激走！　寝子島横断三人四脚駅伝！（第三区間）｜リアクション

激走！　寝子島横断三人四脚駅伝！（第三区間）

「あれ……？　あれ？」
　六月一日宮檸檬は困惑していた。
　スタッフさんの抱えているネコがそろいもそろってそっぽを向くのである。
　これは困ったぞ。
「六月一日宮、ねこさんは柑橘系の香りが嫌いじゃなかったか？」
「あ、」
　隣に居た鈴木修一郎の言葉に、檸檬は何かを思い出す。
　そう、彼は思い出したのだ。
　レース前、チーム面子にお裾分けした『レモンのはちみつ漬け』の存在を！
「なるほど、私も避けられているのはそのせいか」
　修一郎も困った顔をした。困るだけではない、可愛いネコさんがそっぽを向くなんて余りにも悲しい！
「わしのあけぼのは平気なんじゃがのう」
　檸檬や修一郎と同じチームの猫ヶ崎獅子子が呟く。
　他のネコも確かに魅力的だった。
　しかし己の欲を打破し、勝利のために大人しい性格の飼い猫を選んだのである。

（辛い選択じゃった……！）

「あけぼの！　だっこじゃ！　一緒に行くんじゃ！」
　雄々しく掲げてはみるものの、あけぼのの体型は太っちょ。
　……ちょっと重い。
　その横でまだネコを探す檸檬。
　縋る思いで視線を上げた先に居たのは金色の瞳をしたネコだった。
　悪戯そうな瞳のネコ――この子だけは嫌がることもなく、檸檬を見ていたのである。
「なぁ、一緒に行かないか？」
「にゃあ♪」
　返事が返れば、ペアの決定！　こういうのだって運命さ。
　隣の修一郎にもまた、運命が訪れていた。
　スタッフの手から逃げ出した、綺麗な毛並みの黒ネコが一匹、修一郎の足元で跳ねていたのだ。
「どうした、ねこさん」
　屈んで視線を近くしてみれば、どうやら修一郎の手の中にあるものに興味を示している。
　それは修一郎お手製のネコのぬいぐるみ。
　たしたしとぬいぐるみに興味を示すネコは何とも愛らしい。
「ク、ククク……運命とは素晴らしい」
　ネコの可愛さに震えながらも、修一郎は歓喜に満ちていた。
　
　▼チーム『梅』Ｅｎｔｒｙ！
　・鈴木修一郎
　・六月一日宮檸檬
　・猫ヶ崎獅子子

　――さぁ、各々の選択肢はどう出るだろうか！

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