仲良くなりたい、その２｜リアクション

仲良くなりたい、その２

☆桃井かんな　放課後

　寝子島小学校、放課後。
　曖浜瑠樹はいつもの通りのんびり校庭で遊んでいた。
　運動好きな瑠樹はみんなと遊ぶこともあるし、一人で遊具で遊ぶこともある。
（どっちも楽しいよねえ）
　ふと目を上げると、少し離れたところを桃井かんなが歩いているのに気づいた。
「桃井さん、こんにちはぁ」
「……こんにちは、って、クラスで一緒だったじゃない」
　声をかけると、かんなは呆れたような顔をした。
　２人は同じ３年２組のクラスメイトなのだ。
　写生大会の時みんなで一緒にお弁当を食べたりしたり、仲は悪くない、と思う。
「あ、これから帰りなら『さようなら』の方がよかったかなぁ」
　瑠樹がそんなことを話していたら、かんなの前にサッカーボールが転がってきた。
　転がってきた元のほうを見ると、二宮風太が困ったような顔をしていた。
「すみませーん、取ってもらえますか」
　どうするのか見ていると、ボールを蹴ろうとしたかんなが空振りしてしまった。
　笑う男子と怒るかんなを、はらはらしながら見ていた瑠樹は近づいていく。
「んー、オレもたまにけりそこねるからねぇ」
　そう言いつつ瑠樹は代わりにボールを蹴ろうとしたが。
　蹴り損なって、すってんころりん、と転んでしまった。
「あはは」
　気にした様子もなく立ち上がる。
「……バカ男子」
　かんながつぶやいたが、その声にはもう怒りは感じられなかった。
　瑠樹もにっこり笑い返した。