ウサギ戦隊バニレンジャー！｜リアクション

ウサギ戦隊バニレンジャー！

■異世界からも応援だ
『アスワド……アスワド、おきなさい……』
　アスワド・クロノワールの愛らしい天然うさ耳がピクピクと動く。
　とある異世界、草原の真ん中でスヤスヤと気持ち良く眠っていた所に急に声をかけられ、アスワドは若干不機嫌そうに身を起こした。
『アスワド。あなたの力が必要なの。こっちの世界へ早くきて』
　またも耳に響く声。
「……こっち？どこ？ボクはねむい。おなかもすいた」
『……じゃあ、これならどう？』
　すると、突如アスワドの目の前に真っ赤なリンゴが現れた。
　フヨフヨと浮かぶ林檎は、とても瑞々しく美味しそうで。
「りんご！」

　眠気より食い気が勝ったアスワド。
　ふよふよ浮かぶ林檎を捕まえようと手を伸ばす。
　が、すんでの所で林檎は宙をスルッと移動した。
「まてっ」
　身長130CMという小柄ながらも俊敏な体躯を持つアスワドであるが、なかなか動く林檎を捕まえることができない。
『ほら、こっちよ』
　余裕そうな声色でアスワドの耳を刺激する謎の声。
「うるさいっ」
　アスワドの負けず嫌いに火を付けた。
　シュタッ、シュタッと先回りをして動く林檎に差を詰めるアスワド。
　気合を入れて、一際大きく跳躍すれば、アスワドの黒髪が揺れる。
「捕まえ……たっ」
　空中でアスワドは真っ赤な林檎を手にした。
　そして、着地しようと足元を見れば……
「黒い……穴？」
　真っ赤な林檎を手に持ったまま、アスワドはヒュルリリリ……と黒い穴へと吸い込まれていくのだった。