【球技大会】本気の野球（黒猫組サイド） -前半-｜リアクション

【球技大会】本気の野球（黒猫組サイド） -前半-

【４回表】

「俺達は負けない……俺達には負けられない理由があるからや！！！うおおおおおお、ヴォーグプレイッ！！！」

熱い男が打席に立った。
バットを高く掲げて叫んでいる。
熱い男、旭はベンチで肩を冷やすコブラに
「お前の代わりにホームラン叩き込んだる！」
と宣言して出てきたのだが。

「あ、あかん……なんやお腹の調子悪いで……」

いざ試合に出てみたらプレッシャーに腹痛を起こしていた。
見かねた黒猫観客席がさらに大きな声を出す。

「せんぱーい！がんばってー！」
「ホームラン期待してますよー！」
「負けないでー！」

チームメイトからの応援を受け取り、お腹を押さえながらも立ち上がる旭。

「そや……負けてられへん。こんなところで止まっとるわけにはいかへんのや！」

自分を奮い立たせなんとかバッターボックスに立つ。

「二階堂先輩、足震えてるアルよ」

華奈子に言われて意図的に足を延ばす。
優華の投げる球すべてに食らいつくようにバットを振るため、投球数が競りあがって行く。
ストライクゾーンから外れるボールもすべて外にはじきだしていく。
そしてなぜだろうか、旭がボールを当てる度、バットから火花が散っているように見える。

「これで、仕舞いや！」

一際大きな火花を散らしながら打ち込んだ先は右中間のスタンド。

「や、やったったで！！」

球技大会２本目のホームランであった。
拍手に迎えられて旭がホームイン。

「ホームランおめでとうございますー！」

観客席手前で、またも環が、今度はうさぎのぬいぐるみを旭に押し付けた。
４－３、黒猫チーム１点リード。

「ナイスホームランです！」

上機嫌の旭とハイタッチで交代、打席に入ったのは創。
しっかりと目の前でバントの構え。
優華は狙いづらい位置を狙って投げ込む。
創は腰を落としながらバットに当てたが、ファールゾーンへ。
２球目も同じようにバントをファールゾーンへ。
後に引けなくなった３球目。

「あっ、ごめんなさいっ」

優華のボールが創の手前でワンバウンド。
上手くキャッチできず華奈子が後ろに逸らす。

「戌井！走れ！」

観客席からメガホン片手に修が叫ぶ。
その声に反射するように、創はバットを放り投げて走り出した。

「は、速さこそスピィィーード！！！」

焦っているのか、よくわからない迷言を口走りながら持ち前のスピードを盾に一塁へスライディング。
現在ノーアウト一塁。

「あんまり派手なパフォーマンスは期待しないでよ」

そう言いながらバッターボックスには五郎八が入る。
眼鏡の奥の瞳を細めて、確実に打てる球を見極める。

「持ち球はストレートと、さっきフォークボールを投げてたわよね。この数日でよくものにしたわね……」

ひとりごとのように優華の特徴を呟くと、甘く入ったストレートを選んで送りバントを成功させた。

「長距離は無理でも、この程度ならなんとかなるわね」

眼鏡をあげながらベンチに戻った五郎八と入れ替わりで打席には真帆。
三者連続でバントの構えである。

「大丈夫アル！今度はさっきみたいなボールでも受け止めるアル！」
「ええ、信頼しているわ！」

白猫女子バッテリーが声を掛け合う。
バントに警戒し、内野が前進守備を取ったことを確認し、ボールを放つ。

「はいっ、と」

素早くヒッティングに持ち変えるとサード方面へボールをはじく。

「させないんだからっ！」

三塁前進守備をしていた月乃はすぐさま反応し片手でゴロを捕球。
そのまま走ってきた創の前で三塁ベースを踏むと一塁に送球。
一塁では空里花が的確にキャッチ。そのまま真帆をタッチアウトに。
見事な併殺であった。

スリーアウト、チェンジ。

～ 後半のリアクションにつづく ～

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