【球技大会】普通のサッカー（白猫組サイド） -後半-｜リアクション

【球技大会】普通のサッカー（白猫組サイド） -後半-

【それぞれの休憩、それぞれの決意　黒猫組】
　
「ごほっ、ごほっ。４５分走り回るのはだいぶきついわ」
「ほーら寿司くうんだろー……辛いのは同じだ」
　衣夢が軽く咳き込んでいる。
　それをラッセルが励ましているが……その状況は個々だけではなかった。
　二人のやりとりを見ていた修がざっと黒猫組を見回すと、疲労の色がだんだんと濃くなってきているのが分かった。
　特に、前半ぶっ通しで出た何人かは平気そうな顔をしているものの、だんだんと疲れてきているのが分かる。
「……向こうの方が効率のいいチーム入れ替えの方法を作ったようだな」
「それが分かってるなら、そろそろ出てもらうぞ」
　仄の言葉に、修はそっちも出てほしいと頼む。
「……準備運動だけはしておこう」
「頼んだ」
　さて、今後は厳しいぞ、と誰ともなくつぶやいた。

　一方、ベンチの近くでは蛇那伊がヒーリングをしていた。
　具体的には、スポーツドリンクをしっかり飲んだら、呼吸を落ち着かせて座禅を組むように静かに座るというやり方で、どちらかというとクールダウンに近いが……わりと効果は高い。
　天野と英二も教わる形で実践しているが、芳しくは無いようだ。
「はぁっ……はぁっ……」
「っ……大丈夫か？」
「二人とも、ちょっときつくなってきたかしら？」
　蛇那伊が英二と天野を見ながらゆっくりと目を開いて言う。
「……仕方ない。後半の中盤あたりまで出よう。……千鶴ちゃんも心配だしね」
「こちらも引き続き出よう、二人は体力を回復させてくれ」
　まもると刀が申し出る。
「わ、わかった」
「やれやれ……」
　英二と天野は少しずつ呼吸を取り戻す……。
　が、まだまだ休憩は必要なようだ。
　その会話が交わされている間も蛇那伊は静かに体力を回復していくのであった……。

　背番号４番を手に取った拓郎は、もう一度ゼッケンを体操服の上から着直した。
「しっかり……働か、ない……とな」
「敵は体格の良い尾鎌や体育科の志波をマークしてくるだろう。尾鎌も先ほどは上手くマークされていたな……だから、そういうときは俺のチャンスというわけだ」
　決意をつぶやく拓郎の前に現れたのはシグレだ。
「まぁ、しっかりとアシストもするから勝ちに行こう」
「ん……そう、だな……」
　幸い、未だ誰も身体的に重傷には至ってない。
「熱中症対策なのだ、お水大切なのだ」
　そんな二人ものとへ２０番のゼッケンをつけた真央がスポーツドリンクと氷タオルを配っていく。
「……ありが、とう」
「お、いいね」
「勝ってお寿司なのだー！」
　三毛猫のがおーを連れて歩く真央がほんわか空気を作り出す。
　リラックスは大事である。
「……お、寿司？」
「どうやら、勝ったら八神が連れて行ってくれるそうだ」
　ふむと頷く拓郎にシグレが意地の悪い笑みを浮かべて言う。
「せっかくだから、勝って一番高いネタを頼みまくってやろう」
「……そうだ、な」
　そう言って、別のところで別の野望が進行中だったのだ……。
　頑張れ、修の財布。

　こうして、各自休憩を取っていったのであった……。

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