にゃんこのがっこう、はじまるよ～！｜リアクション

にゃんこのがっこう、はじまるよ～！

　しなやかに、優雅に歩く美しい猫の姿がありました。紫の瞳を持つ黒猫のニャケーチ（アケーチ・タッマーキ）です。
　その凄みのある美猫っぷりに、道行く猫好き達のハートはズッキューン！
　プリプリお尻の青年を見つければ、ニャケーチのハートはズッキューン！
　一筋縄ではいかないにゃんこ、それがニャケーチなのです。

　ニャケーチは行き交う人々を楽しそうに眺めます。
（ふ、ふふ。こうやって視点を低く眺める景色も新鮮で良いですね。……私、視点が高い時があったでしょうか？）
　ニャケーチはふるふると頭を振りました。流浪の黒猫である彼は、たくさんの経験をしすぎてたまに混乱することがあるようです。
　ニャケーチは気を取り直して青空を眺めます。今日はとっても散歩日和。寝子島を探検するのも悪くないと、ニャケーチはまた足取り軽く歩き始めました。
　ニャケーチ、実習のことを忘れています。

　そしてニャケーチがひらひら飛ぶちょうちょを追ってみたり、ダンディなおじ様のお尻を追ってみたりと楽しく散歩をしていると、１人の少女に出会いました。野々ののこです。
（……おや。愛らしいお嬢さんが）
　ののこは1人でふんふ～ん♪　と鼻歌を歌いながら元気に歩いています。ニャケーチこの快活そうな少女がえらく気に入りました。
（元気っ子ですね、愛らしいです、ふふ）
　そういえば自分は実習をしなければならないんだっけ（彼は『人をメロメロにするテクニック』を選択しておりました）と突然思い出したニャケーチは、この少女に相手にしてもらおうと、すす……と静かにののこの前に姿を現しました。

「お？」
　突如怪しく現れた猫の姿に、ののこは足を止めます。その足元をウロウロしながら、ニャケーチは構ってアッピールを始めました。

「……にゃあ」（お嬢さん）
「……にゃにゃ」（私の毛並み、サラサラですよ）
「……にあーん」（撫でてみませんか、ふふ……！）

　最後は流し目とお尻を見せて、キュッと決めポーズ。ニャケーチはぽかんとしたののこの視線にぶるりと身震いするほど喜ぶと、突然お腹を出して寝っ転がりました。

「……にゃにゃーん」（抱き心地も抜群ですよ）
「……にゃ、にゃにゃん、にゃーん」（抱いてください、いやむしろ抱きしめさせてください……！）

　そうしてニャケーチは腹を見せながらくねくねと身悶えします。これはスカイ先生も教えていないニャケーチオリジナルの技です。それを見たののこ、突然アハハと笑い出しました。
「へんなねこー！　おもしろーい！！」
　ののこは柔らかいニャケーチのお腹をわしわしと気持ちよく撫でてやります。意外にツボを心得たマッサージに、ニャケーチは思い切り喉をゴロゴロと鳴らしました。

（このお嬢さん、結構なテクニシャン………ああっ！）
　もうどっちがメロメロにされてるか分かりません。暇なののこはこの後も、ニャケーチを撫でたり抱っこしたり一緒に決めポーズの練習をしたり。とっても楽しい時間を過ごしました。

（あの生徒、初めは完全に実習のことを忘れてたな）
　にゃんこ学校の卒業生は苦笑しながらも、ニャケーチの評価票に『合格』のハンコを押しました。

　―――こうしてにゃんこ達の実習は、無事終了することが出来ました。

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