【球技大会】テニスの部（白猫組サイド） -後半-｜リアクション

【球技大会】テニスの部（白猫組サイド） -後半-

恋する青少年の力はたいしたものだった。
璃人はついさっきまで弱音を吐いていたのが同一人物とは思えないほどの活躍を見せたのだった。
そのおかげもあってか、最後の一球。
勝負を分けたのは璃人の打球だった。
真秋のミスショットにより高めに浮いてしまった絶好球。
それまでの璃人のパワープレーを見てきた真秋と睦月は、慌てず素早く位置を下げた。
璃人はまるでサーブを打つように大きくテイクバックする。
「これがりぃの全力全開なのです！」
とんとん、と爪先で地面を打ってタイミングを計って鋭く振り下ろした。
礼二はその時、相手の表情を見た。
それだけで何が起きたのか大体予想がついた。
「なぁんてねっ♪」
そう言って璃人は可愛らしくウィンクをする。
相手のコートに激しく突き刺さるはずだった璃人の打球はふわりと浮いて、吸い込まれるようにネットの１０センチ向こうへ落ちた。
ドロップショットだ。
正真正銘、璃人の必殺ショットである。
派手なプレーで目を眩まされていた睦月と真秋は一歩も動けない。
「ゲームセット！　白猫組！」
ホイッスルが鳴り、高らかに宣言された。

――第５試合、白猫組勝利。

○試合結果○
第１試合
　○　椿美咲紀・天馬ひびき vs 新井すばる・ブリジット・アーチャー　●
第２試合
　●　三崎楚良・夢宮瑠奈 vs 常盤四月・弓弦原譲　○
第３試合
　●　哀坂零葉・夏神零 vs 哀坂極夜・間宮芽瑠　○
第４試合
　○　三ヶ島葵・森蓮 vs 浮舟久雨・桃川圭花　●
第５試合
　●　金堂睦月・笹暮真秋 vs 葛城璃人・加瀬礼二　○

かくして寝子島高校春の球技大会テニスの部は、白猫組の勝利で幕を閉じた。
その人間模様入り乱れ、悲喜交々、哀歓相極まった今大会は、その後敬意をこめて『ニャンブルドン』と呼び習わされることになるのだが、それはまた別の話である。

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あとがき

担当マスター：三三三
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ようやく公開と相成りました僕のお仕事一発目。
いかがでしたでしょうか。
言いたいことはいろいろあるのですが、まずは少々遅くなりまして申し訳ありませんでした。
せめて裏球技大会が始まる前には終わらせなければと思い戦々恐々としておりました。
ただ僕としましては概ね楽しく書けました。
その雰囲気が少しでも皆さんの青春の汗とともに伝われば幸いです。
改めて読み返してみると、あんまりテニスしてる気がしない……
と思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。
しかし試合動画なんかを見ていても、試合の大半は何度か球が行って戻って、審判がカウントコールする。
その繰り返しです。
ただ単にそんなものを書いたところで全く面白くないですよね。
小説の行間を読むように、試合の幕間を書いてみました。
折角魅力的な皆さんがいるのですから、球の往復よりも皆さんの顔をレンズに収めた方が良いものが出来ると僕は思います。

しかしこのらっかみ！という世界はとても賑やかですね。
思わずつられて浮かれ騒いでしまいそうです。
ええじゃないかええじゃないか
……狐面くらいなら被っても良いんじゃないでしょうか。

さて、今回はこのような日常のひとこまを描きました。
次回は少し妙なシナリオをお届けできればいいなと考えております。
少々お待ち下さいませ。

それでは今後とも御贔屓に……

三三三

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