【三寮祭】星ヶ丘、マスカレード☆｜リアクション

【三寮祭】星ヶ丘、マスカレード☆

■夜のプールとお約束　
　夜が更けるにつれ、プールサイドにも明りが灯る。
　その柔らかで美しい光景は、幻想的で。
　それから幾人かの友人と出会い、談笑していた志波武道はまた一人、プールの光景を眺めていた。
　引き込まれるように、プール際へと歩み寄る。
　水面に映るのは、ヴェネチアンマスクをかけ、普段とは雰囲気の違う己の姿。
（人は皆、仮面を付けているとは言うけれど）
　仮面を付けていても尚、自分を武道だと気づいてくれた友人もいた。
　微かに笑みを見せる武道。
（例え仮面を付けていても、所作や雰囲気……内見などは、そう簡単に変えられないし、隠せないのかもしれない）
　それは良いことでも悪いことでもありそうだけれど。
　そう思いながら、武道が水面に映るライトアップの反射光、闇と光の入り混じる光景に魅入られていると……
「ひゃああっ！！」
　春姫いちごが声を上げた。
　メイド服姿でドリンクを運んでいたいちごだったが、流石ドジっ子属性、見事に躓き転んでしまい。
「危なっ……！」
　素早く武道が立ち上がり、いちごを庇う、が。
　
　ドッパァン！
　
　いちごの胸元の重力の力強さゆえか（推測）、武道といちご、二人揃ってプールへダイブ。
「ひやぁぁぁ、お客様ごめんなさぁぁぁぃいいぃぃ！！」
　アワアワ、バタバタと足を動かすいちご。プールの深さから溺れることはないだろうが、それでも春の水はまだ冷たい。
　武道はいちごの身体を引き寄せ、真剣な表情で彼女をプールサイドのヘリに捕まらせる。
　いちごは巡回をしていた星ヶ丘寮職員の八咫鏡に引き上げられ、武道もまた
「ちょっとぉ、武道ちゃんたら大丈夫ぅ？」
　早坂恩が心配そうな声色で武道をプールから引き上げた。
　仮面は外れ、整えた髪もまた元通りになった武道。
「ウワァン、冷たかった☆」
　てへへ！と笑う武道に恩を始め心配して駆け寄ってきた友人も、武道の無事といつもの挙動に笑みを零すのだった。

「本当に本当に、申し訳ございませんでしたぁぁ……！」
　唱華から受け取ったタオルで武道の身体を拭きながら、今にも泣きそうな顔で武道に謝るいちご。
　武道は真剣な眼差しでいちごを見れば、どんなお叱りがあるだろう、と普段見ることのない武道の真剣な表情に周りの者すら背筋が伸び。
　一呼吸置いて、武道は口を開いた。
「……俺、君をプールサイドに連れて行く時、変な所触ったりしてないよね……！？」
　え、心配ソコ！？と周りの空気が一気に和らぐ。いちごはぶんぶんと手を振り
「ぜ、全然大丈夫です！むしろ助けていただき、ありがとうございます！！」
　何度も何度も頭を下げるいちごに、心底ほっとした表情を見せる武道だった。
　
　そして
「やったぁぁああ！バッチリプール落ち瞬間の動画ゲットォー！」
　思わず叫ぶのは檜扇舞華。
（今日のお祭りのダイジェストで使えそうな良い場面が撮れましたー）
　スクープを撮影できたかの如く、喜ぶ舞華であった。

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