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【お三夜】猫と人、二つの世界が交わる夜
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●猫の宴会にて
参道商店街から寝子島神社のほうへ歩いてくると右手側に耳福池がある。今宵、耳福池の周りは提灯で彩られ、その明りの下には猫たちが集まって大いに酒盛りをしている。昼間なら鯉や亀がのんびり泳ぐ水面には、今宵は恋人たちを乗せた小舟たちが、あまぁく揺蕩うばかりである。
お三夜様の不在を知ってか知らずか、酒に酔った猫たちは人を交えて賑やかに盛り上がっていた。
「おや、永田さんじゃないか」
旧市街で煙草店「檀屋(まゆみや)」を営む
御堂地 瑛華
は、猫たちの宴会の中に見知った藍色の羽織を見つけて声を掛けた。パイプを片手に振り向いたのは、馴染みの客の寝子高教師、
永田 孝文
である。
「ああどうも、檀屋の」
会釈する眼鏡の男は、いい感じに枯れた白髪を軽く掻きあげる。その頬は酒でほんのり色づいている。
「先生、こんなところで何をしてるんですか? どうせあれだろう、見回りのつもりがついうっかり盛り上がっちゃったとかそんな感じだろう?」
瑛華は草色の着物に黒い革コートという大正浪漫のような出で立ちで、黒い革手袋を顔の前で振って飄々と笑うものだからすっかり年齢不詳だけれど、じつのところは孝文より二回り近くも若い。にもかかわらず母親に悪戯が見つかってしまった子どもみたいな顔をしたのは孝文の方だった。
「そんな顔しなくたって」瑛華はけらけらと笑った。「誰にも言いつけたりしないよ。それよりどうせだから私も混ぜてもらえたら嬉しいんだけれど」
「やあ、それはもちろん」
孝文は老いた白猫と自分との間に瑛華のための隙間を開ける。
瑛華はそこに膝を割り込ませると、一緒に食べないかいと買ってきたつまみを広げだした。
「焼きそばにイカ焼き、それに最近は牛肉の串焼きなんてのもあるんだね。酒を飲んで煙草を呑んで……こんな楽しみ方も粋ってもんさ」
「いやあわかる」
老猫が駆けつけ一杯とばかりに瑛華に杯を勧める。瑛華は遠慮なくそれを頂き一息で飲み干すと、ぷはあ、と気持ちよく空に酒気を吐いた。
牛串に手を付けながら、孝文が尋ねてくる。
「最近はどうです、店の方は?」
「まあぼちぼち。先生ももっと寄っておくれよ。いいの仕入れたよ」
「そうですか、ならそのうち」
そんなふうに、最近の商売のことや互いの趣味の喫煙具のことなどで盛り上がっていると、ふと、きょろきょろと心細げにあたりを見回す黒髪の少女がいる。
「ちょいと失礼、ウチの二階に下宿してる子だ」
瑛華はそう断ると、おーい、と少女に向かって手を振った。
「悠じゃないか。そんなところで何をしてるんだい?」
声を掛けられた
勅使河原 悠
は、瑛華を見つけてほっとしたような顔をし、それからその隣に古文の永田先生を見つけてあっと口元を押さえ会釈をする。
「え、瑛華さん……永田先生も……こんなところで、な、何をしてるんですか……?」
「何って、ご覧の通り。私らはここで宴会さ。折角の祭りだもの、楽しまなきゃ損じゃないか」
「え、宴会……?」
悠は驚いた。何にと言えば、瑛華も永田先生も、この状況に違和感なく馴染んでいることにである。
このふたりだけではない、他の人もだ。どうしてみんな不思議に思ってないんだろう。
悠自身は大いに戸惑っていた。
そして、みんながもれいびだからだろうかと思い至った。
右目をそっと片手で隠す。
