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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
『向日葵』、秋のお誘い
◆
試食会が落ち着いてきた頃。
空いた時間で、お手伝い組がちょこちょこと試食し始めていた。
唯の目の前には、サツマイモのわらびもちと柚子蜜ドリンク。
特に前者は作っている所を見てからずーっと気になっていたので、満を持しての実食だった。
菓子楊枝で刺したわらびもちを、きらきらした眼差しで見つめる。
まるで恥ずかしがるようにぷるぷる震えるソレを、ぱくりと口に放り込んだ。
「……！ 美味しい……！」
思わず目が丸くなる。
「……うう、きっと全部美味しいんだろうなあ」
そう思うと、これから『向日葵』に通いたくなって仕方がなくなってしまう。
そして通いつめて、ゆくゆくは他のメニューも全て制覇を……！
などと考えていたら、ふと思うことがあった。
「さつまいもの、お団子とかあったら、食べてみたいかも……」
「お団子ですか？」
「え、あ、は、はい！ さつまいもの、お団子とか、ちょっと食べてみたいなって！」
ひとりごとのつもりだったので、聞こえているとは思わずびっくりしつつ答える。
「今日の試食会が終わったら、少し考えてみますね」
日向の答えに、「ありがとうございます」と唯は微笑んだ。
◆
響也が選んだのは、リンゴ羊羹と柚子蜜ドリンク。
さわやかなりんごの甘味やゆずの香りが気に入って、思わず頬が緩む。
望春の方はどうかなと視線を向けると、彼はいたく感動した様子でサツマイモのわらびもちを口に運んでいた。
ぷるぷる震えるわらびもちを、響也にも見えるように持ち上げて、
「これすごく美味しいよ響也くん！ ぷるぷるもちもちだよ！」
すっかり興奮した様子。
そんな彼を見て、響也はそっと小さく微笑みを浮かべる。
すると恥ずかしくなってきてしまったのか、望春は少しだけ顔を伏せた。
わらびもちを食べる手は、止まっていないけど。
そんなこんなで試食分を完食し、一息ついて。
望春はニッと響也に笑いかけた。
「響也くん、今日は一緒にきてくれてありがとう。楽しかったね！」
頷いて、響也はそれに笑みを返す。
「慣れないことばかりだったけど、楽しかったよ」
お菓子作りにフロアの対応、本当に慣れないことばかりだったけど。
今日は一日、楽しく過ごせたと思う。
◆
結が選んだのは、リンゴの羊羹だった。
「甘いものって、なんだか秋って感じするね……！」
黄色い瞳が、食欲にうきうきと輝いていた。ただ、時々ちらちらっと残念そうに試食メニューに目を向けている。
そんなことをしていると、甫に怪訝な視線を向けられた。
「他にも試食してえのあるのか？」
「え、えっと……あはは……」
出来れば本当は、試食メニューは全て網羅したい。だけどドリンク合わせて７種類、全部食べると流石にお腹の調子が気になってしまう。あと、体重も。
「鵙海君は、何食べるの？」
「俺も同じやつだぜ。さっき試作したな」
そう答える甫の目の前には、リンゴ羊羹の皿が二つ。形が若干崩れたり、切り方が不揃いなのが、さっき甫が試作した方だ。わかりやすい。
すると、結はおずおずと上目遣いに、
「あ、鵙海君のも食べてみたいかも……いい、かな……？」
と言い出した。答えを聞く前に、「あ、私のはあげるよっ」と慌てて付け足して、半ば押し付けるようにして自分が試作したリンゴ羊羹を渡す。
「くれるっつーならもらっとくけど。つーか千堂、俺のなんか食いてえのか？」
「うんっ」
こくこくとうなずく結に、だったらまあいいかと甫は自作のリンゴ羊羹を半分渡した。一応、自分でも味は見ておきたいらしい。
んじゃ食うか、と最初に彼が手を伸ばしたのは日向の作った本来の試作品。
「んぐっ、うん、やっぱりプロは違うなあ、めっちゃ美味い！」
「……」
自身が食べるのはそっちのけで、甫の食べる様子を見守る結。
自分が作ったものに甫が手を伸ばすのを、今か今かと待っている。
美味しくできたかどうか分からないけど、美味しいと言ってくれたら嬉しいなと思いながら。
視線をごまかすように時折動かす手は、いつのまにやらリンゴ羊羹を細切れにしていた。すると、
「！」
ひょい、と。甫が結作のリンゴ羊羹を口に運んだ。
いかにも恐る恐る、という様子で結が問うと、
「わ、私の……どうかな？」
もぐもぐと咀嚼して、飲み込んで。歯にくっついたりしたのを、水で流して。
それから甫は、答えを待つ結に口の端を上げて見せた。
「ああ、千堂のもちゃんと食えるぜ」
その声やら仕草は、何故だかやたらと偉そうな調子であった。
もっとも、そのあと自作を食べてとっても微妙な顔になってしまうのだが。
「この後スタッフが美味しく頂け……る、のか？」
「大丈夫だよ、ちゃんと食べられるよ……！」
そんなやりとりが、あったりなかったり。
試食会が落ち着いてきた頃。
空いた時間で、お手伝い組がちょこちょこと試食し始めていた。
