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喧嘩、しちゃいました
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繰り広げられていたのは、常と変わらぬ口喧嘩のはずだった。
如月 蘇芳
が、
天宮城 因
の地雷を綺麗に踏み抜くまでは。
――いくら頑張っても『あの人』になんてなれないのに。
蘇芳の発した言葉が、切っ先鋭い刃となって、因の胸の柔らかいところを貫く。
因の表情が一瞬硬直し――それが解けた時には、因は、射殺さんばかりの眼差しで蘇芳を睨んでいた。
「……解ってる、そんなこと。お前に言われなくたって」
唸るような、低い声。
そこに、隠しようもない震えが滲む。
そう、因は知っている、解っているのだ。
けれどいざ言葉という形を与えられれば、現実は、あまりにも重たい塊となって因に圧し掛かってきた。
ぎゅうと、両の拳を握る因。
込み上げてくるものを堪えんとしての行動だったが、
(……くそ、よりによってこんな奴の前で、こんな顔)
甘いピンクの双眸からは因の意思に反して涙が溢れ、温いそれはなぞるように頬を伝った。
それでもなお、因は蘇芳を睨みつけることだけは止めず、
「――っ」
蘇芳が何か口を開きかけたのを無視して、踵を返しその場を去ったのだった。
ひとり残された蘇芳は、暫し放心したかのように、因が去っていった方角を見つめていたが、
(俺は……さっき、何を言おうとしたんだろう)
不意に弾かれたように我に返って、先刻音を紡ぎかけた自身の喉を軽く押さえる。
因の様子が見る間に変わるのを前に、しまった、とは思った。
いつもの口喧嘩だったはずなのに、言いすぎてしまった、と。
しかし、それを認識した時には、盆の上の水は既にばしゃりと零れ、地面をしとどに濡らしていて――。
蘇芳の唇を、細い息が揺らす。
(まあ、これで今後あの顔を見なくて済むと思うと、せいせいするかな)
軽く肩を竦めて、蘇芳はそれきり、零してしまった水のことを忘れることにした。
……はず、だったのだが。
「――あ」
翌日、学内の廊下に因の姿を見つけた蘇芳は、ごく小さく声を漏らした。
(昨日、もう因君の顔は見なくて済むと思ったばかりなのにな)
いっそ苦々しく、そんなことを思う。
一度だけ双眸に蘇芳の姿を捉えた因は、何も見えなかった、という顔で蘇芳の隣をすり抜けていったが、
(気分の良い態度じゃないね。けどまあ、構わないさ)
と、蘇芳は因の取った行動を、気にも留めなかった。
蘇芳の方だって、向こうの顔を見たくないし、言葉だって交わしたくない。
ならば、互いが互いを空気のように扱うのは、悪いことではないだろう。
(……いや、空気ですらない、か)
空気がなくては人は生きていけないけれど、因がいなくても、蘇芳は何一つ困ることなどないのだから。
異変は、そういう日々が1週間ほど続いた頃に起こった。
その日も、因と蘇芳は廊下で顔を合わせる羽目になってしまい、
(ちっ、またかよ)
因は内心舌を打ち、けれど表情一つ変えずに、蘇芳の傍を通り過ぎる。
この1週間で、蘇芳の存在を無視する、というスキルのレベルはかなり上がっていた。
それはそのまま、因が1週間前の件を深く深く根に持っていることの証。
(いっつもは懐の深い因が慈悲深くお咎めナシにしてあげてますけどぉ……)
――今回ばっかりは、許さねーからな。
胸中だけで、そう毒づく。
これまでは、ストレス解消がてら暴言を吐く為に、因の方から声をかけることもままあった。
けれど、今はもう、そんな遊びを楽しいとは思えない因である。
一方、去っていく因の背中を、蘇芳は複雑な思いで見送っていた。
(……何で、こんな……)
顔も見たくないはずだった。
言葉を交わすことがなくなるのは、清々しいことのはずだった。
相手は蘇芳にとって、空気にすらなり得ない存在だった……はず、なのに。
気付けば、知らず、胸元をきゅっと握っていた。
(何だか毎日がつまらなくなった気がするなんて、何で、そんなこと……)
何かが物足りない、と。
その実感を認めるのは、蘇芳にとって酷く屈辱的なことだ。
