this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
不思議な小箱
<< もどる
1
2
3
4
Case4【蝉時雨】
――午後からは、何をしようか。
深林 真瞭
はぼんやりと窓の外を見つめながら、胸に呟いた。
交響楽団の権力闘争に疲れ果て、ここ寝子島は星ヶ丘のマンションで『潜伏生活』中の彼女だが、本日はオフである。
もっとも、午前中はヴァイオリンの練習をやっていた。ただ、気が乗らなくて、そちらは午前中に切り上げてしまったのだ。
と。その耳に、どこからか蝉の鳴き声が聞こえて来た。
(蝉? 三月なのに?)
驚いて、あたりを見回せば、部屋の隅に見覚えのない小箱があって、蓋が開いていた。鳴き声は、そこから聞こえて来る。
彼女は眉をひそめて歩み寄り、小箱を手に取った。
流れ出る蝉の声に耳を澄ませる彼女の脳裏に、ふいに鮮やかに、二十歳のころの記憶がよみがえった。
×××
そのころ彼女は、恋をしていた。
それも、絶対にかなわないだろう恋だ。
だから、想いを相手に告げるつもりはなかった。
それなのに。
「私……あなたが好きです……!」
夏のある日、彼女は衝動的にそんな言葉を口にしていた。
人気のないキャンパスに、照りつける太陽と蝉の声だけが満ちていた。
その人は、彼女より十五歳年上で、プロのテナーサックス奏者だった。
彼女が通っていた芸大のOBで、講師でもあった。
OBと現役学生によるチャリティイベントで共演したのがきっかけで、親しくなった。
奏でる音色と同様に、包み込むような優しさと烈しさを持つ大人の男性だった。
(たかが二十歳の小娘の私が、いくら背伸びしても、釣り合うような相手じゃないわ。……振り向いてもらえるはずもないのよ)
彼女は、自分自身にそう何度も言い聞かせてみたものの、かなわないと思えば思うほどに、恋慕の情は募って行く。
あきらめようとも思った。
他の誰かとつきあえば、この想いは消えるかもしれないと、友人に男性を紹介してくれるよう頼んだこともある。
けれど、それはかえって自分を傷つけるだけの行為だった。
結局、想いに終止符を打つことはできなくて、友人に紹介してもらった相手ともさほどつきあいを重ねることなく、別れてしまった。
そうやって、苦しみ続ける中で、きっと想いは膨らみ過ぎて、破裂寸前にまで達していたに違いない。
夏季休業中のキャンパスの一画で、たまたまその人と出くわした――その瞬間。
想いは言葉となって、あふれ出していた。
彼は、驚いたように彼女を見つめたあと、真摯な目をして言った。
「ありがとう、気持ちはうれしいよ。……でも、ごめんね。君の想いには、応えられない」
真瞭にとっては、予想どおりの答えだった。
「いえ、いいんです。……忘れて下さい」
彼女は、冷静さを装ってかぶりをふって言う。
蝉の声が、耳の奥でわんわんと鳴ってうるさかった。喉がからからに乾いている。
「深林」
彼に名を呼ばれ、顔を上げると心配げな目にぶつかった。
片手が頭の上に置かれ、子供をあやすように撫でられる。
「本当に、ごめんね」
――こんな時にも、彼は優しい。
ふいに、胸の奥から何かが込み上げて来て、真瞭はその手をふり払うようにして踵を返した。
そのまま、走り出す。
気づくと、頬に涙が伝っていた。
×××
「……優しくなんて、されたくなかった」
低く呟き、真瞭は我に返った。
いつの間にか、過去の思い出に浸り込んでしまっていたようだ。
小箱の蓋を閉じると、蝉の鳴き声は止んだ。
小さく吐息をついて、彼女は立ち上がる。
「……昔のことだわ。それより、お腹も空いたし、美味しいものでも食べに出かけようかしら」
沈んだ気分を変えるためにも――と、彼女は出かける支度を始めるのだった。
<< もどる
1
2
3
4
このページにイラストを設定する
あとがき
担当マスター:
織人文
ファンレターはマスターページから!
参加いただき、ありがとうございました。
マスターの織人文です。
今回は人数こそ少なかったですが、どれもバラエティーに富んだ大切な思い出ばかりで、書かせていただけてうれしかったです。
みなさまにも、少しでも楽しんでいただければ、幸いです。
↑ページトップに戻る
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
不思議な小箱
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
織人文
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
10人
参加キャラクター数
4人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年05月08日
参加申し込みの期限
2017年05月15日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年05月15日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!