唯の目の前には、サツマイモのわらびもちと柚子蜜ドリンク。
特に前者は作っている所を見てからずーっと気になっていたので、満を持しての実食だった。
菓子楊枝で刺したわらびもちを、きらきらした眼差しで見つめる。
まるで恥ずかしがるようにぷるぷる震えるソレを、ぱくりと口に放り込んだ。
「……！ 美味しい……！」
思わず目が丸くなる。
「……うう、きっと全部美味しいんだろうなあ」
そう思うと、これから『向日葵』に通いたくなって仕方がなくなってしまう。
そして通いつめて、ゆくゆくは他のメニューも全て制覇を……！
などと考えていたら、ふと思うことがあった。
「さつまいもの、お団子とかあったら、食べてみたいかも……」
「お団子ですか？」
「え、あ、は、はい！ さつまいもの、お団子とか、ちょっと食べてみたいなって！」
ひとりごとのつもりだったので、聞こえているとは思わずびっくりしつつ答える。
「今日の試食会が終わったら、少し考えてみますね」
日向の答えに、「ありがとうございます」と唯は微笑んだ。
◆
響也が選んだのは、リンゴ羊羹と柚子蜜ドリンク。
さわやかなりんごの甘味やゆずの香りが気に入って、思わず頬が緩む。
望春の方はどうかなと視線を向けると、彼はいたく感動した様子でサツマイモのわらびもちを口に運んでいた。
ぷるぷる震えるわらびもちを、響也にも見えるように持ち上げて、
「これすごく美味しいよ響也くん！ ぷるぷるもちもちだよ！」
すっかり興奮した様子。
そんな彼を見て、響也はそっと小さく微笑みを浮かべる。
すると恥ずかしくなってきてしまったのか、望春は少しだけ顔を伏せた。
わらびもちを食べる手は、止まっていないけど。
そんなこんなで試食分を完食し、一息ついて。
望春はニッと響也に笑いかけた。
「響也くん、今日は一緒にきてくれてありがとう。楽しかったね！」
頷いて、響也はそれに笑みを返す。
「慣れないことばかりだったけど、楽しかったよ」
お菓子作りにフロアの対応、本当に慣れないことばかりだったけど。
今日は一日、楽しく過ごせたと思う。
◆
結が選んだのは、リンゴの羊羹だった。
「甘いものって、なんだか秋って感じするね……！」
黄色い瞳が、食欲にうきうきと輝いていた。ただ、時々ちらちらっと残念そうに試食メニューに目を向けている。
そんなことをしていると、甫に怪訝な視線を向けられた。
「他にも試食してえのあるのか？」
「え、えっと……あはは……」
出来れば本当は、試食メニューは全て網羅したい。だけどドリンク合わせて７種類、全部食べると流石にお腹の調子が気になってしまう。あと、体重も。
「鵙海君は、何食べるの？」
「俺も同じやつだぜ。さっき試作したな」
そう答える甫の目の前には、リンゴ羊羹の皿が二つ。形が若干崩れたり、切り方が不揃いなのが、さっき甫が試作した方だ。わかりやすい。
すると、結はおずおずと上目遣いに、
「あ、鵙海君のも食べてみたいかも……いい、かな……？」
と言い出した。答えを聞く前に、「あ、私のはあげるよっ」と慌てて付け足して、半ば押し付けるようにして自分が試作したリンゴ羊羹を渡す。
「くれるっつーならもらっとくけど。つーか千堂、俺のなんか食いてえのか？」
「うんっ」
こくこくとうなずく結に、だったらまあいいかと甫は自作のリンゴ羊羹を半分渡した。一応、自分でも味は見ておきたいらしい。
んじゃ食うか、と最初に彼が手を伸ばしたのは日向の作った本来の試作品。
「んぐっ、うん、やっぱりプロは違うなあ、めっちゃ美味い！」
「……」
自身が食べるのはそっちのけで、甫の食べる様子を見守る結。
自分が作ったものに甫が手を伸ばすのを、今か今かと待っている。
美味しくできたかどうか分からないけど、美味しいと言ってくれたら嬉しいなと思いながら。
視線をごまかすように時折動かす手は、いつのまにやらリンゴ羊羹を細切れにしていた。すると、
「！」
ひょい、と。甫が結作のリンゴ羊羹を口に運んだ。
いかにも恐る恐る、という様子で結が問うと、
「わ、私の……どうかな？」
もぐもぐと咀嚼して、飲み込んで。歯にくっついたりしたのを、水で流して。
それから甫は、答えを待つ結に口の端を上げて見せた。
「ああ、千堂のもちゃんと食えるぜ」
その声やら仕草は、何故だかやたらと偉そうな調子であった。
もっとも、そのあと自作を食べてとっても微妙な顔になってしまうのだが。
「この後スタッフが美味しく頂け……る、のか？」
「大丈夫だよ、ちゃんと食べられるよ……！」
そんなやりとりが、あったりなかったり。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2015年09月17日
- 参加申し込みの期限
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- 2015年09月24日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2015年09月24日 11時00分
