何でも屋『いぬもり』の楽しいにゃんこあつめ｜リアクション

何でも屋『いぬもり』の楽しいにゃんこあつめ

　何でも屋『いぬもり』をとび出した桜庭円は、シーサイドタウンを訪れていた。
　円のおすすめは、シーサイドタウンの野良猫達。
　裏路地にはにゃーくんの友達猫達が集うコミュニティがあるし、寝子島漁港だって狙い目だ。
「漁港だと、あれだよね。とりあえず、魚を泥棒しようとしてる猫を撮影しようっと」
　港で魚が降ろされるのをじぃと待ち、納得のいく１枚をＧＥＴした円。
　続いて、円は裏路地へと入った。
　無人になって久しい２階建てのビルへと、こっそりと侵入する。
　にゃーくんと一緒に階段を上がってベランダへと出れば、吹く風の強さにひやりとした。
　頬に冷たい汗を一筋伝わせて――円は、どこまでも不敵に口元に弧を描く。
　円のろっこんは、『自発的に危険度の高い行動を取る』と発動するのだ。
「これで運も上がったかな？」
　呟いて、円はデジタルカメラのファインダーを覗いた。
　建物のそこかしこが風に軋むのを耳に聞きながら、円はまたもじっと機を待つ。やがて。
「あ、猫発見！」
　ビルに面した路地の塀の上を、悠々と猫が歩いてきた。
　ふと立ち止まったその瞬間を狙って、パシャリとシャッターを切る。
「よし、これで２枚目だね！　回数と待ちがすべてだ！」
　新たに撮影した１枚を確認して、円は再度デジタルカメラを構えた。