仲良くなりたい、その５｜リアクション

仲良くなりたい、その５

○津止孝道先生

「青山」
　ある日、青山絢は津止孝道教頭に呼び止められました。
　津止先生は絢の１年の時の担任でした。　
（なんだろう……）
　といぶかりながらも教頭先生に近づくと。
「球技大会の案内のプリントを運ぶのを手伝ってもらえないか」
　そこには結構な量のプリントが入った段ボールが載った台車が二台。
「はい……」　
　絢は教頭先生と共にそれぞれ台車を押しながら歩き出しました。
　何となく無言の時間が流れます。
　バレンタインデーの時に絢は、行き場のなかった手作りチョコを津止先生に押し付けてしまったことがありました。
　本当にたまたまだったのにお返しまでもらってしまって、恐縮したことを思い出し、落ち着かない気持ちになるのでした。
（先生まだ覚えてるかしら……）

　音楽準備室に台車を運び込み、手伝いは終わりました。
「それでは失礼します」
　絢はそう言って教室へ帰ろうとしましたが。
「青山」
「はい？」
「球技大会は何に出るんだ」
「あ……ビーチバレーです」
「ケガのないよう頑張れよ」　
「あ、ありがとうございます」
　思いがけない会話に少し戸惑いつつ、絢は教室へ帰っていきました。　

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