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【クリスマス】星ヶ丘のホーリー☆ナイト
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ややあって梓音はいつの間にか、衛守を目で追っている自分に気がついた。
最初、梓音は彼を、恐い人なのではないかと思った。それほどに彼のまなざしは鋭く、凍てついていた。
けれども話してみると、衛守は妹思いの兄のようであった。態度も柔らかく、優しい。
今日一日に限ってもかなりの人間と彼女は顔を合わせたが、間違いなく衛守こそ、もっとも印象に残っている男性であった。
――お兄様は今日、お一人なのでしたわね。
野生動物に無理矢理服を着せたよう、そんな印象を彼女は、彼の姿に受けている。衛守はそつなく挨拶をこなしているし、愛想笑いもできている。けれど、パーティを楽しんでいるようには見えない。まったくといっていいほどに。
おもてなしせねば、そう言葉で思ったときにはもう、梓音は彼に声をかけていた。
「鉄さん、気が回らず失礼しました」
「え? ああ、櫻木さん」
「家族に紹介させていただきますわ」
ほとんど彼の手を取るようにして、梓音は衛守を父親に、そして会社関係の人々にも紹介して回る。
「こちら、お友達のお兄様ですの」
衛守からすれば半径一メートル以内に入るのにも躊躇するような人にも、梓音は声をかけていくのだった。しかもひとつひとつの挨拶が短い。決して押しつけがましくないが、それでも好印象だけ与えてさっと去る。
――さっきの老人、引退したとはいえかつては財界の大立者だった人物だ。……さすがだな。彼女は大人に接するのに慣れているのだろう。
内心衛守は舌を巻いていた。おかげであっという間に挨拶回りが終わったのは事実だ。
さらに梓音は衛守にビッフェ形式の料理を勧め、ドライマティーニのカクテルグラスも持たせて、広い会場の見所も案内していく。
「大きなツリーの下のプレゼントは、訪れた子ども全員に後ほどプレゼントされるのが恒例なのですのよ」
「そうですか……はは、あの大きい包みはなんでしょうね?」
梓音のおかげで衛守の顔には、作り物ではない純粋な笑みが生まれていた。けれども梓音は、やっぱり妹さんと一緒じゃないとつまらないかしら――と気を回し、
「よければ庭をご覧になりません? もう暗くなりました。イルミネーションに飾られておりますので、なかなかの景観ですわよ」
と衛守を庭に誘ったのである。
遠慮すべき場面かもしれないが――衛守はほんの少しそう思ったものの、そろそろパーティ会場に息苦しさを感じていたのも事実なので喜んでこれに応じた。
誰もがパーティ会場での酒食やマウンティングや人脈作りに忙しいらしく、庭は無人だった。
しん、と冷たい。吐く息は白く、降り積もった雪に青色のイルミネーションが映り込んでいる。
衛守は深呼吸していた。重ね着していた拘束着を脱げた気がする。一枚だけだが。
「櫻木さん、妹から貴方のことは聞いています。素敵な友人で憧れていると、いつも楽しそうに話していました」
灰のように粉雪舞う中、彼の歩幅は少し大きくなっていた。
「いいえ、私の方こそいつも仲良くしていただいてとても嬉しいんですの」
衛守を見上げて梓音は思った。こんなに背が高かったのだ、彼は。外に出るまで気がつかなかった。
息を吐き出すようにして衛守は言う。
「妹は今日の欠席をとても残念がっていて……この埋め合わせはいつか必ず、とのことです。あなたのおかげで学校生活も充実しているようで、兄としても感謝しています。どうか今後とも仲良くしてやってください」
これはト書きではない。彼の心からの言葉だ。
それがわかって梓音もつい、心のドアを半ば開けている。
「私、その……実はあまり人付き合いが上手くなくて……」
人形みたい、そう揶揄されたことが何度あるだろうか。梓音の美しすぎる容姿、幼少時から社交界に出されたせいで身についた大人びた姿勢、それは、同年代の少女たちから明らかに浮いていた。彼女らとのあいだに壁は作ったつもりはないのだが、距離は開けてしまった、と思う。
「でも妹さんはこんな私にも優しくしてくれますの。こちらこそずっと仲良くしてほしいですわ」
衛守は直接その言葉に応えず、空を見上げた。
星は見えない。黒い天鵞絨のような空から、冷たい綿のような雪が降ってくる。ひたすらに振ってくる。世界を埋め尽くしてしまいそうなほどに。
「……冷えてきましたね、そろそろ戻りましょう」
そっと梓音の手を取り、衛守は彼女をエスコートした。そうすることが適切なように思ったのだ。間違いなく、梓音は一人の淑女だ。ふさわしい扱いをすべきである。
梓音は拒まない。内心驚いてはいたが、一人前として扱われたように好ましく思って、彼に身を預けていた。
「プレゼントありがとうございました。大事にしますわ」
雪を溶かすような温かい声で梓音は告げる。そうして、お返しというほどのものではありませんが、と、恐縮しつつ彼と、彼の妹に用意したプレゼントの包みを渡したのだった。
「それと、妹さんにも雰囲気を少しでも味わってもらえればと、今日の料理の折り詰めを作っておきました。どうぞ持って帰って下さいまし」
「それは……」
衛守は言葉に詰まった。
――妹は良い友人を持ったな。
そう思う。
じき、会場に入ろうということころでそっと梓音が告げた。
「……また、お会いしたいですわね」
「ええ、妹が治ったら、挨拶に伺わせます」
それはもちろんですけど、そうではなくて――と梓音が言う前にふたりは会場に着いてしまった。
だから梓音の「お兄様にも」という言葉は、口に出されることなくパーティ会場の熱にまぎれて消えてしまったのである。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
1000人
参加キャラクター数
62人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年02月09日
参加申し込みの期限
2016年02月16日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年02月16日 11時00分
参加キャラクター一覧
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