猫「占い」！―未来とは何か？―｜リアクション

猫「占い」！―未来とは何か？―

「ここ、もしかして……。よく当たるっていう猫占いの……？」

　次にＮの店にやってきたのは恵御納夏朝。
　筋金入りの猫好きである彼女にとって、猫占いとなれば黙っていられない。
　ちょうど先のこと……未来や将来も気になっていることだし、と占って貰うことにした。

「いらっしゃい。おや、可愛いパペットですね？」

　恵御納が常に常備している猫のパペットを見て、Ｎは微笑んだ様子だった。

「僕の、先の事……未来や将来の事を……占ってほしい、です」

　ぽやんとした感じの口調の恵御納だったが、その中に何かを感じ取ったのか、Ｎは頷いて先を促す。

「将来的に叶えたい願いはあるけど、かなりの無茶振りな気もするし、フツ……周りの平穏を壊さないと叶わない場合は、諦め……妥協しようって決めてる……けど、迷ってるのも事実です」
「どうやらお悩みはかなり深刻のようですね。力になれるといいのですけれど」

　Ｎの声は真摯に聞こえた。
　恵御納は進路や将来も、まだこれから見つけないといけないと思っているが、まだこれというものは見つけられていない。

（……切欠の１つになるといいな）

　そう思いながら、Ｎが差し出したカードの中から一枚を引く。

「まず、貴方を猫で例えると、スコティッシュフォールドですね」

　スコティッシュフォールドは人懐っこさで人気の猫である。

「あなたはみんなのムードメイカーになれる存在。行動的ですが、落ち着きがあり、性格は穏やかで、感情的になることは殆どありません」

　ムードメイカーまではどうだろうと思うものの、言われたことの後半は当たっているような気がする……と、恵御納は思った。

「あなたの悩みはとても難しいもののようです。とても強い運や吉を必要とするのですね」

　そう言われて、恵御納の顔はほんの少しだけ曇った。
　とは言え、本人と親しい者にしか分からないほどではあったが。

「でも、安心して下さい。現段階では見通しは明るいです。とても強い吉兆が出ています。まるでスコティッシュフォールドの仔猫のように無垢な、素直な運命が見えます」

　Ｎの声は明るかった。

「そうなの？　……嬉しい、ありがとう！」

　変わらず恵御納はぽやんとしているが、これでも目を輝かせて喜んでいるつもりなのだ。

「ただ、スコティッシュタイプの人は、孤独に弱く、一人で過ごすことが苦手です。そのことが今後の貴方の課題かもしれませんね」

　Ｎは全くの全肯定ではなく、きちんと注意すべき点も教えてくれるようだ。
　恵御納はそこに好感を持った。

　同時に、孤独や一人、といったキーワードから、夏夜のことを思い出す。
　夏夜のことを何とかするためには、恵御納自身も強くなる必要があるのかもしれない、と思った。

　恵御納は占ってもらった内容をきちんとメモに取った。
　お守りや猫グッズはないかな、と恵御納が問いかけると、Ｎはディフォルメされたスコティッシュフォールドがついたガラスペンを勧めてきた。
　ガラスペンというものを手にとるのは初めてだったが、書いてみるとなかなかに書き味がよく、猫柄のメモ帳にも合うので購入することにした。

「Ｎさんに感謝。占ってくれて……本当に、ありがとう」
「私も占わせて貰えて楽しかったです。また来て下さいね」

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