ぶっとべ！　いきなり旅でしょう？！｜リアクション

ぶっとべ！　いきなり旅でしょう？！

『豪みつ体験記』（アイヌ民族衣装でGO編）

「と、言うわけでアイヌ民族に関するこちらの資料館にやってまいりました！」
　入江みつびがタイトルコールをする傍ら、龍目豪は雪が残る北海道を見渡していた。彼はうんうん、と頷いて目を輝かせる。
（冒険なら冬の北海道だぜっ！）
　そう意気込んでいる豪だが、今回のミッションはアイヌ民族の衣装を着て記念撮影をする事。２人が向かった資料館では衣装の貸し出しだけではなく、当時のアイヌ民族が使っていたものも実際に使用できる、との事でちょっとわくわくしていたりする。

　さっそく着替えてみよう、という事で２人は分かれて着替えることに。しばらくして……、藍色に白が映える美しい民族衣装姿のみつびが登場した。髪も下ろしているため、快活な印象が少し変わったように見える。
「アイヌ民族の衣装ってかわいいよね。私もおしとやかにみえるかしらん？」
　ぱちっ、とウィンクをきめるみつび。そのかわいい姿に思わず拍手のスタッフ。そうしている間に、豪も着替えを終え、みつびたちのもとにやってきた。
「意外と軽装なんだな……。俺、防寒の毛皮をイメージしてたぜ」
　威風堂々と言う印象がする出で立ちな豪。普段のさわやかな感じとは違ってやや貫禄づいている。その原因はどうやら付け髭らしい。
「なかなか似合うよ、豪くん。その髭も最高！　熊さんにもてそうだよね」
　みつびがそういえば、そうか？　と首をかしげる豪。今度はみつびは豪に向かって、少しはにかみながら衣装を見せる。
「私は、この衣装、似合うかな？」
「ああ！　みつび先輩、すごく似合っているぜ！」
　豪が少し照れながら言えば、みつびはうれしそうに顔をほころばせる。その顔が可愛いなぁ、と思う豪とスタッフ一同だったが、このままでは番組が進まない。
「それじゃあ、雪山をバックに写真を撮ろう！」
「うんっ！」
　２人は資料館内の絵を使い、ぱしゃっ、と一枚。
　これでミッションは達成されたわけだが、それだけではとまらないようだ。
　豪は資料館のスタッフになにやら話している。不思議に思いながら様子を見ていた撮影クルーとみつびだったが、しばらくして、豪がうれしそうな顔で戻ってきた。
「アイヌの衣装を着たら冒険に繰り出したくなってさ……みつび先輩、スキーに行くか？」
　何気ない一言にみつびはちょっと興味を示す。後であわてるスタッフ達。
　豪は「視聴者を楽しませるなら冒険要素があったほうがいいだろ？」と１つウィンク。スタッフ達はまったく予想していなかったらしいが、約１人（匹？）が「やれ」とGOサイン。撮影続行である。
「そういえば、スキーはやったことないや。豪くんが教えてくれるんならいいよ」
「よっし、そうと決まれば出発だ！」
　一同は衣装を返却すると、早速スキーが出来る場所へと移動することになった。
　最後にみつびと豪で資料館の説明などをして一旦カメラを止める。その間にスタッフたちはスキーウェアなどを準備し、近くのスキー場へ向かうことになった。

　車での移動中、豪とみつびは隣り合って座り、真っ白い平原を見ながら話していた。
「豪くん、スキー終わったら温泉いこーよー！　ちょっと距離あるけど秘境温泉があるんだって」
　みつびが資料館の人から聞いた話をすると、豪の頬が僅かに赤くなる。一体何を想像したのかは視聴者さんの想像に任せるとして、豪は少し照れながら
「何、秘湯？　そりゃいいな！　気持ちよさそうだ」
　と元気に頷く。
「実を言うと、看板とかもって『効能は～』とか説明してみたいな、なんて」
　みつびがこっそり呟けば豪は「あ～……」となにか思い当たるらしく頷いた。

　そんなこんなでスキー場へ到着したところで、一旦カメラは別の光景を映した。

（続く）