で揺れる雫石に触れた。
海の精の宝物が浜辺に打ち上げられたものだと所以のある、アクアマリン。
海の底、光も届かぬ程の奥深い色を纏った彼から、そっと零れた優しさの欠片のような。
イヤリングの石に触れたまま、日和は蜂蜜色の瞳にバラを映したまま思い浮かべる。
「この前の……ねこじまキャンプでも彼の演奏を聴くことができて幸せだったなぁ。
いつもと違う感じだったけれどそれはそれで素敵だった……あとサプライズキス当たっちゃったんだよね……」
当たったらいいなぁ、とは思ったけれどまさか本当に当たるとは思わなくて。
彼の性格からして絶対不本意にやる羽目になったのだろうと想像も出来ていた為、正直、目前に立った彼が嫌な顔一つせず自分の希望すら問いかけてくれるとは、夢にも思わなかった。
――……手の甲にキス……
つと、色白な手を持ち上げれば淡い夜空の光に照らされる。
そっとそのまま、可憐な唇へと触れさせた。
すぐに離したその手の甲を、暫し見つめる事数秒………… ぶわっ！
イヤリング揺れる耳たぶまで、一気に赤く色づいた。
はうぁ、恥ずかしすぎる……っ。
日和にとってはとても大胆な行動だったようだ。思わず立てた両膝に顔をうずめさせた。
「うー頭冷やさなきゃ。とりあえず部屋に帰ろう……」
熱帯びた自身の頬をぴたぴたと触りながら、ゆっくりと腰を上げる。
踏み出す前に、一度クルリと振り返ってから『聞いてくれてありがとう』と小さくバラへと囁いて。
改めて自室へと戻って行った。
華奢な背中が小さくなっていくのと同時に、花びらの月色は次第に色を纏っていく。
それは育み中の恋心色。これから、もっと濃くなるであろう可能性を秘めたような、薄桜色。
温かな色をもらった花びらが、他のバラたちに自慢するかのようにしばらく揺れ動いていたとか。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2018年04月17日
- 参加申し込みの期限
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- 2018年04月24日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2018年04月24日 11時00分
