あれだけ高かった青空も、今や真っ赤な夕日に染まりつつあるとき、さる一団が食堂へと詰めかけていた。
そんななか二年生と三年生……あるいは噂を聞いた一年生が食堂へと詰めかけていた。
「おばちゃん、まだ!?」
そう言って、身を乗り出すように食堂のカウンターへと身を乗り出す生徒。
「もうちょっと待ちな!」
食堂の奥から五十代くらいのおばちゃんが現れた。
お玉にエプロン……今し方仕込みをしている最中なのか、手を拭きながらのっそりと出てきた。
彼女の名前は北野 寧々(きたの ねね)。寝子高の学食のおばちゃんである。
「あんたらのお目当てはこれだろう?」
そう言って、ひらひらと見せたのは、学食無料券十枚綴りを15人分だ。
「ヒーハ-、もうたまんねぇぜ!」
「おぉぉぉぉ! そいつは俺のだっ!」
無料券の出現に盛り上がる生徒たち。
しかし、
「待ちな!」
おばちゃんの一喝によってぴたりと収まる。
「まぁ、あんたらの欲望は分からなくはないが、あたしはこれをただでくれてやるとは言ってない……」
「おぉ」
「まさか」
「今年もやるというのかっ!」
ざわつく上級生たち。
一方、一年生たちは何が起こるか分かってないようだ。
「……一体何が起こるというのだろう」
「先輩方のこの異様な興奮……フツウじゃねぇぜ!」
彼らはここに来ればしばらく食料に困ることはないと聞かされていただけなのだ!
おばちゃんはちゃっかり用意していたお立ち台に上ると、演説のようなものを始めた。
「さぁ、参加するガッツのある強者はどこだい!?」
「「「ここにいるぞーーーー!」」」
その瞬間、弾かれたように上級生たちは叫んでいた。
「今夜参加する者は飢えた狼だ! あんたたちの目的はなんだいっ!」
「「「食券! 食券! 食券! 食券!」」」
そして、よく通る声で宣言した。
「今年もやるよ、裏球技大会!!」
「「「おおーーーー!」」」
毎年恒例、おばちゃんが勝手に主催する学食無料券を賭けた壮絶バトル、裏球技大会だ。
実はもれいびとなっていたおばちゃんは、集まった生徒たちにひっそりと告げる。
「ここにいるのはもれいびばかりか?
ふんっ、もれいびだろうが人間だろうが、条件は同じ。
食券が欲しければこの果てしない闘争を生き残りな。……分かったね!」
「「「サー! イエス! サー!」」」
「さぁ、あんたらが恋してやまない今年の裏球技の発表だよ! 耳かっぽじってよく聞きな!」
ざわっ! ざわっ! ざわっ! ざわわっ!
「その名も……落神多弾交叉飛球演武!(らくしんただんこうさひきゅうえんぶ)」
「「「「な、なんじゃそりゃー!」」」」
かくして、裏球技大会が開幕した。
はいどうも、じんのです。
今回は裏でやる球技大会、裏球技大会をやります!
でーん!
フツウなんて! フツウなんて!
さぁ、思う存分暴れるのだ! ご飯のために!
*大事なことそれぞれ
・北野 寧々について
五二才、寝子高の食堂のなかでは料理はうまく
面倒見のいい通称「学食のおばちゃん」
明朗快活で、豪快なものが好む
熱狂的な『寝子島文庫の信者』でもある
もれいびなので、ろっこんを見ても驚かない
・裏球技大会
おばちゃんが毎年主催している、
球技大会後に一部の生徒たちを集めて開いている危険な球技大会
白猫組VS黒猫組は「表」と同じだが、表ではできないような競技をやっている。
この裏球技大会では勝った方は、1人につき学食無料券10枚綴りがもらえる
・落神多弾交叉飛球演武(らくしんただんこうさひきゅうえんぶ)
いわゆるドッジボールのようなもの
しかし! ただのドッジボールではありません
『古来より寝子島で行われた球技』(寝子島文庫刊)によれば
玉をもじった球を投げ合う武術を落神に奉納したことから発展したという
演武(スポーツ)である……と書かれている(真相は不明)
・ルール
初期配置:外野が5人、内野が10人。
ボールを相手の内野選手に向けて投げ、当てられたら外野に出る
内野の人数が0人になったら負け
初期の外野のみ、ボールに当たって出てきた内野と交代できる
(=初期の内野が外野になってから相手に当てても、復活はできない)
顔面を狙ってはいけない
内野同士または外野同士でボールを渡してはいけない
*球について(ドッジボール3号球で直径は21cm程度)
赤い炎球(持って1秒で発火する、しばらくすると球が消える)
青のぬめり球(もつとなぜかぬめぬめして、ちょっとひっつく)
緑の破裂球(投げる力が強いと、手元で爆発してヒット)
【追記】投げた人の手元で爆発し、投げた人が自爆でアウト。内野にいた場合は、外野に出ることになります。
黒の不思議な球(何が起こるか分かりません、上記以外の可能性あり)
これらの4種類の球のうちどれかが、コートの真ん中に1つずつ投げ込まれていきます
投げ込まれる球の種類、時間帯、回数などは一切不明です
*初期のボールについて
上記のボールの何れかが1つずつ、白猫組と黒猫組それぞれの内野へ
試合開始と同時に投げ込まれます
*ろっこんの使用可能
注意!
ろっこんを使用したからと言って必ずしも有利とは限りません!
ただし、派手にやり合うとおばちゃんは喜びます
*フィ-ルド
今回は夜の学校ですので
月明かりと少し明るい程度の校舎からの照明があります
(数メートル先の相手の顔が誰だか分かるくらい明るい)
グラウンドを使用し
コートは最大が縦13m、横20mになります
内野の部分が縦7m、横10mでこの中で試合を行います
試合開始と同時に、グラウンドに水がぶちまけられ
足下がやや不安定になります
審判について
どこからともなくある男がやってきます
分かっているのは以下の通り
・『自称「寝子島文庫」の出版社社員』
・もれいび
この男が来たからには審判について不安はない!
全力で死合をするのだ!
その他
人数が定員に満たなかった場合は
それぞれNPCが補填しに行きますが
彼らはあくまでお手伝い程度なので基本PCでなんとかしてください。
また、作戦やポジションは、みなさんで相談してください
相談できなかった場合はじんのがなんとかしますので
アクションをお待ちしております!