ニャーリング！「ニャニャネー♪」｜リアクション

ニャーリング！「ニャニャネー♪」

○チーム分けと猫

　近くに居合わせて話を聞いた生徒たちが、参加を考え始めた。
「にゃにゃ……ねー？　……にゃにゃ？」
　聞きなれないけど可愛い言葉に、首を傾げる恵御納夏朝。
「ニャーリング……これも神魂の影響かな……にゃにゃ？」
　猫大好きな夏朝には見逃せない。
「ニャーリング……猫さんリング……楽しそう！　猫が混ざれる競技……良いなぁ……！」
　カーリングのルールはよく知らないけれど、猫さんを愛でるチャンスを逃すわけにはいかない。
「虎猫さんも他の柄の猫さんも皆可愛いけど、今回は三毛猫チームで！」
　ノリと気分でチームを選ぶ。
「えっ、マイ猫さんの持ち込みもできるんだ……」　
　夏朝の頭に一匹の猫が浮かび、一緒に参加したい気持ちでうずうずする。
（無理かな……？　でも、これだけたくさん猫さんがいるんだし、寮で飼ってるとばれなければ……）
「ちょっと待ってて！」
　夏朝はダッシュでプールを出て行く。
　そして何かを抱きかかえるような格好で戻ってきた。
「出てきていいよ」
　しゅぱん！
　ふわふわ長毛黒猫が姿を現した。
　ペット禁止の桜花寮で夏朝がこっそり飼っている猫、おはぎ。
　おはぎは、よく見れば眼がカメラのレンズ、尻尾がアンテナな不思議なレンズ猫だ。
「にゃあ」
　普段は声を上げないおはぎが、嬉しそうに一声鳴いた。

「うーん、じゃあ虎猫チームで」
　長身で茶髪、ボブカットの羽生碧南が参加者名簿に名前を書いた。
「カーリングはＴＶで見たことがあるけど……猫を使うのは大丈夫かな？」
　ちょっと心配な気もしたが、寝子島のことなので深く考えないことにした。
（まあ、一応、神魂のおかげできっと大丈夫なのかな。もれいびじゃないからよく判らないけど）
　日ごろはバスケ部部員として熱く戦っているけど、今日ばかりは勝敗抜きでのんびりと猫の可愛さを満喫しよう、と思う。

　新聞部の八神修は、噂を聞きつけてやってきた。
　飼猫の三毛猫、マーブルも一緒だ。
「カーリング場の猫達とはレアモチーフだな」
　まずは存分に写真を撮る。
「ニャ～」
　しばらくするとマーブルが擦り寄ってきた。
「よしよし膝抱っこだね」
　膝に抱かれたマーブルは、滑らせてというように氷のほうに首を向け、修におねだりの目を向ける。
「試しにやってみるか。いくぞ」
　修は氷面でマーブルをくるっと回して投げてみた。
　満足そうな顔ですうーっと滑っていくマーブルを見てほっこりする。
「ニャー」
「僕を使って、ってことか？　彼をマイ猫石としよう」
「楽しそう。私も参加するです。シュー君と同じチームで」
　椿美咲紀も飼い猫の白地に黒ぶち猫(♂)、くろまめを連れてやってきた。
「マーブル、がんばろーね」
　修の猫ををなでなでして言う。
「チームは、うーん、どっちでもいいんだがどうしようかな」
　考えていると、マーブルが歩き出した。
「マーブル、どこへ……」
　行き先へ目を向けると、ツインテールの少女が参加者名簿に名前を書いているところだった。
「あおい……！」
「こんにちは。修君も参加するの？」
「ああ。あおいはどっちのチームなんだ？」
「私は虎猫チーム。修君は？」
「……俺も、虎猫チームだ。マーブルに誘導されてさ」
　でかした、という思いを込めてマーブルを撫でながら修は微笑む。
「では私も虎猫なのです。よろしくなのです」
　美咲紀が元気に言った。

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