夢？それとも幻？　空飛ぶ巨大なコイを追い払え！｜リアクション

夢？それとも幻？　空飛ぶ巨大なコイを追い払え！

【エピローグ】

　夢を見た。

　彼が人だったとしたら、こう呟いたことだろう。

　何処ともしれぬ、広い場所を漂う夢だ。

　いつもいる場所より透明で綺麗で、どこまで行っても岸が見えない。

　体も軽く、気持ちが良かった。

　ただ、何か小さな存在を感じて、本能に任せて追いかけたのは失敗だった。
　
　痛い思いを何度もしたし、最後はしびれて泳げなくなった。

　このまま死ぬかもと考えて、いつもいた場所を懐かしく思い出す。

　そして。

　そして、目が覚めたら、そこはもともといた場所だった。

　適度にきれいで、適度に泥臭く、食べ物も豊富で居心地がいい。
　
　たまに大きな影に襲われることもあるが、まぁ、安全といえる場所。

　
　何か大きな存在が６つ。
　自分を見下ろすのを感じて、いつもの癖で浮上して口を開け閉めする。

　食べ物が降ってくる。
　ひたすら吸い込む。

　ここが自分の生きる場所。

　＊　＊　＊　＊　＊

　寝子島神社の耳福池にて、錦鯉の群れにエサを投げ入れながら、左右は周りに話しかけた。

「神主さんが受け入れてくれて良かったですわー」
「こんなにたくさんいるなら、一匹ぐらい増えても大丈夫だよね」
「そうね。もう、どれがあの錦鯉だったのか分からないわ」

　同じようにエサを撒きつつ、頷くタルトと紫。

「口の中を見れば判別つくかも」
「火傷の痕が残っているか？」

　新田兄妹は、水面で口をパクパクさせている錦鯉の群れをしゃがんで眺めている。

「もしかしたら、本当にこの中の一匹が巨大化したのかもしれないな」

　修は、相変わらず神魂が起こす突拍子もない出来事を思い出しながら、そう呟いた。

　あの錦鯉が普通の大きさになった途端、画面が切り換わるように全てが終息した。
　左右が派手に動かした物も、撒き散らしたガソリンや山椒水も、なにもかもなかったことになり、寝子島は何事もなく日常を謳歌している。

　あの錦鯉を覚えているのは、この場にいる6人だけ。

「まぁ、ちょっと遅くなったけれど、こどもの日の夢ということにしておこうか」

　修の一言に、その場の皆がそれぞれの仕草で頷いたのだった。

【終わり】

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あとがき

担当マスター：阿都
ファンレターはマスターページから！

シナリオガイドを担当しました、阿都（あと）と申します。
ご参加ありがとうございました。
いつも公開が遅く、本当に申し訳ございません。

パニックモノを書こうとしたら、予想以上に冷静な討伐戦になりました。
楽しんでいただけたら幸いです。

それでは、次のシナリオガイドでお待ちしております。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

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