ぶっとべ！　いきなり旅でしょう？！｜リアクション

ぶっとべ！　いきなり旅でしょう？！

『お土産探検隊（名古屋編）』

「さて、にゃごやのーみゃー…ごめんワンモアー！？」
　のっけから半泣きでそう言ったのは、恵御納夏朝。本人としては『名古屋のお土産』と言いたかったらしいが、うまくいかなかった模様。スタッフたちはこんな夏朝の姿が可愛く思え、ほっこりした笑顔になっている。
（撮影のスタッフさん、猫さんなのかな？　耳と尻尾、隠しているみたいだけど）
　夏朝は夏朝でスタッフ達の姿を見てそう考えていた。そのなかには、微妙に見覚えのあるような者がいればなおさらだろう。黒いサングラスをかけたロングスカートの美人が、なんとなくレンズキャットのおはぎに雰囲気が似ている気がした。
「夏朝ちゃん、ほら、カメラ回ってるわよ」
　そのおはぎと思わしき女性の言葉で我に返った夏朝は、慌てて今回の目的を口にする。
「今回は名古屋で視聴者さんへのお土産を探すんだよね。名古屋はあんまり来た事ないけど
他の皆も頑張ってるはずだし、僕も頑張るよ！」
　決意をこめて拳を握り、夏朝はやる気をみなぎらせる。だが、同時にこうも考える。
（視聴者プレゼントなら、ぶっとんだ物は避けたいかな……）

「このお店は名古屋の美味しいものを揃えたお店となります。お菓子の外、名古屋産の野菜やお肉もそろっているそうです」
　夏朝はスタッフと探したお店へ向かい、早速お土産を探すことに。
「やっぱり、定番は押さえたいかな？」
　と、手羽先やきしめん、ういろうなどを購入。けれども、なんかもうちょっと欲しいところである。お店をとりあえず出、夏朝は別のお店を探してみようか、と考えたその時。猫が植え込みから出てきたのを見た。
「にゃごや……もとい、名古屋猫さーんっ！」
　夏朝が顔を上げると、猫はぴゅっ、と走っていってしまった。だが、夏朝はいいヒントを得たらしく目をきらきら輝かせている。
「なんか、猫っぽいお土産ないかな？　ほら、猫じゃらしとか！」
「ウケると思いますよ？　探してみますか」
　おはぎ（と思わしき女性）の言葉に頷き、お店をあたる一行。すると、夏朝はそこで
「にゃごやん！？　カステラみたいなお饅頭……」
　飾られた商品に目を奪われていると、店員さんが試食を進めてくれた。カステラのような丸いおまんじゅうには猫の虎模様を思わせる焼印が押されており、口に入れるとしっかりした甘みが口の中に広がる。どうやらたまごあんらしく、割ってみた中身はほんのり黄色だった。
（美味しい！　しかも猫っぽい形でかわいい！）
　お饅頭の形と味に心を奪われた夏朝。その頬をちょっと赤くした、愛らしい表情をスタッフはカメラに収め、夏朝はスタッフにちょっと興奮気味に
「このお菓子もお土産に追加で！　いいかな？」
　と問いかける。もちろんその可愛い姿もカメラに収め、スタッフ一同「OK」サインを出す。「やったっ」と喜ぶ夏朝は早速お買い上げ。
（自分用にも小さな箱のを買おう）
　視聴者用と自分用を確保した夏朝は、実にほっこりした笑顔で頷いた。

「お土産、みつけてきました！　今回はこちらの手羽先にきしめん、ういろうの他、この『にゃごやん』を含めた名古屋美味セットを抽選で２名様にお届けしたいと思いますっ！」
　夏朝はやわらかい笑みで購入したセットを見せ、内心でほっとする。とりあえず撮影はこれで終わりだ、と。
「僕のコーナで最後かな？　それじゃあ続けていきますね。今回、『お土産探検隊』で出されたお土産の応募に関してですが、葉書若しくは電子メールに住所、氏名、電話番号と欲しいお土産を明記の上、――までにお送りください。たくさんのご応募、お待ちしておりますっ！」
　夏朝は最後まで言い切るとぺこり、と頭を下げた。

『お土産探検隊』（名古屋編・終）

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