【裏球技大会】落神多弾交叉飛球演武～後半の死闘～｜リアクション

【裏球技大会】落神多弾交叉飛球演武～後半の死闘～

　＊投げ込まれたボール（黒猫組）

「くるり」
「わっ！？」
　そう言って、環の能力によって転んだのは真魚である。
「ほな、さいなら」
「これが僕達の落神多弾交叉飛球演武！」
　そして日華がボールを当てて真魚は外野へと行った。
　ついでに環は超☆ドヤ顔である。
「しかし、これ重いなぁ……」
　日華が持っている黒いボールは重量がかなりある黒の不思議な球であった。
　といってもバスケットボールよりちょっと重いかな？　くらいなので日華にとっては扱いやすいものだった。
「それは、もらうのじゃ」
　しかし、その球も『お取り寄せ』で薫子の元へと持って行かれる。
「うーん。ちょっと厄介だね！」
　環は明るく言ったが、状況は悪い。
「たぁっ！」
　そのボールを受け取った円が連携してボールをたたき込んでくる。
　ダッシュジャンプと遠心力を利用した一撃……それもストレートとドロップを使い分けているのである。
「と、取れないことはないんやで……」
　それを取る日華もだいぶつらそうだ。
　環の『転』によって幾分か速度や変化は軽減されているがそれでもじりじりと追い詰められてきている。
「あっ！　う、うそや！」
　しかし、何度目かの応酬でついに日華がボールを取りこぼす。
　その上で、そのボールは相手に『お取り寄せ』をされた。
「びゅんびゅん動くよ！　まだまだ動くよ！　もっと動くよ！」
　しかし、ここで折れる環ではない。
　が、その黒いボールは環を捕らえようとした……瞬間だった。
「とうっ！　巌面征衛賦！」
　その瞬間、割って入った荒太郎がそのボールを受け、そのまま相手にはじき返した。
「えっ？　やははー当たってしまったのじゃ」
　そしてそのままとっさのことで、回避行動を取るのを失敗した薫子にヒット。
「「むぅ、あれは巌面征衛賦！」」
　そのとき、円とおばちゃんの声が重なった。
「説明しよう！　巌面征衛賦（がんめんせえふ）とは、寝子武士に伝わる奥義の一つで、飛んでくる矢を歯でとらえた刹那に軌道を変え、放った相手に返すという、武芸を極めつくした者でないと行えない究極の神技である」
「以下、テンプレでした」
　おばちゃんと男が解説をして去って行った。
「ふふふ、血が滾る」
　その様子を見て円が別の意味で興奮していた。
　結局、なぜか俄然やる気を出した円と外野に回ったに薫子や白猫組の援護によって荒太郎と環はそのまま当てられたという。
「外野でも、まだまだ元気！」
「はりきっていこー！」
　まぁ、環と荒太郎はそれでも張り切っていたのだけれど。

＊一方その頃

「……書きにくい」
　遅まきながら天野は外野にて魔方陣を完成させて発動させていた。
　『裏切りテリトリー』は陣の中で起こる目視可能な行動の一部を逆さまにできるという素敵能力である。
　手始めに天野が狙ったのは、白猫組で妨害をしようとしていた外野である。
　故に、白猫組の外野は今まで黒猫組に手を出せないままでいた。
　しかし、状況を見るに黒猫組が不利である。
「……どうするかな」
　と、そこで、内野にいる修を盗み見る。
「そこの釘を取ってくれ！」
「わかったのだ！」
　修は真央と協力して陽二の結界を妨害するので忙しかった。
「くっ、結界が発動できない！」
　陽二がそう叫びつつも、自然に囮になっている。
　一応修は最低限の指示は忘れてはいない。
　……が、指示を受けてその通りに動けるかどうかは別の話である。
　ましてや、ろっこんが絡む以上、いつも以上の繊細さと大胆さがの二つが要求されるということに気がついてはいたが本人の資質だけではどうしようもない。
　おそらく、ちょっとした平時の勝負ならば今頃黒猫組は白猫組を圧倒しているであろう。
　黒猫組全体に通じるテレパシーでもあればもっと修の能力は発揮できたかもしれない。
「……日常と非日常、か」
　修はゆっくりとそうつぶやいた。

このページにイラストを設定する