けれど、世界が色褪せて見えるのは、己に誤魔化しようのない事実で。
(それって、まるで俺が因君のこと、好きみたいじゃないか)
それだけはない。絶対にないと、蘇芳は躊躇いなく言い切ることができる。しかし。
(前の関係に戻りたいとは、思ってしまうというか……)
それもまた、非常に遺憾ながら、覆し難い真実なのだった。
(この場合、俺から謝らないといけないんだろうな……)
それはわかる。わかるが、想像したくない。
けれど、因との関わりが消えた世界は、あまりにも殺風景で。
消化し難い感情を抱えて、蘇芳は、まだ暫く、因の消えた廊下に立ち尽くしていた。
そして、あの喧嘩から2週間が経った。
蘇芳と因は、またも偶然同じ廊下を通り掛かって、
――ふいっ。
因は、蘇芳という存在がまるで見えていないような調子で彼とすれ違おうとし、
「因君、待って」
2週間ぶりに耳にする声で名前を呼ばれて、内心、腹を煮えさせることになった。
声を聞けば、あの日の言葉を嫌でも思い出す。
苛立ちを胸に、因は、蘇芳の声など微かも耳に届かなかったというふりをして歩を進めんとした。しかし。
「ちょっと待ってってば」
ぐい、と、今度は手を掴まれてしまう。
蘇芳と口をきかないまま、この状態から脱することはできないか寸の間考えた因だったが、
「……何?」
相手が手を離す気がないのを見て取って、渋々、振り返って蘇芳の顔を見遣った。
蘇芳の赤の眼差しが、僅かに泳ぐ。
「えっ……と」
「用事がないなら離してくれませんかぁ?」
棘のある声で言い放てば、蘇芳は覚悟を決めたように、一つ息を吐いた。
そうして、曰く。
「その……因君のこと馬鹿にできないとどうも調子が出ないっていうか……」
は? と因が声を荒げるよりも早くに、
「ううん、そうじゃなくて……」
と、蘇芳はひとりでに首を横に振った。そして、
「……ごめん、あの時は言いすぎた」
真摯に告げて、頭を下げる。
それは、蘇芳にとって途方もなく癪なことだった。
それでも天秤は、《自身のプライド》ではなく、《因とのこれまで通りの関係》の方に確かに傾いている。
(まさか、こうした方がマシだと思うなんてね)
自嘲気味に思うも、蘇芳は己の心が望むことにきちりと従うことにした。
因がいない日々を過ごすうちに腹の底に積もった、得体の知れない、何か濁った塊。
それを取り除く為には、そうする他になかったから。
「……ふふ」
暫しの沈黙のあと、降ったのは、鈴の鳴るような因の笑い声だった。
顔を上げれば、先ほどまでの不機嫌が嘘のような、因の笑顔。
「因に謝るすおーさんなんて、とーってもいいものを見ちゃいましたぁ♡」
ピンクの瞳が、楽しげに煌めく。
「そんなに因のコトが好きなら、トクベツに許してあげてもいいですよぉ?」
「……ええと」
「あ、因はすおーさんなんてぜーったいにお断りですけどっ♪」
ころころと声を零す因は、上機嫌も上機嫌だ。
わかりやすく調子に乗る因の様子は蘇芳をどっと疲れさせ、
(……ああ、やっぱり謝らなければよかった!)
なんて、蘇芳は胸の内に叫ばずにはいられなかったのだった。
この2週間の沈黙は一体何だったのかと脱力し、己の言動を深く後悔する蘇芳だったが、
(全く、因君はこれだから……)
と、苦々しく思う胸の内からは、いつの間にか、あの痞えのような濁りはひっそりと消えていた。
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担当ゲームマスター
巴めろ
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
学校生活
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2018年03月09日
参加申し込みの期限
2018年03月16日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年03月16日 11時00分
参加キャラクター一覧
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