それが悠のろっこん<嘱目する実正>を使うために必要な所作だった。悠のろっこんは、相手のろっこんがなんであるかなんとなくだが“見る”ことができる。左目だけでふたりを見ると、永田先生には何も見えなかったが、瑛華の方は小さな炎のようなものが見えた。なにか、火に関するろっこんを持っているのだろう。
(あ……瑛華さんは、もれいび、なんだ……。もれいびだけじゃなくて、ひとも混じってこの状態になってるのは、神魂のせい、なのかな……? だとしたら……私もお祭りを楽しんで、いいのかな……)
群れからはぐれた羊みたいに、心細げに思いあぐねている悠を見た瑛華は、自分と先生の間にスペースを開けて、ちょいちょい、とそこを指差した。
「座りなよ。どうせだし、一緒に宴会を楽しまないかい?」
「わ、私も、ですか……?」
「いいよな、先生?」
もちろん、と先生も頷く。そこで悠は瑛華や先生が盃を手にしているのを見て早合点した。
「み、未成年ですから、お酒は……!」
真っ赤になって顔の前で手を振る悠に、瑛華も先生もあっはっはと笑った。
「さすがに未成年には勧めないよ。ねえ先生?」
「ははは、お酒は大人になってからな。ほら、温かいうちにイカ焼きでも食べなさい。飲みものは麦茶とオレンジ、どちらがいい?」
「お、オレンジで……」
みんな楽しんでいるみたいだし、細かいことは気にしないようにしよう。
そう心に決めたると、瑛華や永田先生にお酌をしたりして、悠なりにこの場を楽しむことにした。
◇
さて、瑛華たちのあたりは渋い感じの老猫やおじさんが落ち着いて飲んでいる感じだったが、池のも少し神社寄りのあたりでは、もっと若い猫たちがにゃあにゃあと歌ったり踊ったりして楽しんでいる。
星ヶ丘でオレンジ動物病院開院を営む
ジェレミア・ベルトーニ
はほっぺたを抓った。
痛かったが、痛い夢もあるのかもしれないと思いなおす。
ジェレミアは職業が動物病院の先生であるし、寝子島の野良猫・地域猫の観察研究もしているから、このあたりの猫にはそこそこ詳しい。その、見たことのある猫たちが、2本足で歩いたりあまつさえ露店を開いたりしているのである。ひとであるジェレミア先生がうたた寝に見た夢だと思っても仕方のないことであろう。
そんなこんなで池のほとりを歩いていると、突然声を掛けられた。
「下僕、何してるみゅ?」
下僕? たしかに今宵は、仕立ての良いスーツに黒いしっぽとネコ耳という『にゃんこ執事』な出で立ちだけれども、――下僕?
驚いて振り返ってさらに驚いた。
「
すみ
じゃないか!」
若い猫たちの真ん中にいたのは、すみ。
ジェレミアが飼っている灰色仔猫の雄である。そのすみが喋っているのだ。
「すみこそ何してるの?」と尋ねると、すみはゴキゲンでこう答えた。
「お祭り見物にきたのにゅ」
するとまわりの猫たちが一斉に鼻を近づけてきた。
「げげ、白装束じゃん」
「し、白装束? ……白衣のことかな?」
「そうー。すみの下僕は白装束!」
「時々見かける奴だー」
「おやつちょーだい!」
ジェレミアは流石にたじろぐ。
「猫たちに白装束呼ばわりされていることも、すみの下僕扱いだったことも、知らなかったよ。ショックなような、でも猫たちに囲まれて幸せなような……あ、でもなんか、モテモテで嬉しいかも」
相好を崩すジェレミアに、どんだけ猫が好きなんだ、とさすがのすみも呆れ顔だ。
「下僕、それちょっと違うんじゃにゃいかみゅ?」
「あれ、そう? まあ夢だからいいじゃないか」
ジェレミアは持ち歩いている猫観察グッズからカリカリオヤツを少しずつ猫に配ると、すみの頭を撫でながら「うちのコのすみとこれからも仲良くしてね」と猫たちにお願いした。
これで猫たちの心をぐっと掴んだジェレミアは、猫たちと楽しくおしゃべりをした。
「この地域のボス格は誰かな?」
「ボスー?
