『あなたも猫カフェ』においでませ｜リアクション

『あなたも猫カフェ』においでませ

「水守君、誘ってくれてありがとう！」
　本居陽毬は満面の笑みで、水守流の手をぎゅっと握った。
「私、水守君が声かけてくれなかったら、猫カフェなんて来れなかったよ」
「え、なんで？」
　流の言葉に、陽毬が「うーん」と顔をしかめる。
「猫は好きなんだけども、わりと嫌われるタイプなんだよね……猫を見るたびに『ねこー！！』って近寄っていくのがいけないのかな？」
「あーそれじゃびっくりするかもしれないな、猫が」
　そんな会話をしながら、流と陽毬は店へ入っていく。
　入口付近の壁には、店にいる猫の紹介を兼ねた写真が貼られていた。
「おー、色んな猫がいるなぁ」
　思わず見入った流は、そのすぐ下に、ずらりと猫耳猫尻尾が置かれていることに気づく。
「っと、入店前に猫耳尻尾着用だったな……。んー、男の身でこういうのつけるのはちょいと恥ずかしい気もするが、連れがいると多少は気が楽だな」
　言いながら、白黒模様の猫耳装着。
「やーん可愛いじゃないですか」
　陽毬は、装着した白黒模様の猫耳に、手を伸ばした。
　見た目以上にボリュームがあるそれは、ふわふわしていて気持ちがいい。
「似合うよ、水守君！」
　耳だけではなく、ついでに跳ね放題の頭も撫でておく。
　流はぶるりと頭を振った。
「おい、やめ……って、本居猫耳似合ってんなぁ」
「そう？」
　両手を顔あたりまで上げて猫手を作り、にゃん、とポーズをとる陽毬。
「お、本居猫！　すごい飯食いそうだ」
　笑いながら、流と陽毬が、店の奥へと進んでいく。
　そのとき、同じ制服を着た生徒が、店の前に立った。

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