フォンデュパーティ！｜リアクション

フォンデュパーティ！

○スケッチとお開き

　バレエが始まったあたりで、月詠は二階に上がった。
　中央で一階を見下ろしながらスケッチを始める。
「左端にエレナ嬢が踊るステージ、その右にはぱーてーの様子だな」
　全体視して多少簡略化しているが、特徴的な動きは取り入れていく。
　そこへやはりスケッチブックを抱えた月がやってきた。
「隣で描いてもいいかな」
「ああ、いいとも。そちらはデザインかな？」
「うん。バレンタイン……私も準備しないと」
　話しながら二人は絵を仕上げていく。
　月のデザインしているドレスは、さっき食べたチョコのように甘く、紅茶のように熱い、情熱の赤。
　仕上がったらこの後製作のため材料を用意することになるだろう。
　月詠のイラストには、チョコフォンデュに野菜をぶち込む巌や、チーズフォンデュを食べるテオテオ、闇フォンデュカレーを食べる修、そして月詠自身も描かれていた。
（アトリエで完成させたら信彦かエレナ嬢に贈呈するとしようか）　

「今日は楽しかったよ、ありがとう」
　見送りに出たホスト部メンバーに、月がお礼を言う。
「色々おいしかったし、楽しかった……本当に、ありがとう！」
　そして夏朝も、心から感謝を述べる。
「喜んでいただけたなら、こちらこそ光栄です！」
　ホスト部を代表して、昌也が深々と頭を下げ答えた。
「皆楽しそうだった、こういう雰囲気のパーティーなら定期的に開いてもらいたいね」
　月はそう言って部屋に戻っていった。

「楽しかったわ。こういうパーティはどんどんおやりなさい。肩肘張らなくていいのよ」
　ファンデュカレーの影響か大分酔いが醒めたらしい理事長も、無事車で送られて帰っていった。
「ありがとうございます！」
　最敬礼で理事長を送り出し、昌也は胸を撫で下ろした。
「ありがとう。みんなのおかげで楽しいパーティができたよ♪」
　部員や協力者へのねぎらいも忘れなかった。
　

　本番のバレンタインまであと少し、さて、どんなドラマが繰り広げられることだろうか。

このページにイラストを設定する