【星幽塔】酒場にて　→飲む　→話す　→外に出る　→脱ぐ｜リアクション

【星幽塔】酒場にて　→飲む　→話す　→外に出る　→脱ぐ

　
　卯木衛と来島アカリは拠点確保に奮闘していた。

　彼らは手持ちの文房具で空き屋の持ち主である商人に交渉していた。学校で使う品々とはいえ、この世界では誰も見た事のない物だ。商人の目は揺れてはいたが、まだ首を縦には振らなかった。それでも衛はあきらめずに必死に交渉を続ける。
「俺らが宿屋したらさ、おっちゃんの宣伝したいものなんかあれば宿で宣伝してやるよ！　最近旅行者とか急増してないか？　このネットワーク使えたらでかいと思うぜ」
「……まあ確かに、黒竜討伐の噂が流れてて、人の出入りは盛んだけどなぁ」
　商人は頭の中で算盤を弾いているようだ。もう一押しと今度はアカリも加わった。
「おっさん、それ、噂じゃないかもしれないぜ？」
　そう言うとアカリは魔法の杖を振りかざす。そして商人の店の外に向けて、勢いよく水を放った。魔水の光を持ったアカリならではの芸当だ。
　この魔法がダメ押しとなった。商人は本当に黒竜討伐があるならば力にならせてもらうと、空き屋譲渡の契約を快諾し、衛とアカリは無事目当ての空き屋を確保することが出来た。

　１番の懸案事項を解決出来た２人は心も軽く今度は家具を手配しにいく。まあそこで衛が自分のセンス全開で家具を選ぼうとしたとか、それをアカリが全力で止め、結局シンプルでおしゃれな物にしたりとか色々ありはしたが、なんやかんやで無事に選び終える。搬入の手はずも終え、２人は家具屋を出た。