ボン太
かにゃー?」
「そうなんだ」
……これは、調査が捗る。
「皆、ウチにも時々遊びにおいで」
「白装束のところー?」
「ビョーキになったら行くんでしょー?」
「病気にならなくてもおいでよ。もちろん体調が悪い時は診てあげるからね、皆長生きしてね」
そのときだ。
にゃあにゃあと池のほとりの方で猫たちが騒ぐ声がした。
◇
「……水中花火を楽しもうと思っただけなんだけれど。どうして止めるの?」
猫たちに取り囲まれて不思議そうに首をかしげているのは、いまにも一糸纏わぬ姿になろうかとしていた
三宅 葉月
だ。胸元や腰に張り付いた猫たちによって、辛うじて全年齢を保っている。11月で水着も持ってないけれど、水中花火というくらいだから水の中に潜って鑑賞するのだろうと思った葉月は、とくに疑問に思うことなく脱ぎ始めたらしく、それまで一緒に宴会を楽しんでいた猫たちの方が焦って止めに入ったところであった。
「違うのにゃー! 水中花火は水の中に潜らなくってもできるのにゃー!」
「そうなの……? じゃあ、どうやって遊ぶの?」
すると一艘の小舟が用意され、葉月は猫たちにそこに押し込まれた。船頭役の猫が小舟を池の中ほどに漕ぎ出す。水中花火にもいろいろあって、尺玉風のものや手持ち風のものがあったが、船頭は尺玉風のものに火をつけると、それを池の中にドボンと落とした。
すると尺玉は夜空を映した池の中にひゅううと落ちてゆき、まもなく。
池の中で音もなく大きく花開いた。
葉月とは別の小舟に乗っていた
ゼロ・シーアールシー
や
神野 マキナ
、
吉祥寺 黒子
、
岡野 丸美
も歓声をあげて大きな拍手をしている。彼女たちは、手持ち風の水中花火を水中に差し入れ、シャワーのように池に落ちる風情を楽しんでいた。とくにゼロはこの水中花火が、相当気に召したらしい。
「水の中なのに花火なのです。不思議なのですー」
「きれいだね」
丸美がうっとりそう言うと、ゼロは大きく肯いた。
「奇麗なのですー」
岸辺から見ていたジェレミアは、目を瞠って拍手をした。
「すごいね。こういうときはたーまやーと言うんだったかな」
すみが、まるで自分の手柄みたいに得意げに鼻を鳴らす。
「下僕もやってみるといいみゅー」
「僕も出来るのかい?」
「かんたんかんたん! ほら、あの子たちみたいにすればいいみゅー」
すみが指差した岸辺では、
綾辻 綾花
と鳶色彦が、しゃがみ込んで線香花火風の水中花火を楽しんでいた。
「鳶色彦さんは花火好きですか?」
「ちょっと怖いですが、好きですよ」
最近の猫鳴館での暮らしについても聞いてみる。
すると鳶色彦は、最近は地下は落ち着いていると答えたうえで、最近の遊びについて教えてくれた。
「上の方は相変わらずドタバタ騒がしいようですが、床下はこれから霜柱の上で遊ぶのが面白い季節ですよ」
「へえ。私たちは霜柱は踏んで遊びますけれど鳶色彦さんの重さでも潰れるんですか?」
鳶色彦の大きさは、約20センチ、重さもペットボトル飲料ほどである。
「潰れるか潰れないか、賭けて遊ぶんですよ。際どい細いのに乗るのが面白いんです」
そういって鳶色彦ははにかんだ。こびとはこびとなりの楽しみがあるようだ。
ジェレミアや綾花や鳶色彦がささやかな花火を楽しむ中、葉月たちの船は尺玉をいくつも池に投げ込んだ。
赤や緑や青の光が花束のように、水中を無数に彩ってゆく。
はじめこそなんとか話に混ざろうと気を張っていたものの、元来話すのが苦手な悠は、瑛華や永田先生の話に相槌を打つばかりになっていた。
(あ……途中で見かけた、風船提灯……帰りに、買ってこう、かな……?)
俯いた瞳にふいに映った水中花火。
「きれい……」
思わず池の方に視線を向ける。
「いいねえ」
瑛華も目を細める。池の方から吹く風が、瑛華の酔った頬を気持ちよく冷やした。
「そうだ悠、帰りに好きなもん買ってあげるよ」
「え……そんな……」
「何か欲しいのあった?」
「ええと……風船提灯は、綺麗だなって……」
「じゃ、それ、買ってあげる。あー、むしろ永田先生に買ってもらいなよ……なんてね?」
瑛華がおどけて永田先生の方をみると、相当酔ったとみえる永田先生はぽん、と膝を打ち、
「そうだ。ならこれをあげよう」
と渋い紅葉模様の風船提灯を翳してみせた。
「先生は男で大人だからね、帰り道は多少暗くても大丈夫だけれど、若い女の子は明るくして帰るんだよ」
そう言って。
瑛華が貰っとけ、というので、悠はありがたくその風船提灯をいただいた。
その明りを見ていると、心にもほんのり、明りが灯るようだった。
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シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
SF・ファンタジー
動物・自然
神話・伝説
定員
1000人
参加キャラクター数
109人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年10月31日
参加申し込みの期限
2015年11月07日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年11月07日 11時00分
参加キャラクター一覧
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