【三寮祭】星ヶ丘、マスカレード☆｜リアクション

【三寮祭】星ヶ丘、マスカレード☆

■友達同士で！
　星ヶ丘寮に辿り着く前に、エスカルゴ・臼居と史越奈津樹は落ち合った。
「エスカルゴさーん！」
「おー、文月ー！元気かＹＯ！」
　ノリ良く挨拶するエスカルゴに奈津樹は笑みを返す。
「それじゃあ、はじめましょうか」
　人気のない場所で、奈津樹が己の鞄から超！愛らしい美少女イラストを取り出し、両手をそっと乗せた。
「よし、エスカルゴさんもどうぞ」
　奈津樹が描いたイラストは、エスカルゴを美少女化した雰囲気に見える。
「うっし」
　両手をこすり合わせた後、エスカルゴは奈津樹が持参したイラストに両手を乗せ。
　奈津樹のろっこん『幻影少女』の力により、エスカルゴはイラストの美少女の雰囲気＆ドレスに早変わり！
「うぉー、俺が描いたイラストだけど、エスカルゴさん激可愛いッス！」
「そ、そうか？」
「まぁでもエスカルゴさんイメージなんで、万が一ろっこん解除されたとしても女装姿で十分美少女だと思いますよ、エスカルゴさんなら」
「え、何、告白？」
「お黙りくださいお嬢さん。さぁ、行きましょう」
　スタスタと星ヶ丘寮に向かって歩き出す奈津樹に、パタパタとドレス姿で後を追う美少女エスカルゴちゃんだった。

　鴻上彰尋の誘いにより、楢木春彦はお泊り会ぶりに星ヶ丘寮へと向かっていた。
「こないだも凄かったけど、今日もスゲーんだろーなー！」
　春彦がワクワクとした表情を見せれば、彰尋が思い出す。
「あ、そうか。楢木はお泊まり会で来てたんだ」
「そーそー。料理がめちゃくちゃ美味くってよー！」　
　春彦は先日過ごした星ヶ丘寮について熱く語る。
　食事の美味しさやゲストルームの布団のフカフカさを身振り手振りを交えて彰尋へ伝えれば、彰尋もその豪勢さに目を丸くし。
「なんかもう、別世界っつーの？」
「それだけ凄いと圧倒されそうだな」
　彰尋はそう答えつつも、憧れるような世界を堪能できそうで期待に胸が高鳴り。
「今日もなんかうまいもん食えっとイイなっ」
　ニシシ、と笑う春彦に
「相変わらずだな」
　笑みの零れる彰尋だった。

　二人が星ヶ丘寮のエントランスに到着すれば。
「うっわ、また凄いことになってんなーっ」
　思わず春彦が声を上げる。
　ヴェネツィアのカーニヴァルを再現するべく装飾されたエントランスは、既に前回と雰囲気が変わり。
「確かに、凄い……！」
　異国どころかおとぎの世界に迷い込んだかのような星ヶ丘寮の雰囲気に驚きつつ二人がエントランスへ向かえば、待ち受けていたのは、男装の麗人と化した仲秋薫。その顔は真っ白なフルマスクが覆っている。
「へっ？着替えた方がイイのか？」
「えぇ。ぜひ星ヶ丘寮生による美しい衣装、そして美しいマスクを着用し祭をお楽しみください……！」
　マスクの下から、美しく凛とした声が響いた。
「そっか、なんかイイのあっかなー」
「じゃあ俺も何か探そう……」
　春彦と彰尋は二手に別れ、膨大に用意された衣装で似合いそうなものを物色する。
「出来ればあんま動きにくくならねぇヤツで……かっちりしてねぇのがイイんだケドさ」
「それでしたら」
　ヌッ、と白いフルマスクが衣装の間から顔を出せば、思わず春彦の口からウォウ！！と声が上がりそうに。
「こちらでしたら着やすいかと……」
　薫が示すいくつかの衣装に
「そうだなー、これならイイか」
　一着の衣装を手に取り、満足そうな笑みを浮かべる春彦だった。

「あ、楢木？」
　既に着替え終わっていた彰尋は　春彦の姿に目を見開いた。
　春彦はアラビアンナイト風の衣装に着替え、その腰には曲刀も差さっており。
「背丈もあって凄く映えるな、決まっているね」
「お、そっか？」
　普段だったら着ることのない衣装姿を褒められ、少し照れながらも。
「そーいう鴻上だって似合ってんじゃね。かっちりキメたな！」
　彰尋の姿はシンプルながらも上質な燕尾服に、華やかなマスクを着用し。髪もセットし、上流階級の子息のように見える。
「ありがとう。それじゃあ楢木、どこから行こうか」
「そう言えば向こうに、星ヶ丘寮内のレストランが……」
「早速！？」
　流石食欲魔人、と驚きの声を上げる彰尋だった。